203 / 224
続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-33.強き者
お披露目会はまさに『ブレスラウのためのもの』という雰囲気だった。誰も彼もがブレスラウと話し、その力や性格を見定めるのに忙しい。
スノウは彼らにとってほとんど見えていない存在であり、それが実はありがたかった。
(こんな人たちに囲まれたら、僕は怖くなっちゃうもんね……)
たくさんの竜族に観察されているブレスラウを少し遠くから眺めながら、胸の中で呟いた。
竜族であるアークや吸血鬼族であるロウエンにはスノウだって慣れている。でも、見知らぬ相手である上に、近くにいればいるほど強さが伝わってくるような竜族たちとは、まともに話せるとは思えなかった。
普段、アークやロウエンは随分と気を遣ってくれていたのかもしれない。
「スノウ、大丈夫か?」
「うん。……ルミシャンスを連れてこなくて良かったって、心底思ったけど」
耳元に囁きかけてきたアークに、スノウも小声で返事をする。
つい苦笑を添えてしまったのは、意気揚々と参加したルミシャンスが、怯えて固まる光景を想像したからだ。雪豹族の子どもに、竜族の集団は刺激が強すぎる。
「ああ……もしスノウに願われても、それは俺が許さなかっただろうな」
アークが肩をすくめる。それに頷き返しながら、スノウは周囲に視線を走らせた。
スノウの傍に寄り添ってくれているアークには、ほとんどの竜族が近づいてこない。時折視線は感じるから、話しかけたいと思ってはいるのだろう。遠慮しているのか、恐れているのか、よく分からない。
「アークはみんなと話さなくていいの?」
普段魔王城に籠っているアークは、竜族の里との交流をしていないはずだ。もしかしたら、独自の連絡手段があるのかもしれないけれど。
久しぶりに会えた族長に、竜族たちが話しかけたいと思うのは当然だと思う。アークも族長として、数少ない機会に同族と親交を深めようと思ってもおかしくないはずだ。
「別に必要ないだろう。族長とは言っても、竜族の象徴として一番強い者がなるというだけだ。竜族をまとめる役目を持っているわけではないからな」
「へぇ……そうなの。もしかして、さっき竜族を代表して挨拶したパールセンさんがまとめ役?」
竜族の里のあり方をきちんと聞いたことがなかったと気づいて、今更ながら尋ねてみた。
今後も竜族の里に関わることはそうそうないだろうけれど、竜族の番がいる身として知っていて損はないだろう。
「ああ。代々続く里長の家柄だ」
「里長……族長とは違うんだよね」
「そうだな。外向けに存在しているのが族長で、内向けに存在しているのが里長だ」
スノウが知る里のあり方とは少し違うらしい。
そもそもが独立独歩の傾向が強い竜族なのだから、スノウの常識に当てはまらないのは至極納得できる。
「そっか……。じゃあ、パールセンさんに気に入られていたら、ブレスラウが竜族の里を訪問するってなっても、大丈夫な感じなのかな」
ブレスラウの隣をキープして、秘書のように竜族の集団をさばいているパールセンを眺めて呟く。
スノウがこうしてブレスラウの傍を離れているのも、アークから「パールセンに任せていれば問題ない」と言われたからだった。
実際、パールセンはブレスラウの負担を軽減するよう、よく働いてくれていると思う。
「ブレスラウの能力は高いから、そもそも竜族の里を訪問する頃になれば、あのように遠慮もなく近づく者たちはいなくなるだろう。パールセンが役に立つのは否定しないが」
「……ブレスラウってそんなに強いんだ」
アークが当然な感じで言うので、スノウは改めてブレスラウのことを知った気がした。
生まれて数カ月でスノウより大きな人型になったけれど、ブレスラウはまだまだ子ども。
そんな認識を持っていたスノウにとって、ブレスラウの強さを聞かされても正直実感はない。
魔族一強いと言われる竜族において、次期族長として確実視されるのは、ブレスラウの潜在的な力の強さが感じ取られているからだろう。
どうやったらそれが分かるのかな、とスノウは首を傾げる。
威圧されたいわけではないけれど、ブレスラウの強さを感じてみたいと思うのもスノウの本心だった。
