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幕間1
新たな住人
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剣狼アムルスは、ユート=スミスとの約束について悩んでいた。
『腹減ってもクロノリヤの住人は食うなよ?』
今思えば、なぜあんな約束をしてしまったのか……。
彼女にとってたまに出てくるあの里の住人は、狩りやすい獲物の1つだった。単独、あるいは少数で暮らす剣狼にとって、獣よりも人の子のほうが狩りやすい。
本当なら里に忍び込みたいくらいだが、里の結界が邪魔をして入ることができない。女神の御子ヴァン=ノクサルの魔法により、外敵を排除する結界が張られているからだ。
初めての子育てで彼女はかなり疲弊していた。
子供達がまだ小さいため、狩りのために遠出できない。彼女が離れると、他の獣や同族に子供達が狙われてしまう危険があるからだ。
その上でユート=スミスとのあの約束である。
枷になってしまっているが、剣狼の矜持として反故にはできない。
何故なら3度も糧をもらってしまったから。
剣狼である彼女を恐れず、魔獣として敵視もしない。人の子にあのような者がいるとは思ってもみなかった。
そういう者がいると知った今、ユート=スミスとの約束に関わらず、人の子を狩るという選択肢は彼女の中で消えかかっている。
彼女は彼女の小さな子供達と、彼からもらった糧を少しずつ食べながら悩み続けていた。
やがて彼女は、決意した。
彼女は数日をかけて、純粋な魔獣であることを捨てた。即ち、人化の習得である。
人化を習得してすぐに、彼女は彼女の子供達にも人化を習得させた。
もともと人の子に敵意はない。食糧として狩りやすい存在だっただけである。そして今は、食糧として考えることもない。
今ならクロノリヤに入ることができるかもしれない。
女神の御子に頼んでみよう。クロノリヤヘの居住を。無理でもいい、ユート=スミスとの約束を伝えるだけでも構わない。少なくとも自分達家族は人の子を狩ることはないのだと。
クロノリヤを追われたなら、自分達を変えてしまった張本人に責任をとってもらおう。
きっとあの人の子は悪いようにしない、根拠は無いがそう確信できる。
「行きますよ、お前達」
人化の習得で覚えた人語を操り、彼女は子供達を連れて2本の足で歩き出した。人化により、彼女達の姿はすでに剣狼ではない。その姿は人族が獣化を習得した獣人のようだ。
もう剣狼には戻れない。
だが、彼女には後悔など無かった。クロノリヤから追われたとしても、最後に信じる者がいるのだからーーー。
『腹減ってもクロノリヤの住人は食うなよ?』
今思えば、なぜあんな約束をしてしまったのか……。
彼女にとってたまに出てくるあの里の住人は、狩りやすい獲物の1つだった。単独、あるいは少数で暮らす剣狼にとって、獣よりも人の子のほうが狩りやすい。
本当なら里に忍び込みたいくらいだが、里の結界が邪魔をして入ることができない。女神の御子ヴァン=ノクサルの魔法により、外敵を排除する結界が張られているからだ。
初めての子育てで彼女はかなり疲弊していた。
子供達がまだ小さいため、狩りのために遠出できない。彼女が離れると、他の獣や同族に子供達が狙われてしまう危険があるからだ。
その上でユート=スミスとのあの約束である。
枷になってしまっているが、剣狼の矜持として反故にはできない。
何故なら3度も糧をもらってしまったから。
剣狼である彼女を恐れず、魔獣として敵視もしない。人の子にあのような者がいるとは思ってもみなかった。
そういう者がいると知った今、ユート=スミスとの約束に関わらず、人の子を狩るという選択肢は彼女の中で消えかかっている。
彼女は彼女の小さな子供達と、彼からもらった糧を少しずつ食べながら悩み続けていた。
やがて彼女は、決意した。
彼女は数日をかけて、純粋な魔獣であることを捨てた。即ち、人化の習得である。
人化を習得してすぐに、彼女は彼女の子供達にも人化を習得させた。
もともと人の子に敵意はない。食糧として狩りやすい存在だっただけである。そして今は、食糧として考えることもない。
今ならクロノリヤに入ることができるかもしれない。
女神の御子に頼んでみよう。クロノリヤヘの居住を。無理でもいい、ユート=スミスとの約束を伝えるだけでも構わない。少なくとも自分達家族は人の子を狩ることはないのだと。
クロノリヤを追われたなら、自分達を変えてしまった張本人に責任をとってもらおう。
きっとあの人の子は悪いようにしない、根拠は無いがそう確信できる。
「行きますよ、お前達」
人化の習得で覚えた人語を操り、彼女は子供達を連れて2本の足で歩き出した。人化により、彼女達の姿はすでに剣狼ではない。その姿は人族が獣化を習得した獣人のようだ。
もう剣狼には戻れない。
だが、彼女には後悔など無かった。クロノリヤから追われたとしても、最後に信じる者がいるのだからーーー。
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