アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

551 日の当たる世界へ

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 「めちゃくちゃ豊作じゃん!」

 「「「ほーさく?」」」

 「ああ。米がいっぱい実ったぞって言うんだよ」

 「へぇーアレクお兄ちゃん物知りなのね」

 「俺は貧しい農家出身だからな」

 「いつかアレクお兄ちゃんが生まれたところに行ってみたい」

 「そうだなぁ。いつかマジで来てほしいな。昔は貧しすぎて魔獣でさえいなかったけど今はすごくいいとこすろなんだぜ。クロエと同じ水の精霊が憑いた弟もいるんだよ」

 「じゃあクロエとも兄妹ね!」

 「そうだな」

 わははははは
 フフフフフフ

 「さて、じゃあ刈り取るからな」

 「「「はーい」」」

 「刈り取った稲は日に干しておくとさらに美味しくなるんだ。デーツもよく覚えとけよ」

 コクコク  コクコク

 「アレク、米はいつ食えるんだ?」

 「そうだなぁ。そうだ!マリアンヌ先輩、来週の休養日の夜はみんなで家に来てくださいね。米料理を食ってもらいますから」

 「ええ。楽しみにしてるわ」

 「マリーお姉ちゃんも一緒に夜ごはんだね!」

 「ええ。アリサとクロエと一緒よ」

 キャーキャー言って稲刈りをするマリアンヌ先輩とアリサとクロエ。

 「ほらデーツ汗拭いて」

 「ありがとうマリー」

 わははははは
 フフフフフフ

 てかまたマリアンヌ先輩はデーツと腕を絡めやがって。くそーっ!リア充爆ぜろ!くそーっ!

 「(旦那様‥‥)」

 「(ああバブーシュカ‥‥)」

 「「(アレクはホントに‥‥)」」

 「「(阿呆だ‥‥)」」


――――――――――


 【  フリージア side  】

 「お父さん、ローズお婆ちゃんは?」

 「ん?今日は賢人会って言ってたよ」

 「やったー!そうなんだね」

 小躍りするフリージア(愛娘)を愛情たっぷりの朗らかな笑顔で見つめる父親は入婿の文官であった。

 「フリージアどうしたの?」

 フリージアによく似たブロンドの髪が美しい母親が尋ねる。

 「だってお爺ちゃんお婆ちゃん会でしょ。だったらローズお婆ちゃんお気に入りのアレク坊のお土産があるじゃん。ぜったい美味しいお菓子があるわ!」

 「まぁフリージアったら」

 わははははは
 フフフフフフ


――――――――――


 【  マイ、チューラットside  】

    「ラーメンスープ?めちゃくちゃうまいな」

 「このちゃあしゅう?歯のない私でもわかるわ。口の中で溶けてくわ」

 「なぁマイ、これはひょっとしてお貴族様が食うものか?」

 「何言ってるのよ。これからチューラットが作るものじゃない。誰もが平等に食べられるんでしょ?がんばるのよ」

 「ああ。俺精一杯やってみるよ」

 「ええ。それと言葉遣いも覚えなきゃね」 

 「教えてくれよ。いや違うな。教えてくださいよ?」

 「ウフフ。もちろんよ」


――――――――――


 【  チューラットside】

 もらった制服を着て商業ギルドに行ったんだ。けんしゅうにな。

 途中、俺の制服姿を見て貧民街の奴らが驚いていたよ。俺もなんだか自分自身が誇らしく思えたよ。

 部屋には俺以外7人がいたんだ。そしたらさ、すぐにこないだのギルド長がやってきたんだ。

 「チューラット君、がんばってくださいよ!」

 ギルド長が俺たち1人1人に話かけて激励してくれたんだぜ。俺からみれば雲の上のような人がだよ!

 「合格した8人のみなさん、おめでとう。
 君たち8人には今日から来年のオープンに向けて3ヶ月ほど研修をしてもらうよ。もちろん給与も今月から支払われる。君たちには少ないかもしれないが10万Gだ。
 君たちも知ってのとおり、このラーメン屋はアレク工房さんが帝国で初めて手がける食堂だよ」

 「わしもまだラーメンというものを食ったことはないんだがね。ただ君たちも食べたスープとチャーシューを食べさせてもらったが素晴らしくうまいものだった。
 だから3ヶ月後には腰が抜けるほどうまいものを食わしてもらえることを確信してるよ。

 そんなラーメン屋は間違いなく帝都で大流行するだろうし、3年後の君たちが次の店主だ。
 君たち8人が成功すること、それが次の成功を夢みる若者たちへの道しるべになるんだからね。しっかりやってくれよ」

 「「「はい(おぉ/ああ)」」」

 「さて、君たちにはラーメン屋での正しいふるまいと言葉遣いを覚えてもらう。なぜかわかるかい?」

 「「「?」」」

 「チューラット君はどうだい?」

 「ラーメン屋は誰もが平等にラーメンを食べることができるお店か?です?」

 「そのとおりだね。ただお客さんは貴族やお金持ち、騎士団の偉い人も来る。大人も子どもも男も女もだ。
 そんな人たちに対して、君たちは平等にちゃんと話せないとどうなる?
 君たちが恥をかくのはもちろんだが、アレク工房さんが恥をかくことになるんだ。

 もうわかったね。君たち8人がアレク工房を代表するんだよ」


 それからは大忙しだったんだ。ラーメンの作り方を教えてもらうのはまだ先で、店での注文の取り方からラーメンの提供の仕方、掃除の仕方など覚えることは山のようにあったんだ。

 「アレク工房さんからの言付けだよ。『真面目に努力すること。どれだけ間違えてもいい。まじめに努力しなさい』ってね」







 「帰ったよ」

 「お帰りチューラット。どうだった?」

 「疲れたよ。でもさ、なんか楽しいんだ。
 店が始まったらお貴族様や騎士団の偉い人もお客に来るからちゃんとしてなきゃいけねぇんだよ」

 「そう」

 「マイ‥‥あのな‥‥俺なんかと所帯を持ってくれてありがとな」

 「なによチューラット?」

 「俺ようやく一生懸命やれることが見つかったんだよ。だからお前とチュータと3人でここを出る。日の当たる場所で誰からも馬鹿にされずに生きていくんだ」

 「ええチューラット」


――――――――――


 最初のFC6軒のオーナーも決まったんだ。
 こっちの応募もすごかったんだって。ギルド長が責任感のあるいいオーナーばかりを選んだんだって。


――――――――――


 「港区に新しい食堂かできるんだってな」

 「なんだよそれ?誰の許可もらってやってんだよ?」

 「こりゃ‥‥」

 「「「やるか?」」」

 「「「おおよ」」」

 わははははは
 ワハハハハハ
 ガハハハハハ


――――――――――


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