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「……あ、も、やめ、やめて、そこ、それやだあぁ……っ」

 ぐしゃぐしゃになったシーツを握り締めて、うつ伏せになったシェラが鳴く。俺から逃げようとした結果、こういう姿勢になっているが、そのせいで尻だけ俺に差し出すような形になってしまっていた。

 おかげさまで、シェラの痴態は余す所なく見える。長い髪は汗だくになった身体に張り付いていて、シェラが動く度に流れた。背骨のラインの窪みを、雫が滑っている。腰は絶えず震え揺れて、シェラは不本意だろうが俺を誘っているようにしか見えない。

 ゆっくりじっくり解したソコは、本来受け入れる場所では無いのに、今ではすっかり「その為の器官」のように俺の指を根本まで受け入れている。3本ほどを呑み込んでまだ余裕がでてきたその奥を、くいくいと指先で撫でてやると、シェラがまた喘ぐ。

「ひあ、やだ、やだったら、それ、やめてぇ……っ」

 もう恥も外聞も無いといった様子で懇願するシェラ。かなり気持ちいいんだろう、触ってもいないシェラの雄はまた濡れそぼって、シーツの間で切なく揺れているばかりだ。触ってやってもいいが、痛くするのは本意ではないわけで。

「じゃあこうならいいか?」

 内壁を撫でるのをやめ、3本の指でとんとんと弱点を突くように、まるでセックスをする時のように動かしてやる。一瞬息を呑んで、それからシェラはまた髪を振り乱した。

「あっ、ひぅ、それ、だめ、っ、あ、あ!」

「何されてもダメになってんのか」

「だめ、やめ、らるふ、ぁあっ、つらいからぁ……っ!」

「仕方ねえな……」

「……ッ?! あ、あぁあ、あ、だめ、それやだぁあ……っ!」

 指先をバラバラに動かして、内壁を軽く叩くようにしてやると、シェラは涙まで溢しながら叫ぶ。この場合の「いや」だの「ダメ」だのは「気持ちいい」の裏返しだとは思うが、念のため指の動きを止めてみる。

「……っは、ぁ、……っ」

 望み通りやめてやったが、それでもシェラの腰は震えていたし、俺の指を咥え込んでいる入口はひくひくして離さない。ナカが熱くうねって、吸い付いてくる。エロすぎるな、この状況。

 しばらくじっとしていると、シェラが困ったようにこちらを見る。涙を溢す金色の眼が、今は子供のように憐れで愛おしい。

「……っ、らるふぅ……」

「なんだ?」

「……ぅ、……う~…………」

 何か言いたげだが、言葉にできないらしい。唇を噛んで、妙な唸り声を上げる。シェラの身体は口よりよっぽど素直で、動かない俺の指を受け入れようと、僅かに身体を動かしてた。しかし、そんなもんじゃ足りねえんだろう。

「……っラルフ……」

「言ってもらわねえと、わかんねえぞ」

「……うう……、…………さ、……触って、くれ……っ」

「どこに?」

「……っ、…………まえ……」

 恥ずかしいのか悔しいのか、これ以上無いほど小声で答えて、シェラは顔を背ける。そう来たか、と俺は思いながら、シェラの雄を見る。確かに張り詰めて辛そうではあるが、真っ赤に染まったソレを触るのはきっと痛いだろうと思う。

「できたら触んねえほうがいいと思うがなあ」

「……だ、だが、そうしないと、………………だ、だせない……から……っ」

「ああ、出せないから辛いって言ってたのか?」

「……………………」

 返事は無いが、まあ大体そんなとこなんだろう。どうするかな、と考えていると、シェラがまた小声で何か呟いた。

「ん?」

 本当に聞こえなくて聞き返したんだが、シェラは俺がまた意地悪をしてると思ったのかもしれない。濡れた瞳で睨んできたが、その柔らかな唇からはとんでもない言葉が出てきた。

