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「嫌ですわ…神官長までご一緒なんて…」

「すこぶる嫌な気配がいたしましたもので…聖女カナール、ここでは何を?」

「見ての通りですの。そこにいる聖女ルーチェリア様のお役に立つ事をしようと思いたちましたのよ?」

「おや、おかしいですね?その様な指示も協議もされてはいないのですが?」

 聖女の仕事は神殿が取り締まるものである。依頼を受けた神殿はこれが正当な依頼であるか。聖女の力を必要とするものなのか厳密な協議決定を下し、聖女へと依頼を出すのだ。
 ましてや聖女カナールがいる所は昼間瘴気が漏れ出たばかりの所だ。もう既に聖女カナールによって対処が済んでいると思われている所である。

「まあ!近頃の神官は頭が硬いのね?だから未だに瘴気の漏れを恐れてここ中央神殿から私が動けなくなるのだわ…!」

「聖女カナール様…もう一度聞きますよ?こちらで何をなさっているのです?」

「嫌ですわ!アールスト様!そんなに怖いお顔なんてなさらないで?ただ、私は適材適所に聖女を当てはめようとしているだけなんですの。そうすれば貴方様の仕事ももっと楽になってよ?だってそんな世間知らずの聖女なんて……今貴方様は誰もが羨む聖騎士というよりただのお世話がかりになっているじゃありませんの。」


 その通りなので、何も言えない……


「聖女カナール様!」

「あ、動かないで下さいませ。私、うっかりとを開けてしまうかもしれませんから。」

 ポウッと聖女カナールの両手が光る。聖女カナールの足元には月光が紡ぎ出す影とは別にもっと黒く濃い陰が蠢き出している様な幻影が浮かんでくる。

「聖女カナール!?貴方は何を!!」

「どなたもお動きにならないでね?さ、聖女ルーチェリア様、こちらへ…」

 聖女カナールの足元には蠢く影…恐る恐るルーチェリアは一歩を踏み出す。

「なりません!!ルーチェリア様!!」

 剣を片手にアールストが駆け寄ってくる。

「お動きにならないで下さいませね?アールスト様。」

 次の瞬間、聖女カナールの足元から一気に瘴気が噴き出てくるのをここにいる全ての者が目の当たりにした。











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