明王様の供物番

昔むかし、とある海辺の町の大晦日。余四郎と寅吉は、明王様の祠を見張る「供物番」に選ばれた。二人は自分の居場所を見つけられずにいる半端者同士。町へ越してきて二年目の余四郎は、林の奥にある廃寺へ行こうと寅吉を誘う。

少年たちはこのとき、供物番という役割が持つ数奇な側面をまだ知らなかった。


家族同士の複雑な愛情と共感、すれ違いと無関心。信仰と背徳。
誰もが言葉にできない孤独、悩み、危うさ、弱さ、そして秘密を抱えている。

二人の少年が、心の奥底に秘めたそれぞれの衝動と渇望。それらがもたらした、小さな小さな物語。
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