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3 家を建てる事にした

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 半年が経った。
 とうとう魔物がやって来なくなった。
 魔物たちがここを、もっとも強い魔物、俺のテリトリーだと認識したんだろう。

 次は土を作るか。
 土を掘り返して柔らかくして、魔物の死体をぶち込んで養分に変える魔法をかけるか。侵入した魔物も捕獲して養分に変えるようにすれば、栄養価の高い土が出来るな。

 種は適当に持たされたやつを、風魔法でばら撒いて、適度に水をやる自動魔法をかけておけばいいだろう。

 肉はいままで倒した魔物素材が、劣化しない空間収納に入っているし、もう開拓団来てもいいんじゃないか?

『開墾できました。人を送ってください』

『家タテロ。領民ニノジュクサセル気カ』

「ふざけんな! 俺は野宿だったぞ!!」

 今は土塔で暮らしてるが。

 奴ら見てるな。遠話がカタコトなのも嫌がらせに違いない。

『姉さん、助けて下さい』

 侯爵家の第一子、正妻の一人娘、総領姫の姉に遠話で助けを求めた。

『お母様が側室達から嫌がらせを受けているの。貴方、解決できるかしら』

 姉は正妻を守って側室と抗争中らしい。
 女の戦いに俺は無力だ。

『兄さん、助けて下さい』

 侯爵家の長男に助けを求めた。

『リグルの首をとってこい』

 兄は兄弟と血で血を洗う抗争中だった。

『兄さん、助けて下さい』

 侯爵家の次男に助けを求めた。武闘派の長男と違って次男は穏健派だ。

『シグルの首を持ってきたら助けてあげるよ。辺境は大変だろう』

 ガチな抗争だった。
 兄弟喧嘩の延長だと思っていたのに。

 なにがあったんだ。

 事情が知りたくて、中立派の次女に連絡をとった。

『姉さん、大変です』

 長男と次男がガチで抗争してます。なにがあったんですか?

『各派のバランスを取っていた貴方がいなくなったからよ。いま家中ではどこもかしこも抗争と陰謀が蔓延っていて安全なところはないわ。そっちはどう?』

『暇です。開拓団か村人に来て欲しいです』

『ちょうどいいわ。武闘派と穏健派、全部連れて行ってくれない?』

『無理です! 俺、後ろ盾のない七男なんですよ』

『剣聖の賢者がなに情けないことを言ってるの。侯爵家の膿を出し切ってちょうだい』

『俺には無理です。勘弁してください』

『玉無し野郎』

 姉さん、下品。
 きっと辺境に向けて中指立ててるんだろうな。

 これ以上、侯爵家と関わると、本気で抗争に巻き込まれかねない。
 地道に頑張ろう。

 俺は家を建てる事にした。


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