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智洋ルート
81 また呆れさせてしまいました
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特に手伝えることもないようだったので、二人でのんびり寮に帰った。携も直に区切りが着くとかで、食堂でいつものように待ち合わせて、食事をしながら休み中のこととかかいつまんで話をした。特にセイジに関しては我ながら熱弁を振るってしまったよ~。
夏休みにもいっぱい遊ばせてもらうんだって拳を握ったら、「まさか丸ごと帰省するつもりなのか」って不審気な顔をされてしまったんだけど。
な……何か変? え? 皆夏休みも寮に居るの?
右を向いて智洋を見ると、やっぱり困ったような微笑を浮かべてる。
「和明……確かに期末の後は夏休みって名目になってはいるけれどな」
はあ、と嘆息して眉間に指を当てる携。
「ここは全館冷暖房完備なんだから、公立の学校みたいに『暑くて勉強の効率が悪い』という理由はなくてだな。つまり、単位には直接関係ないけれど七月も八月も普段とは違う授業を受けられるようになっているんだ。まあ大抵は実技に特化しているけどな。もうじき希望科目のプリントも配られると思うが、それ以前に願書出す時にちゃんと案内には目を通しておかないと」
淡々と説明されて、非常に肩身が狭いですごめんなさい。
勢いで受けちゃった俺が全部悪いんですよね解ってます。
膝に手を置いてしょぼんとしていると、
「まあ、和明らしいけどな」
って最後には苦笑しながらも頭を撫でてくれた。
とりなすように、智洋もぽんと肩を叩いてくれて、
「俺は盆期間中は帰省しろって言われてるし、そん時に遊びにくればいいじゃん、な?」
なんてにこっと笑いかけてくれた。
なんとか気分を回復させて二人ともいつものように順番に風呂を済ませると、たまにはと遊戯室に足を向けた。テレビを観ることが出来る和室も続き部屋になっているし、もっと小さい画面で個別に視聴できるような洋室もある。改めて凄い学校なんだな~。
ビリヤードコーナーでは、周と辰が二人でゲームをしていたようだった。うわっ、辰もかなりビリヤードが巧いらしいのに、俺だけ引き離されちゃうじゃん!
てか、二人が仲良いなんて初めて知ったよ。確かにクラスメイトだし二人とも社交的なタイプだし、周は積極的にビリヤード練習してるみたいだしで仲良くなる要素結構ありそうだな。
「カズ~!」
二人揃ってこっちに手を振っている。智洋は知らないだろうから、辰の事だけ紹介しておいた。
うん、二人とも猫科系の美男子だ。並んで立ってるとめっちゃ目を惹かれる!
友達同士が仲良くなるのって、輪が広がるみたいで嬉しい。にこにこしながら見ていたら、周がいつの間にか隣に立っていた。
「さっきなんか食堂でコントみたいなことやってなかった?」
内容までは聞こえなかったのか教えて欲しそうに話し掛けられる。
「コントじゃねえ……」
がっくり項垂れて、夏休みの件をバラした。
あーあ……また呆れられるに違いないよ。特に周なんかは熱望してここに入ったんだもんな。
流石に周はあからさまに呆れた様子は見せず、少し思案気に腕組みをして首を傾けた。
「夏休み、ねえ」
恐らく中学ではそんなものはなかったんだろう。当然のように毎日勉強漬けだった黒凌生たちだから、ここでも全員残るんだろうなと、それくらいは俺でも思い至った。
「周は何処か行きたいところとかねえの? 海とか」
単純に興味があって訊いてみたんだけど、なんだか蕩けるような笑みを返されてしまう。
「カズが誘ってくれるんなら何処でも行くよ?」
「えー、と」
二人きりというわけには!
びくつきながら返答に困っていると、会話が聞こえたのかはいはーい! と辰が手を上げた。
「皆で祭行こうぜ! あと、ここら辺で打ち上げ花火あるらしいしっ」
彼女持ちっぽい人の情報収集能力流石です。ちなみに隣では智洋が周にガンつけしてますが見なかったことに!
「辰~、嬉しいんだけどさ、彼女は? いるんだろ?」
話の矛先が逸れたのをこれ幸いと辰に向き直ると、キューを持っていない方の手をひらひらと閃かせた。
「連休初日に振られたー」
さらっと言われたけど、告げられた俺たちはカチンと固まってしまう。
ええと……こんな場合、どんな返答をしたらいいんでしょうか!?
