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運命の人のようですわ
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3回戦は数学の試験だった。
ペーパーテストを受け、その点数がそのまま総合点に加点される。
候補者の半数が満点の200点で、マーガレットやリリアナは当然のように満点だった。
私は一問ミスがあり190点だった。
マーガレットとリリアナに勝てる気がしない。
このまま普通に戦っていては、差が詰まるどころか、どんどん引き離されて行くだけのような気がする。
私はこんなに美しく実力のある彼女たちの方が、皇太子妃にふさわしいのではないか、と思うようになって来てしまった。
私はリズルに仕立て屋の特別室に来てもらい、相談にのってもらった。
スタシアは何やら取込み中とのことで、今日はリズルだけだ。
「弱気にならないで下さい。マーガレットが話していたという最終戦の五倍ルールは本当です。選定戦が始まってから、選定委員会から皇室に知らされました」
「なぜマーガレットは知っていたのでしょうか?」
「皇后から知らされたのだと思います」
「選定ルールは選定委員会が決めるのですか?」
「そうです。これまでの総合点形式では、一芸に秀でた実力者が埋もれてしまうという問題が以前から指摘されていました。何でも満遍なくできる器用貧乏が妃になってしまう危険性を避けるためと、皇太子の意向が妃選定に反映できるように今回の改定に踏み切ったそうです」
「私にすぐに知らせなかったのは、皇太子殿下と私が連絡していることを知られないようにするためですか?」
「その通りです。連絡しているとは思っているでしょうが、確実な証拠を示したくはなかったのです。早く知らせるメリットもありませんでしたので」
私は服芸が得意ではないため、知っていることを隠すこと下手だ。
知らされなかったのは、少し残念だが、リズルの言っていることは正しいと思う。
「あのう殿下は私の戦いぶりをどのようにおっしゃってましたでしょうか」
「兄が一番気に入ったフラワーアレンジメントは、ソフィアさんのだったようです。花が一番生き生きして見えたそうです。何というか、花の自然な感じがよく出ていたと言ってました」
嬉しかった。
私の気持ちが殿下にはちゃんと伝わっている。
同じ感性を持っていることは、伴侶には必須だと思う。
「嬉しく思います」
「それから、刺繍ですが、自分の剣の動きのように見え、しっくりくると言ってました」
すごい。
全部伝わっている。
私にはこの人しかいないと思った。
マーガレットやリリアナがどう思おうが、私は殿下と一緒になりたい。
殿下もそう思ってくれている。
弱気になんてもうならない。
だが、マーガレットもリリアナもなぜこんなに頑張るのだろうか。
人の恋路を邪魔しているという自覚はあるのだろうか?
「マーガレットやリリアナはなぜあんなに頑張るのでしょうか?」
「皇太子妃になるよう育てられて来たのです。生まれてからずっと、妃選定戦の種目だけを毎日毎日訓練してきたのです」
私が剣術ばかりさせられて来たのと同じね。
「好きな殿方とかいらっしゃらないのでしょうか」
「物心ついたときから、兄の妃になることを夢見て来たのだと思います。兄もあなたに会うまではそのつもりでした。こう言っては何ですが、彼女たちから見れば、ソフィアさんは突然横から入って来た邪魔者です。殺したいほど憎いはずです」
そうか。彼女たちにも事情があるのね。
でも、だからといって、譲れないわよ。
ペーパーテストを受け、その点数がそのまま総合点に加点される。
候補者の半数が満点の200点で、マーガレットやリリアナは当然のように満点だった。
私は一問ミスがあり190点だった。
マーガレットとリリアナに勝てる気がしない。
このまま普通に戦っていては、差が詰まるどころか、どんどん引き離されて行くだけのような気がする。
私はこんなに美しく実力のある彼女たちの方が、皇太子妃にふさわしいのではないか、と思うようになって来てしまった。
私はリズルに仕立て屋の特別室に来てもらい、相談にのってもらった。
スタシアは何やら取込み中とのことで、今日はリズルだけだ。
「弱気にならないで下さい。マーガレットが話していたという最終戦の五倍ルールは本当です。選定戦が始まってから、選定委員会から皇室に知らされました」
「なぜマーガレットは知っていたのでしょうか?」
「皇后から知らされたのだと思います」
「選定ルールは選定委員会が決めるのですか?」
「そうです。これまでの総合点形式では、一芸に秀でた実力者が埋もれてしまうという問題が以前から指摘されていました。何でも満遍なくできる器用貧乏が妃になってしまう危険性を避けるためと、皇太子の意向が妃選定に反映できるように今回の改定に踏み切ったそうです」
「私にすぐに知らせなかったのは、皇太子殿下と私が連絡していることを知られないようにするためですか?」
「その通りです。連絡しているとは思っているでしょうが、確実な証拠を示したくはなかったのです。早く知らせるメリットもありませんでしたので」
私は服芸が得意ではないため、知っていることを隠すこと下手だ。
知らされなかったのは、少し残念だが、リズルの言っていることは正しいと思う。
「あのう殿下は私の戦いぶりをどのようにおっしゃってましたでしょうか」
「兄が一番気に入ったフラワーアレンジメントは、ソフィアさんのだったようです。花が一番生き生きして見えたそうです。何というか、花の自然な感じがよく出ていたと言ってました」
嬉しかった。
私の気持ちが殿下にはちゃんと伝わっている。
同じ感性を持っていることは、伴侶には必須だと思う。
「嬉しく思います」
「それから、刺繍ですが、自分の剣の動きのように見え、しっくりくると言ってました」
すごい。
全部伝わっている。
私にはこの人しかいないと思った。
マーガレットやリリアナがどう思おうが、私は殿下と一緒になりたい。
殿下もそう思ってくれている。
弱気になんてもうならない。
だが、マーガレットもリリアナもなぜこんなに頑張るのだろうか。
人の恋路を邪魔しているという自覚はあるのだろうか?
「マーガレットやリリアナはなぜあんなに頑張るのでしょうか?」
「皇太子妃になるよう育てられて来たのです。生まれてからずっと、妃選定戦の種目だけを毎日毎日訓練してきたのです」
私が剣術ばかりさせられて来たのと同じね。
「好きな殿方とかいらっしゃらないのでしょうか」
「物心ついたときから、兄の妃になることを夢見て来たのだと思います。兄もあなたに会うまではそのつもりでした。こう言っては何ですが、彼女たちから見れば、ソフィアさんは突然横から入って来た邪魔者です。殺したいほど憎いはずです」
そうか。彼女たちにも事情があるのね。
でも、だからといって、譲れないわよ。
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