「き、きもちよすぎて、つらい、から……」

「…………」

「だ、出して、楽に、なりたい…………」

 俺はしばらくポカンとしてから、ひとりで大きく頷いた。

「シェラ」

「ぅう……な、なんだ……」

「いい方法が有る。試すか」

「……っ、ど、どんな……」

 内容を聞いてから判断しようとしているが、俺に向けられた瞳は不安と、それにも勝る期待に揺れていた。早くこの熱から、快楽の渦から抜け出したいんだろう。

「俺のモンを、お前の尻にぶち込む」

「……は?」

「セックスをする」

「……ま、待て、そんな、」

「そしたら尻だけで出せるかもしれねえぞ? 痛いところに触らなくていいし、おまけに楽になれる」

 半分本心だし、半分は下心だ。こんなモン見せられて、俺だっていい加減我慢の限界ってもんがある。俺の性欲は満たせるし、シェラも楽になれる。一石二鳥じゃねえか。

「そ、そんなこと、できるわけない、私は女ではないのだから、」

「じゃあこのままでいいのか?」

「ひあ、あっ! ……っ、動かす、な……あ、あっ」

 とんとん、と犯すように腕を動かす。俺の提案している、セックスと同じように。その先にある快感を、想像させるように。

「これだけでも、気持ちよくてたまんねえんだろ?」

「ひう、ぅっ、きもちい、い、やだ、ぁ、んん、あ、ラルフぅ……っ!」

「でもイけねえんだよな? もっと強い刺激が有れば、イけるかもしれねえぞ? 出したいんだろ? なあ、シェラ」

「……うう、あ、あぁあ……っ!」

 耳元で囁いてやると、シェラが力無く首を振る。その耳に軽く噛みつき、悲鳴を上げるシェラに畳み掛けた。

「楽になりたいんだよな? 安心しろ、何とかなるまで付き合ってやる。だから俺に任せろ。いいな?」

「あ、あぅ、あっ、らる、らるふぅう、……っ」

 涙をぽろぽろ溢しながら。シェラはわけがわからないと言った様子で、ついにこくこくと頷いた。それに「いい子だ」と囁いて、ひと息に指を引き抜く。

「――!? あ、ぁああぁっ!」

 それでさえ衝撃が強かったらしい。大きくのけ反って悲鳴を上げたシェラは、ガクガクと腰を戦慄かせながらシーツを掴んでいる。その細い身体を抱き寄せて、すっかり性器と化した場所へと俺の熱を押し付ける。

「……っ?」

 指とは違って熱く、遥かに大きいモノにシェラは驚いたような声を出しかけた。身構えたらキツくなる。俺はシェラの理解を待たず、容赦無く侵入を始める。

「ひ、ぁ、あぁああ、あ、あ!」

 仰け反って悲鳴を上げるのを抱きしめて、進める限りは腰を進めた。勿論抵抗が大きければお互いの為に止めるつもりだったんだ。しかし、たっぷりほぐしたとは言いながらも、ずるずると呑み込んでいくことに今度は俺が驚く番だった。

 もしかして、俺に伝わらないだけで、ものすごく痛い思いをしちゃいないだろうか。不安になって動きを止めると、シェラはぎゅっと目を閉じて、はくはくと口を動かし、なんとか呼吸を繋いでいるような様子だ。

「大丈夫か……?」

 いやまあ、シェラを大丈夫じゃなくしているのは俺なんだけども。問いかけると薄っすら眼を開いて、こちらを見た、気がする。どうだろう。シェラはすぐこくんと頷いて、どういうわけか抱き締めてる俺の手に、自分の手を重ねてきた。

「…………」

 おいおい、そういうことはちゃんとした恋仲の相手とやれよ。いやまあ、普通男はこうされる側だろうが。本人は無意識で、何かに縋りたいだけかもしれない。でも誤解を招くかもしれないからやめたほうがいいぜ。

 複雑な気持ちになったが、本人が大丈夫だって言うなら大丈夫なんだろう。それでもちいと不安なもんで、試しに小さく揺するように動いてみる。

「ひっ、あ、あ、らる、ふ、」

 それだけで震える声で喘ぐ。指でいじめ——かわいがっていた時も、ずいぶん気持ちよさそうにしていたから、きっと今もそうなんだろう。なら、いいか。

 ひとりで納得して、さっきまでよりゆっくり、シェラの奥へと進んでいく。

「……ぅ、あ、んん、ぅ、……~~っ!」

 ぐり、とシェラの気持ちいいところを押したらしい。途中でシェラはびくんと跳ねて、俺の手をぎゅっと握る。止めて欲しいんだか、その逆なんだか。まあ、止めたら止めたで文句を言うんだろう。

「ぁあ、ぁ、そこ、だ、め……っ、まずい……っ」

 反応した場所をゆっくりと往復してやると、シェラが震えながら声を漏らす。ナカが俺のモンに絡みついて、もっともっとって言ってるみたいだ。なんかの液体のせいとはいえ、すごいことになっちまうもんだなあ。俺だって気持ちいいし、正直にいえば、まずいという感覚はわかる。越えちゃならねえ一線みたいなものに触れているような、そんな気持ちになるんだ。

 とはいえ、ここまできてやめられる男もそうはいないだろう。

「そのまずいのに全部任せちまえよ」

「そ、そんな、こと、あっ、あ、だめ、ラルフ、らるふぅう……っ!」

 腰を引き寄せて、同じ場所を優しく突いてやれば、シェラはいよいよ甲高い、蕩けた声で鳴きだす。両の手が俺の腕に縋りつき、いやいやと額をシーツに擦り付けるものだから、痛くないかと心配になって抱き起す。それがよくなかったんだろう。

「あ、ア!?」

 急に姿勢を変えられて、ぐりとばかりに弱点を押されたシェラが悲鳴を上げた。束の間、奴のモノからトロトロと白濁した液体が溢れ出る。これには俺も眼を丸くした。

「あ、やぁ、や……やぁあ……」

 ぽろぽろ涙を零しながら、力無く声を漏らすシェラ。その性器からは同じほど力のない様子で精液が流れ出ている。

 これは長引いてキツいだろうな、とか、コイツ本当に尻で出せたのか、とか。色々考えたが結局言葉にはならず、俺はとりあえずじっとしてやって、シェラが落ち着くのを待った。この状況で待てる俺は十分に紳士だろうなとか思いながら。

