37 / 76
37
しおりを挟む
「じゃあ、もう良いかな?僕達は散歩がてらに街を歩きたいんだよ?」
さわさわさわ……円を組んで?集まっていた人々が蜘蛛の子を散らす様に散って行く…
「凄いな…王家の力?」
「ヤスキ…?大丈夫?」
知らぬ間にギチギチに握りしめていたこぶしを、ナッチェルがそっと解してくれる。何食わぬ顔で、人々に対応していたのに、今はナッチェルの方が不安そうだ。
……すっげぇ我慢してたの、見られてたか…
「俺は、良いよ…ベス、尻尾平気か?」
何となく照れ臭くて、未だ周囲を警戒中のベスの頭をグリグリと撫でてやる。ナッチェルが側に寄れば、捥げそうなほど尻尾を振り回して喜んでいるから大丈夫そうだな?
「ふふ、ベスの為に怒ってくれてありがとうね。」
フワリと笑うナッチェルの笑顔が胸に痛い…
俺もだけれど、こいつもだ…売り物だったり、要らないって言われたり、そのうちに王家のはみ出し者になる覚悟もできてるんだ。
「なあ、ナッチェル?」
「何?ヤスキ?」
「俺は、行くとこもねぇし、やりたい事もねぇ。ベスや俺はさ、ずっとナッチェルの側にいるから………」
だから、いつもその笑顔で居てくれよ?
何となく、心に浮かんで言いたくなって口に出してみた所、甚くナッチェルの心の琴線に響いてしまったらしく、まだ人目がある往来にもかかわらず思いっきり抱きつかれてしまった………
「ふふふふ、ふふふ、ふふふふふ。」
「ベス、お前の主人はとち狂ったぞ?」
心の中の声をポツリと呟いてみたあの後からナッチェルはずっとニコニコこの調子だ。
あの後も、街をポチポチ歩いてみては、店を覗いたり、買い食いしたり意外と充実した時間が送れたと思う。
が、解せねぇ。何でこんなにナッチェルが絡んで来るんだ!しかも外で!!家の中だったら、まぁ、多少はいい、かな?とも思うが、ここ、往来!さっきの人達の目がまだあるんだよ!
この!全力ではナッチェルが怪我をするかもしれないからできないが、抱きついてこようとするのは頭を抑えて、何とか阻止!
で、阻止をキープしたまま屋敷に帰還。
今はもう、好きにしてくれ、とばかりに放置している。
俺の裸の胸元にずっと抱きついている、バカナッチェルさんをさ…………
「おい、ナッチェル?」
「何?ヤスキ?オヤツ食べたいの?」
これ、前にもあったな…何ですぐにオヤツなんだよ…
「ジェフさんが仕事持って来てたぞ?」
「今日は休みもらってる。」
「困った顔してんぞ?」
「緊急性のあるものなんて僕のところに来ないよ?」
「何でひっ付いてんの?」
「ヤスキが言ったんだよ?どこにも行かないって!」
そこだけ顔上げて、ぱぁって笑顔を向けるんだよな…卑怯者…
「行こうとしても行くとこないだろ?」
「ずっと……ずっと、一緒にいてくれるんでしょう?」
「まぁ、な…そうなるよな?」
離れたいって思わないもんな?でも、常にこれは別だけどな?
「若は大層嬉しかったのでございましょうね。」
ジェフさんまでニコニコしてる…………
さわさわさわ……円を組んで?集まっていた人々が蜘蛛の子を散らす様に散って行く…
「凄いな…王家の力?」
「ヤスキ…?大丈夫?」
知らぬ間にギチギチに握りしめていたこぶしを、ナッチェルがそっと解してくれる。何食わぬ顔で、人々に対応していたのに、今はナッチェルの方が不安そうだ。
……すっげぇ我慢してたの、見られてたか…
「俺は、良いよ…ベス、尻尾平気か?」
何となく照れ臭くて、未だ周囲を警戒中のベスの頭をグリグリと撫でてやる。ナッチェルが側に寄れば、捥げそうなほど尻尾を振り回して喜んでいるから大丈夫そうだな?
「ふふ、ベスの為に怒ってくれてありがとうね。」
フワリと笑うナッチェルの笑顔が胸に痛い…
俺もだけれど、こいつもだ…売り物だったり、要らないって言われたり、そのうちに王家のはみ出し者になる覚悟もできてるんだ。
「なあ、ナッチェル?」
「何?ヤスキ?」
「俺は、行くとこもねぇし、やりたい事もねぇ。ベスや俺はさ、ずっとナッチェルの側にいるから………」
だから、いつもその笑顔で居てくれよ?
何となく、心に浮かんで言いたくなって口に出してみた所、甚くナッチェルの心の琴線に響いてしまったらしく、まだ人目がある往来にもかかわらず思いっきり抱きつかれてしまった………
「ふふふふ、ふふふ、ふふふふふ。」
「ベス、お前の主人はとち狂ったぞ?」
心の中の声をポツリと呟いてみたあの後からナッチェルはずっとニコニコこの調子だ。
あの後も、街をポチポチ歩いてみては、店を覗いたり、買い食いしたり意外と充実した時間が送れたと思う。
が、解せねぇ。何でこんなにナッチェルが絡んで来るんだ!しかも外で!!家の中だったら、まぁ、多少はいい、かな?とも思うが、ここ、往来!さっきの人達の目がまだあるんだよ!
この!全力ではナッチェルが怪我をするかもしれないからできないが、抱きついてこようとするのは頭を抑えて、何とか阻止!
で、阻止をキープしたまま屋敷に帰還。
今はもう、好きにしてくれ、とばかりに放置している。
俺の裸の胸元にずっと抱きついている、バカナッチェルさんをさ…………
「おい、ナッチェル?」
「何?ヤスキ?オヤツ食べたいの?」
これ、前にもあったな…何ですぐにオヤツなんだよ…
「ジェフさんが仕事持って来てたぞ?」
「今日は休みもらってる。」
「困った顔してんぞ?」
「緊急性のあるものなんて僕のところに来ないよ?」
「何でひっ付いてんの?」
「ヤスキが言ったんだよ?どこにも行かないって!」
そこだけ顔上げて、ぱぁって笑顔を向けるんだよな…卑怯者…
「行こうとしても行くとこないだろ?」
「ずっと……ずっと、一緒にいてくれるんでしょう?」
「まぁ、な…そうなるよな?」
離れたいって思わないもんな?でも、常にこれは別だけどな?
「若は大層嬉しかったのでございましょうね。」
ジェフさんまでニコニコしてる…………
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
75
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる