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第4章
24.真相聞かされた時はマヂで殺意覚えた……(side:エクレア)
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エクレアは一週間前に前世の記憶をより深く思い出した……と言っても、まだ全て思い出したわけではない。
ややこしい話だが、エクレアの中には3種類の記憶が存在する。
一つ目はエクレアの記憶……生まれた時から保有しているエクレア本来の記憶だ。3年前の事故の後は多少違和感あっても今は生来の記憶としてすっかり馴染んでいる。
二つ目は『神』に植え付けられたと思わしき偽の前世の記憶。
自分の前世は乙女ゲーム系のお花畑ヒロインにあこがれており、異世界転生してヒロインに生まれ変わりたいなんて願望を持っていたという、超定番な『乙女ゲームざまぁ系のお花畑ヒロイン』思考を持つ記憶。今のエクレアのベースとなっている記憶と人格だ。
なぜ偽と判明したかは、3年前に入り込んだ“キャロット”から夢の中で指摘されたからだ。彼女?は本当の“私”の前世と契約を交わしていた事もあって本物をよく知っている。細かいところを突き付けていけば破城する部分多数ということもあって“私”でも偽物と気付けたわけだ。
ただ、偽であっても仕込んだのが意図的なのか、他者の記憶が偶然入り込んだ事故案件なのか、どちらか判別がつかなかったので穏便に済ますためにも処置を保留としていた。
その際の夢の中で“キャロット”と会話した記憶は『夢落ち』で消し去り、現実に戻った時はあえて何も知らない事にして過ごしていたわけである。
なお、偽の記憶が『神』に仕組まれた意図的なものと判明した今も、『神』を欺くために表向き何も知らない風に装っている。
そして最後の三つ目が……魂の中ではなく“深淵”の中に残っていた本物の前世の記憶だ。
そちらは上二つと違って朧気だった。壊れた記憶媒体や文字かすれの酷い古びた書物から無理やり読み取ってる残留思念のような記憶だが……
その残留思念だけでも上二つを飲み込むほどに強烈だった。何らかの拍子で表に出た時は決まってぶっ飛んだ行動を取る。一例をあげれば自分の身を反保にした5000万Gの借金であろう。
「当時は自分の行動がわからなかったけど、前世の記憶から読み取れた“私”の姿が……怪しげな笑いを浮かべながら怪しげな鍋をかき回す『狂化学者』というか、『お花畑ヒロイン』をより邪悪に変化させた『毒花畑ヒロイン』ともいうべき思考と人格を考えたら十分やりかねないってのがねぇ」
違いを説明するとなれば、天然無自覚で悪意をばらまくのが『お花畑ヒロイン』
対して意図的に悪意をばらまく『毒花畑ヒロイン』。
しかも、その悪意の対象が敵どころか身内……さらにいえば仕掛ける自分も成否に関わらずただでは済まない無差別な企みを躊躇なく実行に移すという、『正気のまま“狂って”いる』としか思えないトラブルメーカーだ。当然多くの人々から恨みを買って幾度となく正義の鉄槌を下されそうになるも、並大抵の正義は返り討ち。
その後の正義の運命は、変な薬の実験台にされるか薬の材料にされるかの二択。
これもう魔王の所業だろ!!っと過言ではない有様だ。
エクレアとしては、こんな危険な人格は“深淵”の中で永遠に眠っててほしかった。
だが、その前世の“私”は偽の記憶を埋め込んで体よく利用しようとする『神』に対して、すさまじいまでの憎悪の炎をたぎらせてるのだ。
その意識に飲まれたら激情のまま『神』にカチコミを仕掛けかねない。勝てないとわかっているのに憎悪を抑えきれずゲームオーバーまったなしなカチコミを行いかねない。
“キャロット”が前世の記憶に封印を施したのは、さもありなんだろう。
