53 / 98
第3章
27.ヤメテ……モウ……ヤメテ……
しおりを挟む
3人が立ち向かい、血渋木と共に床へと転がる。
その光景を何度見続けたか……
何度繰り返されたのか……
あまりにも凄惨な光景。自分が拷問を受けた時の苦痛の方がマシかと思われるような精神へのダイレクトアタック。
精神攻撃は基本っというが、エクレアにとってこうかはばつぐんだったのだろう。
正気のまま狂っているエクレアの精神を見事にえぐり取ったのだ。
「ヤメテ……モウ……ヤメテ……」
いつしかエクレアの瞳から“狂気”は消え去り、何も映らなくなっていた。
まさに“死んだ魚のような目”でもって目の前の惨劇を呆然と見続けるだけであった……
そんな永遠とも思える光景だが唐突に変化が起きる。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
突如あがった絶叫、今までのループにはなかった変化……
その声がエクレアを正気?に引き戻したようだ。
先ほどまで全く焦点のあってなかった目が映し出したのは……
「あぁぁぁぁぁあがあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
絶叫を上げるローインであった。
全身血塗れで必死に喉をひっかきながら苦しみもがくその姿は……『魔人』であった。
金髪だった髪が黒く染まり、血濡れた肌も日焼けしたかのごとく黒く染まり。瞳は紅く深く………
「あれ……は……『魔人化』……」
なぜローインが魔人化したのかわからない。
わからないが、若干ながら生気と正気をもどしたエクレアは直感で感じた。
“まさか……あの薬を!!!?”
エクレアが『魔人化』を会得するにいたった薬。通称『超神水』だが、あれは『飲んだ人絶対殺すマン』と言わんばかりな『殺意の塊』に溢れたデスポーションだ。
飲んだものに訪れるのは確実な……『死』
毒を無効化させるチートに似た特殊体質があったエクレアすらも6時間苦しみもがく羽目になったあれを……
ローインは飲んだのだと直感した。
すなわち、ローインはあの時エクレアが味わった苦しみに襲われているのだと予測される。
常人ならまず耐えれない、死が癒しとも思えるような苦痛を……
ダン!!
耐え切った。強く踏み込んだ気合の『震脚』でもって抑え込んだ。
全身血塗れで絶え間なく流れ出る血。左腕は骨が折れているのか、だらんと垂れさがったまま。動かす度に噴き出す血は致死量に至らんばかりながらも、闘志だけは衰えない。
消えかけのろうそくのごとく、残り少ない命を全て闘志に変換っとばかりに激しく燃え盛っていた。
地を蹴る。
その速度は常人の目では追えないほどの速さ。
エクレアの場合はある程度制御をかけるが、ローインは制御などしない。
する必要ないっとばかりに勢いそのまま男へと突撃。
ドゴン!!
丁度エクレアのすぐそばの壁際まで押し込んだ。
男から苦痛のうめきがあがるも、代償としてローインの左腕が壊れた。
激突の衝撃に耐えきれず、聞くに堪えない音を響かせて壊れたのだ。
どちらの方がより多くのダメージを受けたのか一目瞭然な有様だ。
「動かないで!薬を吐いて!!そうすればまだ助かる!!助かるから!!!」
エクレアは叫んだ。訴えたつもりだったが実際は声など出てなかったのだろう。
頸動脈を圧迫されてるのでまともに呼吸できないのだ。
ほとんど口パクだったが、必死に訴えた。
そんなエクレアを訴えはローインに届いたのか、ふいに目が合い……
ふっと笑った。笑いながら唇が動く。
何を言ったのかわからない。わからないが……多分おそらくエクレアにとって聞きたくない言葉だったのだろう。
「ーーーー!!!」
もう自分でも何を言ってるのかわからない声をあげる。
戦いに割り込もうとするも、磔にされた身体は縫い付けられたまま動けず………
そして………
……………………
決着はついた。
閃光ともいうべき光と共に……
無限ループは消え、結末は訪れた。
ただし、その結末は………
彼女にとって決して望んでいたものではなく
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エクレアから絶叫があがった。
その光景を何度見続けたか……
何度繰り返されたのか……
あまりにも凄惨な光景。自分が拷問を受けた時の苦痛の方がマシかと思われるような精神へのダイレクトアタック。
精神攻撃は基本っというが、エクレアにとってこうかはばつぐんだったのだろう。
正気のまま狂っているエクレアの精神を見事にえぐり取ったのだ。
「ヤメテ……モウ……ヤメテ……」
いつしかエクレアの瞳から“狂気”は消え去り、何も映らなくなっていた。
まさに“死んだ魚のような目”でもって目の前の惨劇を呆然と見続けるだけであった……
そんな永遠とも思える光景だが唐突に変化が起きる。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
突如あがった絶叫、今までのループにはなかった変化……
その声がエクレアを正気?に引き戻したようだ。
先ほどまで全く焦点のあってなかった目が映し出したのは……
「あぁぁぁぁぁあがあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
絶叫を上げるローインであった。
全身血塗れで必死に喉をひっかきながら苦しみもがくその姿は……『魔人』であった。
金髪だった髪が黒く染まり、血濡れた肌も日焼けしたかのごとく黒く染まり。瞳は紅く深く………
「あれ……は……『魔人化』……」
なぜローインが魔人化したのかわからない。
わからないが、若干ながら生気と正気をもどしたエクレアは直感で感じた。
“まさか……あの薬を!!!?”