スノウは彼らにとってほとんど見えていない存在であり、それが実はありがたかった。
(こんな人たちに囲まれたら、僕は怖くなっちゃうもんね……)
たくさんの竜族に観察されているブレスラウを少し遠くから眺めながら、胸の中で呟いた。
竜族であるアークや吸血鬼族であるロウエンにはスノウだって慣れている。でも、見知らぬ相手である上に、近くにいればいるほど強さが伝わってくるような竜族たちとは、まともに話せるとは思えなかった。
普段、アークやロウエンは随分と気を遣ってくれていたのかもしれない。
「スノウ、大丈夫か?」
「うん。……ルミシャンスを連れてこなくて良かったって、心底思ったけど」
耳元に囁きかけてきたアークに、スノウも小声で返事をする。
つい苦笑を添えてしまったのは、意気揚々と参加したルミシャンスが、怯えて固まる光景を想像したからだ。雪豹族の子どもに、竜族の集団は刺激が強すぎる。
「ああ……もしスノウに願われても、それは俺が許さなかっただろうな」
アークが肩をすくめる。それに頷き返しながら、スノウは周囲に視線を走らせた。
スノウの傍に寄り添ってくれているアークには、ほとんどの竜族が近づいてこない。時折視線は感じるから、話しかけたいと思ってはいるのだろう。遠慮しているのか、恐れているのか、よく分からない。
「アークはみんなと話さなくていいの?」
普段魔王城に籠っているアークは、竜族の里との交流をしていないはずだ。もしかしたら、独自の連絡手段があるのかもしれないけれど。
久しぶりに会えた族長に、竜族たちが話しかけたいと思うのは当然だと思う。アークも族長として、数少ない機会に同族と親交を深めようと思ってもおかしくないはずだ。
「別に必要ないだろう。族長とは言っても、竜族の象徴として一番強い者がなるというだけだ。竜族をまとめる役目を持っているわけではないからな」
「へぇ……そうなの。もしかして、さっき竜族を代表して挨拶したパールセンさんがまとめ役?」
竜族の里のあり方をきちんと聞いたことがなかったと気づいて、今更ながら尋ねてみた。
今後も竜族の里に関わることはそうそうないだろうけれど、竜族の番がいる身として知っていて損はないだろう。
「ああ。代々続く里長の家柄だ」
「里長……族長とは違うんだよね」
「そうだな。外向けに存在しているのが族長で、内向けに存在しているのが里長だ」
スノウが知る里のあり方とは少し違うらしい。
そもそもが独立独歩の傾向が強い竜族なのだから、スノウの常識に当てはまらないのは至極納得できる。
「そっか……。じゃあ、パールセンさんに気に入られていたら、ブレスラウが竜族の里を訪問するってなっても、大丈夫な感じなのかな」
ブレスラウの隣をキープして、秘書のように竜族の集団をさばいているパールセンを眺めて呟く。
スノウがこうしてブレスラウの傍を離れているのも、アークから「パールセンに任せていれば問題ない」と言われたからだった。
実際、パールセンはブレスラウの負担を軽減するよう、よく働いてくれていると思う。
「ブレスラウの能力は高いから、そもそも竜族の里を訪問する頃になれば、あのように遠慮もなく近づく者たちはいなくなるだろう。パールセンが役に立つのは否定しないが」
「……ブレスラウってそんなに強いんだ」
アークが当然な感じで言うので、スノウは改めてブレスラウのことを知った気がした。
生まれて数カ月でスノウより大きな人型になったけれど、ブレスラウはまだまだ子ども。
そんな認識を持っていたスノウにとって、ブレスラウの強さを聞かされても正直実感はない。
魔族一強いと言われる竜族において、次期族長として確実視されるのは、ブレスラウの潜在的な力の強さが感じ取られているからだろう。
どうやったらそれが分かるのかな、とスノウは首を傾げる。
威圧されたいわけではないけれど、ブレスラウの強さを感じてみたいと思うのもスノウの本心だった。
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
様々な形での応援ありがとうございます!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。