愛を知らない子ども
愛など存在しないと信じて二百五十年以上を生きてきた吸血鬼のレミ・ボワイエ。五歳で父に引き取られ、十歳で父に捨てられ、逃げ込んだ母からも拒絶された過去を持つ彼は、誰かを愛することも、愛されることも信じられないまま、複数の女性と付き合い血を得る日々を送っていた。偽りの愛を囁くことには慣れ切っていたが、本物の愛など自分には関係のないものだと思っていた。
そんなレミの前に、雷獣の血を引く青年・茅雷理が現れる。雷理は一目でレミを生涯に一人しか持てない番と確信し、まっすぐな愛を向けてくる。しかしレミは雷理を拒み続けた。運命など信じない。愛など信じない。そう言い続けながら、レミは雷理の血しか受け付けなくなり、やがて体を壊して倒れていく。
死を前にしても逃げ続けようとするレミを、雷理は追いかけてきた。血を差し出し、料理を作り、傍に居続ける雷理の前で、レミは少しずつ崩れていく。愛を知らないのではなく、愛を恐れていたのだと気づいたとき、レミの中でずっと膝を抱えていた孤独な子どもが、初めて泣き声をあげた。
「ぼくは、君を愛しているのかもしれない」
二百五十年以上かけて、レミはやっと愛を知った。親友アドリアンの幸福を見守り続けながら、自分には決して訪れないと思っていた幸せが、雷理という形でレミの前に現れていた。愛を知らなかった子どもが、愛を知り、家族を持つまでの物語。
※『一番星を抱いて』のスピンオフです。
※『一番星を抱いて』を読んでいなくても読めますが、読んだ後の方がより楽しめるかもしれません。
※受けが女性と関係する描写があります。
※ムーンライトノベルズ、エブリスタ、pixivにも掲載しています。
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