付き合ったことなんて一回もないし、告白したこともされたこともない俺は対応に困ってそっと智洋と辰を見た。
あ! 周のはノーカウントで。あくまで女の子からの告白な!
夏休みにもいっぱい遊ばせてもらうんだって拳を握ったら、「まさか丸ごと帰省するつもりなのか」って不審気な顔をされてしまったんだけど。
な……何か変? え? 皆夏休みも寮に居るの?
右を向いて智洋を見ると、やっぱり困ったような微笑を浮かべてる。
「和明……確かに期末の後は夏休みって名目になってはいるけれどな」
はあ、と嘆息して眉間に指を当てる携。
「ここは全館冷暖房完備なんだから、公立の学校みたいに『暑くて勉強の効率が悪い』という理由はなくてだな。つまり、単位には直接関係ないけれど七月も八月も普段とは違う授業を受けられるようになっているんだ。まあ大抵は実技に特化しているけどな。もうじき希望科目のプリントも配られると思うが、それ以前に願書出す時にちゃんと案内には目を通しておかないと」
淡々と説明されて、非常に肩身が狭いですごめんなさい。
勢いで受けちゃった俺が全部悪いんですよね解ってます。
膝に手を置いてしょぼんとしていると、
「まあ、和明らしいけどな」
って最後には苦笑しながらも頭を撫でてくれた。
とりなすように、智洋もぽんと肩を叩いてくれて、
「俺は盆期間中は帰省しろって言われてるし、そん時に遊びにくればいいじゃん、な?」
なんてにこっと笑いかけてくれた。
なんとか気分を回復させて二人ともいつものように順番に風呂を済ませると、たまにはと遊戯室に足を向けた。テレビを観ることが出来る和室も続き部屋になっているし、もっと小さい画面で個別に視聴できるような洋室もある。改めて凄い学校なんだな~。
ビリヤードコーナーでは、周と辰が二人でゲームをしていたようだった。うわっ、辰もかなりビリヤードが巧いらしいのに、俺だけ引き離されちゃうじゃん!
てか、二人が仲良いなんて初めて知ったよ。確かにクラスメイトだし二人とも社交的なタイプだし、周は積極的にビリヤード練習してるみたいだしで仲良くなる要素結構ありそうだな。
「カズ~!」
二人揃ってこっちに手を振っている。智洋は知らないだろうから、辰の事だけ紹介しておいた。
うん、二人とも猫科系の美男子だ。並んで立ってるとめっちゃ目を惹かれる!
友達同士が仲良くなるのって、輪が広がるみたいで嬉しい。にこにこしながら見ていたら、周がいつの間にか隣に立っていた。
「さっきなんか食堂でコントみたいなことやってなかった?」
内容までは聞こえなかったのか教えて欲しそうに話し掛けられる。
「コントじゃねえ……」
がっくり項垂れて、夏休みの件をバラした。
あーあ……また呆れられるに違いないよ。特に周なんかは熱望してここに入ったんだもんな。
流石に周はあからさまに呆れた様子は見せず、少し思案気に腕組みをして首を傾けた。
「夏休み、ねえ」
恐らく中学ではそんなものはなかったんだろう。当然のように毎日勉強漬けだった黒凌生たちだから、ここでも全員残るんだろうなと、それくらいは俺でも思い至った。
「周は何処か行きたいところとかねえの? 海とか」
単純に興味があって訊いてみたんだけど、なんだか蕩けるような笑みを返されてしまう。
「カズが誘ってくれるんなら何処でも行くよ?」
「えー、と」
二人きりというわけには!
びくつきながら返答に困っていると、会話が聞こえたのかはいはーい! と辰が手を上げた。
「皆で祭行こうぜ! あと、ここら辺で打ち上げ花火あるらしいしっ」
彼女持ちっぽい人の情報収集能力流石です。ちなみに隣では智洋が周にガンつけしてますが見なかったことに!
「辰~、嬉しいんだけどさ、彼女は? いるんだろ?」
話の矛先が逸れたのをこれ幸いと辰に向き直ると、キューを持っていない方の手をひらひらと閃かせた。
「連休初日に振られたー」
さらっと言われたけど、告げられた俺たちはカチンと固まってしまう。
ええと……こんな場合、どんな返答をしたらいいんでしょうか!?
付き合ったことなんて一回もないし、告白したこともされたこともない俺は対応に困ってそっと智洋と辰を見た。
あ! 周のはノーカウントで。あくまで女の子からの告白な!
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