エクレアが『魔人化』を会得するにいたった薬。通称『超神水』だが、あれは『飲んだ人絶対殺すマン』と言わんばかりな『殺意の塊』に溢れたデスポーションだ。
飲んだものに訪れるのは確実な……『死』
毒を無効化させるチートに似た特殊体質があったエクレアすらも6時間苦しみもがく羽目になったあれを……
ローインは飲んだのだと直感した。
すなわち、ローインはあの時エクレアが味わった苦しみに襲われているのだと予測される。
常人ならまず耐えれない、死が癒しとも思えるような苦痛を……
ダン!!
耐え切った。強く踏み込んだ気合の『震脚』でもって抑え込んだ。
全身血塗れで絶え間なく流れ出る血。左腕は骨が折れているのか、だらんと垂れさがったまま。動かす度に噴き出す血は致死量に至らんばかりながらも、闘志だけは衰えない。
消えかけのろうそくのごとく、残り少ない命を全て闘志に変換っとばかりに激しく燃え盛っていた。
地を蹴る。
その速度は常人の目では追えないほどの速さ。
エクレアの場合はある程度制御をかけるが、ローインは制御などしない。
する必要ないっとばかりに勢いそのまま男へと突撃。
ドゴン!!
丁度エクレアのすぐそばの壁際まで押し込んだ。
男から苦痛のうめきがあがるも、代償としてローインの左腕が壊れた。
激突の衝撃に耐えきれず、聞くに堪えない音を響かせて壊れたのだ。
どちらの方がより多くのダメージを受けたのか一目瞭然な有様だ。
「動かないで!薬を吐いて!!そうすればまだ助かる!!助かるから!!!」
エクレアは叫んだ。訴えたつもりだったが実際は声など出てなかったのだろう。
頸動脈を圧迫されてるのでまともに呼吸できないのだ。
ほとんど口パクだったが、必死に訴えた。
そんなエクレアを訴えはローインに届いたのか、ふいに目が合い……
ふっと笑った。笑いながら唇が動く。
何を言ったのかわからない。わからないが……多分おそらくエクレアにとって聞きたくない言葉だったのだろう。
「ーーーー!!!」
もう自分でも何を言ってるのかわからない声をあげる。
戦いに割り込もうとするも、磔にされた身体は縫い付けられたまま動けず………
そして………
……………………
決着はついた。
閃光ともいうべき光と共に……
無限ループは消え、結末は訪れた。
ただし、その結末は………
彼女にとって決して望んでいたものではなく
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エクレアから絶叫があがった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
婚約破棄された瞬間、隠していた本性が暴走しました〜悪女の逆襲〜
タマ マコト
恋愛
白崎財閥の令嬢・白崎莉桜は、幼いころから完璧であることを強いられた女であった。
父の期待、社会の視線、形式ばかりの愛。
彼女に許されたのは「美しく笑うこと」だけ。
婚約者の朝霧悠真だけが、唯一、心の救いだと信じていた。
だが、華やかな夜会の中、彼は冷ややかに告げる。
「俺は莉桜ではなく、妹の真白を愛している」
その瞬間、莉桜の中の何かが崩れた。
誰のためにも微笑まない女——“悪女”の本性が、静かに目を覚ます。
完璧な令嬢の仮面を捨て、社会に牙を剥く莉桜。
彼女はまだ知らない。
その怒りが、やがて巨大な運命の扉を開くことを——。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる