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第3章
35.一緒に……帰ろうね
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蘇生……と一口でいっても、いきなり蘇生を行うわけにはいかない。
ローインの体内は『超神水』の猛毒成分が絶賛大暴れの最中だ。まずはこの成分を取り除く必要がある。
そのやり方は、単純に奪えばいいだけであった。
牢屋内でエクレアが男にやられた、『魂吸収』ともいうべ技で奪えばいいだけなのだ。
ちなみにこの『魂吸収』は吸血鬼を始めとする一部の魔物固有の技。本来ならエクレアでは到底使えない技であるも、“キャロット”の種族はその一部の魔物に属する『夢魔』だ。“キャロット”を憑依させた『悪魔化』状態なら使用可能らしい。
さらにいえば男から『魔力』と『魔人化』の能力を奪われた際にちゃっかり原理を解析したとかで全く同じ事ができるとのこと。
エクレアとしては『それどこの青魔法だ!!』って突っ込みたくなるも、この時ばかりはありがたい仕様なのであえてスルー。エクレアは男を真似て、ローインから『超神水』で得た『魔力』と『魔人化』の能力を奪い取る事にした。
…………口移しで。
少女吸引中……
「……ふぅ……成功したかな?」
口から離して改めて診察。
ローインの中で暴れまくっていた薬の成分は全てエクレアの中に移ったようだ。
その代わり、エクレアの中で薬の成分……2年前にエクレアを6時間も苦しみもがいた猛毒の成分が暴れまわってるも、
ぎゅっ
震脚ではなく拳をぐっと握りしめる動作のみで鎮めた。
今の『悪魔化』状態のエクレアはフィジカル面だと素に毛が生えた程度の強化であるもメンタル面、魔法や特殊能力系の力は大きく強化されてる状態だ。
『毒無効化』の能力も強化されてるようなので朝飯前的な感覚で鎮める事はできるようだ。ただし……
「問題はここから……かぁ」
猛毒成分の取り除きは所詮前菜。次の蘇生こそが本番……いわばメインディッシュだ。
こちらはドレインみたく簡単に行えないし、下手すればエクレア自身も命を落としかねない危険な行為。
それでも行わないという選択肢はない。エクレアは一度深呼吸を行って息を整え……
エクレアはローインの蘇生に取りかかった。
その蘇生の手順だが、まず最初は『譲歩』だ。
『生命力』の譲歩。原理としては“深淵”内でゴブリンから生命力を搾り取った力の逆流。
エクレアから逆に搾り取った『生命力』をローインに流し込む、いわば裏技。
理論上では生命力を流し込んで生命活動を再開させれば蘇生可能……ではあるも、そう簡単にいくわけではない。
今のローインはほぼ全ての生命活動が静止した状態。
このまま生命力を送っても全身に行き渡らないので、行き渡らせるようにさせる必要がある。
その方法は……一言でいえば『洗脳』である。
“洗脳”は悪魔が持つ定番な能力の一つで、エクレアはこの『洗脳』でローインに『イキロ!』と命じるのだ。
本当は死んでるのに実は生きているんだっという錯覚を起こさせて、生きるためにエクレアから流された生命力で各所の治療を促す。
理論としてはこんな感じで言葉にすれば簡単ではあるが……
「うぐぐぐ……これ思ってる以上にきっつい」
当然である。
ローインのほぼ死んだ身体を『洗脳』で無理やり動かして生きてる時と同様に各所を治療させてるのだ。
時間が経てばそれだけ死の自覚が芽生えて『洗脳』の効き目が薄くなるのでのんびりできない。
かといって焦りのあまり生命力を過剰に送ってしまえば肉体を死滅させてしまう。
容態を診ながら慎重に……かつ、急ぎで適切な量の生命力を送り込む。
その難易度は超難病の手術と大差なし。前世の記憶から『悪魔化』に関する情報。いわゆる熟練度を引き継がせて最初からカンスト状態にして、さらに患者の容態を診察する医学の心得がなければ成功の目すらないほどだ。
加えてローインの容態の異変をわずかでも見逃さないよう、極限まで集中力を高めて試行させてるから脳のキャパシティは臨界突破。
“キャロット”にいくらかの負担を受け持ってもらわなかったらに頭爆発起こしてるレベルだ。
蘇生の最中に何度も血反吐を吐き出した。
眼や鼻から流血が垂れていた。
生命力は大半をダンジョンを形成する地脈のような力をぶんどって補ってはいるも、全く無消費というわけではない。回数をこなす度に脱力感が襲ってくる。視界も霞んで全身が寒気でガタガタと震えだす。自分が死に近づいてるのがわかる。
このまま続けていたら死ぬかもしれない……
そう思いつつも……
「絶対……絶対に助けるから。そして……一緒に……帰ろうね」
朦朧とした意識の中であっても気力だけは衰えさせない。文字通り自分の命を搾り取りながらも生命力を送り、全身へと行き渡らせる。
ローインの身体を壊さないよう、慎重に、ゆっくりと……
ゆっくりと……
ゆっくり……
ローインの体内は『超神水』の猛毒成分が絶賛大暴れの最中だ。まずはこの成分を取り除く必要がある。
そのやり方は、単純に奪えばいいだけであった。
牢屋内でエクレアが男にやられた、『魂吸収』ともいうべ技で奪えばいいだけなのだ。
ちなみにこの『魂吸収』は吸血鬼を始めとする一部の魔物固有の技。本来ならエクレアでは到底使えない技であるも、“キャロット”の種族はその一部の魔物に属する『夢魔』だ。“キャロット”を憑依させた『悪魔化』状態なら使用可能らしい。
さらにいえば男から『魔力』と『魔人化』の能力を奪われた際にちゃっかり原理を解析したとかで全く同じ事ができるとのこと。
エクレアとしては『それどこの青魔法だ!!』って突っ込みたくなるも、この時ばかりはありがたい仕様なのであえてスルー。エクレアは男を真似て、ローインから『超神水』で得た『魔力』と『魔人化』の能力を奪い取る事にした。
…………口移しで。
少女吸引中……
「……ふぅ……成功したかな?」
口から離して改めて診察。
ローインの中で暴れまくっていた薬の成分は全てエクレアの中に移ったようだ。
その代わり、エクレアの中で薬の成分……2年前にエクレアを6時間も苦しみもがいた猛毒の成分が暴れまわってるも、
ぎゅっ
震脚ではなく拳をぐっと握りしめる動作のみで鎮めた。
今の『悪魔化』状態のエクレアはフィジカル面だと素に毛が生えた程度の強化であるもメンタル面、魔法や特殊能力系の力は大きく強化されてる状態だ。
『毒無効化』の能力も強化されてるようなので朝飯前的な感覚で鎮める事はできるようだ。ただし……
「問題はここから……かぁ」
猛毒成分の取り除きは所詮前菜。次の蘇生こそが本番……いわばメインディッシュだ。
こちらはドレインみたく簡単に行えないし、下手すればエクレア自身も命を落としかねない危険な行為。
それでも行わないという選択肢はない。エクレアは一度深呼吸を行って息を整え……
エクレアはローインの蘇生に取りかかった。
その蘇生の手順だが、まず最初は『譲歩』だ。
『生命力』の譲歩。原理としては“深淵”内でゴブリンから生命力を搾り取った力の逆流。
エクレアから逆に搾り取った『生命力』をローインに流し込む、いわば裏技。
理論上では生命力を流し込んで生命活動を再開させれば蘇生可能……ではあるも、そう簡単にいくわけではない。
今のローインはほぼ全ての生命活動が静止した状態。
このまま生命力を送っても全身に行き渡らないので、行き渡らせるようにさせる必要がある。
その方法は……一言でいえば『洗脳』である。
“洗脳”は悪魔が持つ定番な能力の一つで、エクレアはこの『洗脳』でローインに『イキロ!』と命じるのだ。
本当は死んでるのに実は生きているんだっという錯覚を起こさせて、生きるためにエクレアから流された生命力で各所の治療を促す。
理論としてはこんな感じで言葉にすれば簡単ではあるが……
「うぐぐぐ……これ思ってる以上にきっつい」
当然である。
ローインのほぼ死んだ身体を『洗脳』で無理やり動かして生きてる時と同様に各所を治療させてるのだ。
時間が経てばそれだけ死の自覚が芽生えて『洗脳』の効き目が薄くなるのでのんびりできない。
かといって焦りのあまり生命力を過剰に送ってしまえば肉体を死滅させてしまう。
容態を診ながら慎重に……かつ、急ぎで適切な量の生命力を送り込む。
その難易度は超難病の手術と大差なし。前世の記憶から『悪魔化』に関する情報。いわゆる熟練度を引き継がせて最初からカンスト状態にして、さらに患者の容態を診察する医学の心得がなければ成功の目すらないほどだ。
加えてローインの容態の異変をわずかでも見逃さないよう、極限まで集中力を高めて試行させてるから脳のキャパシティは臨界突破。
“キャロット”にいくらかの負担を受け持ってもらわなかったらに頭爆発起こしてるレベルだ。
蘇生の最中に何度も血反吐を吐き出した。
眼や鼻から流血が垂れていた。
生命力は大半をダンジョンを形成する地脈のような力をぶんどって補ってはいるも、全く無消費というわけではない。回数をこなす度に脱力感が襲ってくる。視界も霞んで全身が寒気でガタガタと震えだす。自分が死に近づいてるのがわかる。
このまま続けていたら死ぬかもしれない……
そう思いつつも……
「絶対……絶対に助けるから。そして……一緒に……帰ろうね」
朦朧とした意識の中であっても気力だけは衰えさせない。文字通り自分の命を搾り取りながらも生命力を送り、全身へと行き渡らせる。
ローインの身体を壊さないよう、慎重に、ゆっくりと……
ゆっくりと……
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