ただし……それらの情報源の大半が“キャロット”な所に少々のきな臭さがあった。違和感があった。契約直後に垣間見えた顔をみて、余計に疑惑が深まった。
「疑うのは悪いけど、どこまで信用できるか……なんだよね」
“キャロット”は悪魔なだけあってとにかく食えない性格をしている。
誰かさんみたく、面白そうな事があれば利益度外視で計画実行させる。
その一例が一週間前の決戦……
ローインが命がけで男を倒したあの戦い。あれは“キャロット”が仕組んだものだった。
一体いつの間にかと言えば、男から“狂気”を奪われた際に“キャロット”は男とパスをつないだそうで、その時いろいろやりとりしたらしい。
エクレアが猿轡越しでも会話が成立してたのは“キャロット”が通訳を入れてたわけであり、決戦も『死を覚悟させるぐらいに追い込めば“奴”こと『神』に対抗できる力に目覚めるとかそういったイベントが起きるんじゃね?』なんて遊び半分感覚で男に提案して男も承諾。以後は“深淵”の中でお茶とせんべい片手に高見の見物を決め込んでたというのが………
「あー真相聞かされた時はマヂで殺意覚えた……『いや~バグって怖いよね~あれは想定外過ぎだった』って謝ってくれたはいたけど、ローイン君が命を代償にしてまで男を倒し、その後に私が必死こいて蘇生させた一連の流れを見世物扱いにされてたっていうか……蘇生に失敗して共倒れになってもダンジョン機能でスタート地点に戻してから蘇生させるシステムを動かしてたからどう転んでも問題ないっていうのが……」
ただローインが命と引き換えに真正面から男を撃破させたり、エクレアが成功するとは思えなかった蘇生を成功させたりっと“キャロット”の思惑を完全に超えた頑張りそのものは評価された。未来へ投資する価値ありっと見込まれたことで出世払いの契約につながった。
一蓮托生の意気込みで死ぬ瞬間まで付き合ってくれるほどの信頼を得られたので全く無駄になったわけではない。
ないが……
「うん、帰ってきたら再度ぶん殴ろう。昨晩死神のアンコさんに連れられて冥府に出頭してるアレが帰ったら挨拶代わりに顔面へファルコンパンチぶっこんどこう」
そう決意を固めつつも、着替え終わったエクレアは寝室を後にするのであった。
ややこしい話だが、エクレアの中には3種類の記憶が存在する。
一つ目はエクレアの記憶……生まれた時から保有しているエクレア本来の記憶だ。3年前の事故の後は多少違和感あっても今は生来の記憶としてすっかり馴染んでいる。
二つ目は『神』に植え付けられたと思わしき偽の前世の記憶。
自分の前世は乙女ゲーム系のお花畑ヒロインにあこがれており、異世界転生してヒロインに生まれ変わりたいなんて願望を持っていたという、超定番な『乙女ゲームざまぁ系のお花畑ヒロイン』思考を持つ記憶。今のエクレアのベースとなっている記憶と人格だ。
なぜ偽と判明したかは、3年前に入り込んだ“キャロット”から夢の中で指摘されたからだ。彼女?は本当の“私”の前世と契約を交わしていた事もあって本物をよく知っている。細かいところを突き付けていけば破城する部分多数ということもあって“私”でも偽物と気付けたわけだ。
ただ、偽であっても仕込んだのが意図的なのか、他者の記憶が偶然入り込んだ事故案件なのか、どちらか判別がつかなかったので穏便に済ますためにも処置を保留としていた。
その際の夢の中で“キャロット”と会話した記憶は『夢落ち』で消し去り、現実に戻った時はあえて何も知らない事にして過ごしていたわけである。
なお、偽の記憶が『神』に仕組まれた意図的なものと判明した今も、『神』を欺くために表向き何も知らない風に装っている。
そして最後の三つ目が……魂の中ではなく“深淵”の中に残っていた本物の前世の記憶だ。