「……っ、ぅう、う、ラルフ……」

 やがて絶頂の波が治まったらしい。力無くシェラが手を動かして、俺の身体に触れようとする。どした、と尋ねても、まるで子供のように名前を呼んで甘えてくるばかりだ。

 もしかしたら、未知の快感が立て続けにきて不安になったのかもなあ。俺は郷に置いてきた妹や弟たちのことを思い出して、ゆっくりと、なるべく刺激しないようにシェラをひっくり返し、抱き合うような形にしてやった。

「ラルフ、ラルフ、もうやだ、ラルフ……っ」

 するとシェラも、悪夢にうなされたガキみたいに縋り付いてくる。まあ、今回のこと自体が悪い夢みたいなもんだよな。

 しかし、よしよしと頭を撫でてやりつつも、俺とシェラは繋がったままなわけで。そろそろ俺も我慢の限界だ。シェラが嫌だと泣こうが、続けないと治りがつかない。せめてもの詫びに、額や目尻にキスしてやった。

 俺がしたのは、あくまで子供に、甘えてくるガキにやってやることだ。それ以上でもそれ以下でもねえ。なのにシェラのやつ、涙で濡れた瞳で俺を見つめたかと思ったら、その薄桃色の唇を俺の唇に押し付けてきやがった。

「んん?!」

「……ふ、ぁ、ラルフ……ぅ……」

 うっとりと眼を閉じてもう一度キスしてくる。悪いことには俺もそんなに嫌ではない。というか、こういう状況でするキスは何とも気持ちがいい。お前がやってきたんだからな、と頭の中で毒づいて、俺はシェラの唇を貪った。

「んぅ、……はぁ、らる、ふ、ぅ、……う」

 舌を差し入れると、甘えるように絡んでくる。「お前、どういうつもりか知らねえが、誤解されるからくれぐれも俺以外のやつにはするなよ」と考えながら俺も久々のキスを思う存分楽しむ。

 呼吸が乱れ、酸欠で頭がクラクラするほどだ。ふたりの唾液が混ざり合って、頭の中で水音が直接響くみたいな感覚を覚える。興奮した俺のブツが大きくなったらしい。シェラがくぐもった声で喘ぐ。

 俺ももう無理だ。シェラの体を抱きしめたまま、欲望を満たすために腰を打ちつける。

「ひあ、あっ、あ、らる、らるふ、や、あ!」

「気持ちいいか? シェラ」

 耳元で問いかければ、こくこく頷く。何だコイツ、可愛いな。俺も頭がどうにかしてきたのかもしれない。そう考えながら、シェラの脚をより一層割開く。

「ああっ、あ、らるふ、」

「早く楽になりたいだろ?」

「……あ、ぅ、……っらくに、なりたい……っ」

「じゃあ、いい子だから脚を開いてるんだ。そしたら早く終わるぜ。うんと気持ち良くもなるけどな」

「……? あ、うぁ、あ、深、いぃ……ッ」

 ず、と奥まで侵入すると、シェラが腕の中で不器用に仰反る。その喉元に軽く噛みつきながら、激しく欲望を叩き込む。

「ひあ、あっあ、激し、ひっ、らる、ふっ、ぅ……っ!」

「気持ちいいか?」

「……っ、きもちい、きもちいいっ、あ、もうやだっ、や、やだあ、気持ちいいのやだ、らるふぅ……っ!」

 打ち付けるたびに水音と肌がぶつかる音がするわ、ベッドはこれ以上無いほど軋むわ、シェラは泣くように喘ぐわ。結界が無かったら、大変なことになってたろうな。ぼんやりと考えながら、俺は絶頂に向けてより激しく腰を使った。

「ひいっ、あっ、だめ、だめ、も、むり、くる、きちゃう、ひう、きもちいいのきちゃ……っらるふぅ……っ!」

「ーーッ、シェラ、……っイけ……っ!」

「あぁああっ、い、イ、く……っう……っ、~~っ……!」

 びくびくと震えながら絶頂するシェラを、きつく抱きしめて俺も出す。ぎゅうぎゅう締め付けられ、頭が真っ白になった。何も聞こえないほどの時間は随分長く感じて、はぁっ、と互いに息を吐き出して力が抜ける。

 ああ、中に出しちまった。まあいいか、女じゃないし……などと考えながら、シェラを撫でてやった。奴はといえば、朦朧とした様子で自分の下腹部に触れている。痛いのか、違和感でも有るのか――ああいや、そりゃあるか。俺のナニをぶち込まれた挙句に中で出されたんだから。

 抜いてやろう、と思って、気付く。シェラのソレが、まだ熱を失っていないことに。

「……シェラ。お前、大変だな……」

「…………?」

 ぼんやりした様子のシェラはよくわかっていないようで、ただ俺の手に撫でられている。もうじき、またどうしようもなくなるんだろう。ひとつ溜息を吐いて、囁いた。

「大丈夫、ちゃんと最後まで責任とってやっから」

 まだまだ夜は長くなりそうだった。
 

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