【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

閉ざされる屋敷

12-4

「バリス！？」驚いたものの、
確かにうちの料理長だ。

「お帰り」と迎え入れ
抱きつく…こうとしたら後ろが邪魔をした。

(おや？禁止事項かな)
度々、動きを制されるのは守られているような制限。

ロードの守護圏内を離れるとこうなる。もしくは行動の阻止。
グイっと離された腕の持ち主を見る。

少しの警戒は初対面だからで合ってるよね？
「こちら、『竜の翼』のロード。」と客人へ挨拶を促す。

「おお、聴いて帰ってっきた！料理長やってるバリスだ。」

ピリっと警戒の雰囲気が解かれない。


「…ちょっと話しようぜ？」挑発的な言葉が注ぎ足される。
『ちょっと？玄関先でやらないでよ』と言う前に

「その前に、土産な！」
肩掛けの収納バッグ、その中に食材や料理があるらしい。キッチンへ移動。

「甘いもんもあるぞ！」
と見せられたのは、ホールケーキ！！

客人へ紅茶つきの歓待のための甘味。
その全体の印象は、私の好みに合わせて買ってきた雰囲気がするものの
『竜の翼』は甘いもの好きな方らしい。

カナンがやってきて、「豪勢になりそうだな」とパーティ料理のような
食事や食材を見ていた。

ロードを抑えてもらっているので、バリスと打ち合わせできている。

昼と夜は持ち帰った食事で
「明日から作るぜ！」と言ってくれた。

『それは良いけど、王都ではどうなの？
ガイサスおじさんの指示だろうけど』と口にしようとしたところで


「なぜ帰った？」

低い声はサディスのもの。

(あ、これは長くなる。)
さりげなく、離れたセリは確信している。

バリスとサディスの喧嘩が始まる！


サディスが怒る方なんだが、バリスの言い分もわかる。
今回はガイサスおじさんの指示もあっての帰還だ。


(何をそう怒るのか？)と思うのと同時に、言いたいことがあるなら言い合えば良い。
できれば物は壊さないで！
　
「なぜ貴方が帰ってきたのです！指示なら手紙で十分でしょう。」

鬱憤がたまっているかな。
仕事がひと段落したなら休めるから！

「そりゃあ、セリが心配だろ？まだ未成年だぞ。」

「当主の捜索は貴方がついていく筈でしたよね？！」

「家にいないやつより
頑張ってる子供を応援したくなるわな？」

あ。これは、サディスが参加したかったけど譲って、
帰ってきちゃったから怒ってるのかな？
采配は私ではなく、ガイサスだ。

当主とセリュート、ヴェーネン家のためになるよう采配している。

今回の、役が書類仕事だったから不満なんだな。
サディスは当主との関わりが強いんだろうと節々で感じていた。

セリュートと一歩離れた接し方をする、専属になった後もだ。

当主の不在は、緊急事態でも止まるのは

当主への忠誠、家への忠義っていうまだ繋がりがあるから？


2人はlだいたいああだから。発散させるに限る。
セリュートとして放任の構えだ。
仕事はしてくれるし頼りになる

(これくらいのやり取り仕方がないか)
と諦めのセリは、昼はサンドイッチくらい自分が作ろうと

キッチンへ消えていった。