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第3章『冒険者の街アーバン』
冒険者の街
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「あれが……冒険者の街、やっと着いたのね!」
狼の群れとの戦い以降は何事もなく、順調な旅が続いた。そして今、俺達の視線の先には城壁が見えている。目的地はもう目の前だ。
街を取り囲む城壁に装飾などはなく、無骨な印象を受ける。堅固そうな10メートルほどの石壁だ。前世ではもっと大きな建物なんていくらでもあったが、この世界に来てから初めて見る巨大な建造物に何故か圧倒されてしまう。
既に昼頃だからなのか、門の近くには2人の衛兵しかいない。これならすぐに街の中へ入れるだろう。
「身分証を出していただけますか?」
近付くと1人の衛兵が話し掛けてきた。アーシャ達は身分証なんて持っているのだろうか?
「……持ってないわ、私達は冒険者になりに来たのだけど」
「そうですか。仮の身分証を発行するには1人につき銀貨1枚となりますが、よろしいですか?」
アーシャ達は銀貨を渡した。よかった、身分証がなくても街に入ることはできるみたいだな。
「……はい確認しました。これが仮の身分証です、どうぞお通り下さい。冒険者ギルドはこの大通りを街の中心まで進んだところにあります」
「分かったわ、ありがとう」
街の中に入ったが、出歩いている人は両手で数え切れるほどしかいない。……殆どの冒険者はダンジョンに行ったり、魔の森で魔物を討伐しているのだろう。
「今日は冒険者登録を済ませたら宿屋で休まない?」
「そうですね、今日は明日のためにしっかりと体を休ませましょう。集中力の切れた疲れた体では、普段なら対処できる問題でも命取りになりかねないですし」
「今夜はぐっすり眠れる……」
1週間も旅をするなんて初めての経験だった。腕に巻き付いていただけの俺でもこんなに疲れたのだし、歩き続けていたアーシャ達はそれ以上に疲れている筈だ。今日は宿でしっかりと休んで、旅の疲れを癒やしてほしい。
俺達はのんびりと歩いて冒険者ギルドに向かった。大通りには武器屋、鍛冶屋、雑貨店など色んな店がある。その中でも特に気になったのは、薬を扱っている店と魔道具を扱っている店だ。機会があればいつかアーシャと一緒に行ってみたいと思う。
ここが冒険者ギルドか、冒険者の街というだけあって大きく立派な建物だな。ギルドの中は正面に受付らしき場所があり、横にはテーブルと椅子がズラリと並んでいる。階段もあるが今はいいだろう。そんなことより、……やっぱり受付嬢は美人ばかりだ。まあアーシャ達の方が上だけどな!
「冒険者登録をできるかしら?」
「冒険者登録ですね、こちらの用紙に必要事項を記入して下さい。その間に基本的なことをお伝えします」
「分かったわ、これに書けばいいのね」
渡された用紙には名前や出身、それと任意で自分のレベルやスキルを書く欄があった。
「この街の冒険者の仕事は、主に魔物の討伐とダンジョンの攻略です。ギルドでは魔物の素材や討伐証明部位、魔石やダンジョンコアを換金できます」
ダンジョンコアか、一度は見てみたい。どんな形や色、……味をしているのだろうか?
「冒険者にはランクがあり、高ランクの冒険者には様々な権利が与えられます。冒険者は3ヶ月に1回のみ審査を受けられ、そのときにランクを上げられます。説明は以上になりますが、何か不明な点がありましたら遠慮なく聞いて下さい。」
……ここで色ボケ主人公だったら胸の大きさを聞いたりするのだろうが、勿論俺はそんなこと聞かない。
「書き終わったわ、これでいいかしら?」
「……大丈夫ですよ、これで冒険者登録は終了しました。こちらは冒険者タグになりますので、なくさないようにお気を付け下さい。今から審査を受けられますか?」
「いいえ、明日受けるわ。あっ……オススメの宿屋はあるかしら?」
「そうですね、……月鹿亭はどうでしょうか?お酒は出ませんが、女性の方のみが宿泊できる宿で雰囲気も良いですよ。ギルドを出て、右の大通りを少し進んだ先にあります」
「月鹿亭ね、ありがとう。助かったわ」
冒険者登録を済ませた俺達は冒険者ギルドを出て、受付嬢オススメの宿屋に向かった。
狼の群れとの戦い以降は何事もなく、順調な旅が続いた。そして今、俺達の視線の先には城壁が見えている。目的地はもう目の前だ。
街を取り囲む城壁に装飾などはなく、無骨な印象を受ける。堅固そうな10メートルほどの石壁だ。前世ではもっと大きな建物なんていくらでもあったが、この世界に来てから初めて見る巨大な建造物に何故か圧倒されてしまう。
既に昼頃だからなのか、門の近くには2人の衛兵しかいない。これならすぐに街の中へ入れるだろう。
「身分証を出していただけますか?」
近付くと1人の衛兵が話し掛けてきた。アーシャ達は身分証なんて持っているのだろうか?
