いつか誰かの

秋月真鳥

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恋愛 熱愛 溺愛 純愛(R18)

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 サムエル・カウットは、ジャン・ルシュールを愛している。

 ジャンと付き合うようになってから、サムエルはシャワーを浴びたときに自分で準備することを覚えた。最初は全部ジャンにしてもらったが、受け入れる方が初心者のサムエルのためにか、それとも性格的なものか、ジャンは丹念に丁寧にサムエルの中を解して、繋がるまでにサムエルはほとんど半泣きになって達してしまって、一度達した体は敏感で、揺さぶられて思考も全部ぐちゃぐちゃになって、妙なことを言って、ジャンに縋り付いてしまった。
 忘れたいくらいの羞恥を味わったので、その次からは自分で準備をしようとしているのだが、もうすぐジャンに抱かれると思うと、期待感だけで欲情してしまって、後ろを解していると達しそうになってしまう。
 だから、バスローブを着てベッドに入る頃には、サムエルのものは刺激を受ければ達してしまうくらいにいきり立っていることが多かった。
「もう、そんなになってるのか?」
 バスローブを剥いだジャンに薄く笑われた気がして、サムエルは赤面して俯いてしまう。俯くと、ジャンのほっそりした腰と、わずかに立ちかけているものが見えて、サムエルはごくりと唾を飲み込んだ。
「焦らさないでよ」
 ベッドに仰向けに横になりながらジャンの腕を引くと、物づくりをする繊細な筋張った指が、サムエルのそそり立つものをなぞって、体が震える。
「や、やめて。いっちゃう」
「一度、いっといた方が楽なんじゃないか」
 ぐりっと透明な先走りの滲んだ先っぽを指で押されて、サムエルは「ひぁ!」と泣きそうな喘ぎを喉の奥で飲み込んだ。
「ジャンを、感じていきたい、お願い」
 余裕のないかすれた声を出すと、顎を掴まれて唇を食まれる。やわやわと歯で甘噛みしてから、ジャンの舌がサムエルの口の中に入って来た。飢えるように招き入れて舌を絡め、唾液を飲み込んでいると、ジャンの指がサムエルの後ろに這う。ジェルで濡れた指先は、抵抗なくサムエルの中に入って来た。
「そっちじゃなく、て」
 唇が離れた隙に、切羽詰まった声で告げて、サムエルはジャンの立ち上がりかけたものを掴む。欲しいのはこっちなのに、ジャンはサムエルがちゃんと受け入れる準備がでいているか確かめないと、欲しいものをくれない。
「やだ……いっちゃう! 駄目、ジャンのが欲しい!」
 リップ音をさせて顎にキスが落とされ、ジャンは[[rb:避妊具 > ゴム]]の包みを破って、自分のものと、サムエルのものにゆっくり被せた。触れられるだけで達しそうなのに、上から撫で下ろすようにされて、サムエルは必死に耐える。
「つけなくて、も、いい、のに」
 αとβなのだから、どちらかが妊娠することはない。だから、避妊具はいらないと言っても、ジャンは必ずつける。
「中で出してほしいの?」
 意地悪に問われて、サムエルは涙目で頷いた。
「中で、出してもいいから、早く、ほしい」
 ぐっと入口に当てられたジャンのものが、形を覚えさせるように入ってくる。
「あ、あぁ!」
 奥まで入れられた時点で、既にサムエルは達していた。意識が飛びそうな白く明滅する視界の中、短く荒く息をしていると、緩々とジャンが動き出す。達したばかりなのに、感じる場所を抉られて、サムエルのものがまた立ち上がってきた。
「ゴム、替えるか?」
「と、とめないで」
 腰の動きを止められて、サムエルは思わず足で挟み込むようにしてジャンを促す。また動き出したジャンの赤い髪が乱れて、汗がぽたぽたとサムエルの胸に落ちてきて、少しずつ余裕がなくなってくる表情を、潤んだ視界の中で見ていると、サムエルはたまらなくなる。
 ぎゅっと締め付けて体を震わせたサムエルに、ジャンが荒い息の中で囁いた。
「後ろでいけるようになったな」
 羞恥で顔を赤くする間もなく、激しく攻めたてられて、サムエルは切れ切れに声を上げる。
 ジャンが達した回数の倍は、いつも達している気がするサムエルだった。

 情事のあとに、ティッシュで汚れた場所だけ拭いて、避妊具を処理して、ジャンは倒れ込むように眠ってしまう。普段から就寝の早いジャンにしてみれば、日付が替わって二時間以上経っていると、眠さもピークに達しているはずだ。
 穏やかに寝息を立てているジャンを引き寄せると、サムエルもだるさと眠さが込み上げてくる。ぎゅっと抱きしめてうなじに顔を埋めても、ジャンは起きる気配はない。
 赤い長めの髪をかき分けて、うなじを舐めると汗の味がする。このまま噛みつきたい気持ちも込み上げるが、前にくっきりと歯形をつけてしまった前科のあるサムエルは、軽く歯を立てるだけに留めて、髪の香りを嗅ぐ。
「ジャン、愛してるよ」
 一度の行為は濃厚なのだが、これが週に一回とかではなく、もう少し軽くてもいいから、週二、三回だったらいいのに、と思わずにいられないサムエルだった。
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