GOD SLAYER’S

― 第五章・魔の領域 ―

第241話 模索

「〝魔族こそが本当の神・・・・である〟ということは世界中に広めなかったのですか？」

タリアノの質問に、

「祖先らは試みたそうだ。」
「しかし……。」
「禍々まがまがしい姿になった魔物などの言い分には、他種族が耳を貸さなくなっていったらしい。」
「神を名乗るようになった連中のほうが美しい見た目をしておるのも影響したのだろう。」
「そうして〝いつしか諦めた〟との事だ。」

このように答えた魔王が〝ふぅ―〟と息を吐く。

皆みなが沈黙していくなかで、

「魔族の呪いが解ければ状況が変わるんじゃねぇか？？」

何気なく述べたのは、グーランだ。

それに対して、

「お主…。」
「たまには、まともなことを言うではないか！」

撫子なでしこと、

「確かに。」

フゥーリカンが、いささか驚く。

「うっせぇ。」

グーランが眉間にシワを寄せたところで、

「無理だな。」
「〝方法が無い〟との話しゆえ。」
「……、いや、一つだけあるかもしれん。」
「先祖のなかに、とある仮説を立てた者がおったそうだ。」
「〝全ての神を殺しきったならば呪詛から解放され元に戻れるのでは？〟とな。」

こうした記憶を辿る魔王だった。

「簡単には成し遂げられなさそうですね。」

少なからず険しい表情となったルウェーに、

「それでもやらなければならないでしょう。」
「僕らは〝神々を滅ぼす〟といった目標を掲げているので。」
「例えどれほどの時間と労力が掛かったとしても、達成したいところです。」

ランダ―が穏やかに告げる。

その流れにて、

「ここ最近、考えていたのですが…。」
「神以外の種族で大規模な連合軍を結成できないものでしょうか？？」
「そうすれば、各国からの一斉攻撃が可能となり、神々を倒しきる確率が上がると思うのです。」

真顔で語るタリアノであった。

「いい発想だけど……、どうかしら？」
「人間を始め、獣人や妖精のなかには、争い続けている国もある訳だし。」
「手を組みたがらない所もあるんじゃない？？」

こう主張したのは、ペイニーだ。

「まぁ、そうだな。」
「でも…。」
「うちの祖父に連絡すれば、地元ハーリマーの国主を説得してくれるだろう。」
「なにせ、連合が成立すれば、その参加国がこぞって機械的な武器や乗り物を購入してくれるかもしんないからな。」
「〝今まで以上に商売繫盛しまくる〟ってなれば前向きに動きそうだ、アタシんとこの祖父であれば。」

スリアの意見に、

「あぁー。」
「ハーリマーは、別名“ドワーフの国”でしたね。」

〝ふむ〟とルウェーが頷く。

「でしたら、私わたくしは、お祖母ばあ様に知らせてみます。」
「ハーフエルフである事や〝ギルドマスターとしての顔の広さ〟を用いれば、“エルフの国”と接触できるかもしれませんので。」

そのように喋ったのは、ランソワである。

「おぉ。」
「なんだか現実味を帯びてきたんじゃねぇか？！！」

どこか嬉しそうなグーランに、

「問題は“獣人の国”だな。」
「だって、誰も繋がりを持ってないだろ？？」

フゥーリカンが眉を軽く段違いにした。

こうしたなかで、

「“妖怪ノ国”は接点がないのか？」
「“獣人の国”と。」

紫蓮しれんに尋ねられ、

「父上に聞いてみないと詳しくは分からんが……、おそらくなかろうな。」

そう百桃星ももせが返す。

[第一広間]が再びの静寂に包まれようとしたところで、

「いや…。」
「そもそも、我らと起源を同じくする妖怪であればこそ同盟を結ぶといった判断に至れたのであって、他種族は無理やもしれん。」
「魔族のなかには猛反発する者らがおるだろうからな。」
「ここら辺を納得させる材料が必要となろうぞ。」

難色を示す魔王だった―。