「……持ってないわ、私達は冒険者になりに来たのだけど」
「そうですか。仮の身分証を発行するには1人につき銀貨1枚となりますが、よろしいですか?」
アーシャ達は銀貨を渡した。よかった、身分証がなくても街に入ることはできるみたいだな。
「……はい確認しました。これが仮の身分証です、どうぞお通り下さい。冒険者ギルドはこの大通りを街の中心まで進んだところにあります」
「分かったわ、ありがとう」
街の中に入ったが、出歩いている人は両手で数え切れるほどしかいない。……殆どの冒険者はダンジョンに行ったり、魔の森で魔物を討伐しているのだろう。
「今日は冒険者登録を済ませたら宿屋で休まない?」
「そうですね、今日は明日のためにしっかりと体を休ませましょう。集中力の切れた疲れた体では、普段なら対処できる問題でも命取りになりかねないですし」
「今夜はぐっすり眠れる……」
1週間も旅をするなんて初めての経験だった。腕に巻き付いていただけの俺でもこんなに疲れたのだし、歩き続けていたアーシャ達はそれ以上に疲れている筈だ。今日は宿でしっかりと休んで、旅の疲れを癒やしてほしい。
俺達はのんびりと歩いて冒険者ギルドに向かった。大通りには武器屋、鍛冶屋、雑貨店など色んな店がある。その中でも特に気になったのは、薬を扱っている店と魔道具を扱っている店だ。機会があればいつかアーシャと一緒に行ってみたいと思う。
ここが冒険者ギルドか、冒険者の街というだけあって大きく立派な建物だな。ギルドの中は正面に受付らしき場所があり、横にはテーブルと椅子がズラリと並んでいる。階段もあるが今はいいだろう。そんなことより、……やっぱり受付嬢は美人ばかりだ。まあアーシャ達の方が上だけどな!
「冒険者登録をできるかしら?」
「冒険者登録ですね、こちらの用紙に必要事項を記入して下さい。その間に基本的なことをお伝えします」
「分かったわ、これに書けばいいのね」
渡された用紙には名前や出身、それと任意で自分のレベルやスキルを書く欄があった。
「この街の冒険者の仕事は、主に魔物の討伐とダンジョンの攻略です。ギルドでは魔物の素材や討伐証明部位、魔石やダンジョンコアを換金できます」
ダンジョンコアか、一度は見てみたい。どんな形や色、……味をしているのだろうか?
「冒険者にはランクがあり、高ランクの冒険者には様々な権利が与えられます。冒険者は3ヶ月に1回のみ審査を受けられ、そのときにランクを上げられます。説明は以上になりますが、何か不明な点がありましたら遠慮なく聞いて下さい。」
……ここで色ボケ主人公だったら胸の大きさを聞いたりするのだろうが、勿論俺はそんなこと聞かない。
「書き終わったわ、これでいいかしら?」
「……大丈夫ですよ、これで冒険者登録は終了しました。こちらは冒険者タグになりますので、なくさないようにお気を付け下さい。今から審査を受けられますか?」
「いいえ、明日受けるわ。あっ……オススメの宿屋はあるかしら?」
「そうですね、……月鹿亭はどうでしょうか?お酒は出ませんが、女性の方のみが宿泊できる宿で雰囲気も良いですよ。ギルドを出て、右の大通りを少し進んだ先にあります」
「月鹿亭ね、ありがとう。助かったわ」
冒険者登録を済ませた俺達は冒険者ギルドを出て、受付嬢オススメの宿屋に向かった。
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