そちらは上二つと違って朧気だった。壊れた記憶媒体や文字かすれの酷い古びた書物から無理やり読み取ってる残留思念のような記憶だが……
その残留思念だけでも上二つを飲み込むほどに強烈だった。何らかの拍子で表に出た時は決まってぶっ飛んだ行動を取る。一例をあげれば自分の身を反保にした5000万Gの借金であろう。
「当時は自分の行動がわからなかったけど、前世の記憶から読み取れた“私”の姿が……怪しげな笑いを浮かべながら怪しげな鍋をかき回す『狂化学者』というか、『お花畑ヒロイン』をより邪悪に変化させた『毒花畑ヒロイン』ともいうべき思考と人格を考えたら十分やりかねないってのがねぇ」
違いを説明するとなれば、天然無自覚で悪意をばらまくのが『お花畑ヒロイン』
対して意図的に悪意をばらまく『毒花畑ヒロイン』。
しかも、その悪意の対象が敵どころか身内……さらにいえば仕掛ける自分も成否に関わらずただでは済まない無差別な企みを躊躇なく実行に移すという、『正気のまま“狂って”いる』としか思えないトラブルメーカーだ。当然多くの人々から恨みを買って幾度となく正義の鉄槌を下されそうになるも、並大抵の正義は返り討ち。
その後の正義の運命は、変な薬の実験台にされるか薬の材料にされるかの二択。
これもう魔王の所業だろ!!っと過言ではない有様だ。
エクレアとしては、こんな危険な人格は“深淵”の中で永遠に眠っててほしかった。
だが、その前世の“私”は偽の記憶を埋め込んで体よく利用しようとする『神』に対して、すさまじいまでの憎悪の炎をたぎらせてるのだ。
その意識に飲まれたら激情のまま『神』にカチコミを仕掛けかねない。勝てないとわかっているのに憎悪を抑えきれずゲームオーバーまったなしなカチコミを行いかねない。
“キャロット”が前世の記憶に封印を施したのは、さもありなんだろう。
ただし……それらの情報源の大半が“キャロット”な所に少々のきな臭さがあった。違和感があった。契約直後に垣間見えた顔をみて、余計に疑惑が深まった。
「疑うのは悪いけど、どこまで信用できるか……なんだよね」
“キャロット”は悪魔なだけあってとにかく食えない性格をしている。
誰かさんみたく、面白そうな事があれば利益度外視で計画実行させる。
その一例が一週間前の決戦……
ローインが命がけで男を倒したあの戦い。あれは“キャロット”が仕組んだものだった。
一体いつの間にかと言えば、男から“狂気”を奪われた際に“キャロット”は男とパスをつないだそうで、その時いろいろやりとりしたらしい。
エクレアが猿轡越しでも会話が成立してたのは“キャロット”が通訳を入れてたわけであり、決戦も『死を覚悟させるぐらいに追い込めば“奴”こと『神』に対抗できる力に目覚めるとかそういったイベントが起きるんじゃね?』なんて遊び半分感覚で男に提案して男も承諾。以後は“深淵”の中でお茶とせんべい片手に高見の見物を決め込んでたというのが………
「あー真相聞かされた時はマヂで殺意覚えた……『いや~バグって怖いよね~あれは想定外過ぎだった』って謝ってくれたはいたけど、ローイン君が命を代償にしてまで男を倒し、その後に私が必死こいて蘇生させた一連の流れを見世物扱いにされてたっていうか……蘇生に失敗して共倒れになってもダンジョン機能でスタート地点に戻してから蘇生させるシステムを動かしてたからどう転んでも問題ないっていうのが……」
ただローインが命と引き換えに真正面から男を撃破させたり、エクレアが成功するとは思えなかった蘇生を成功させたりっと“キャロット”の思惑を完全に超えた頑張りそのものは評価された。未来へ投資する価値ありっと見込まれたことで出世払いの契約につながった。
一蓮托生の意気込みで死ぬ瞬間まで付き合ってくれるほどの信頼を得られたので全く無駄になったわけではない。
ないが……
「うん、帰ってきたら再度ぶん殴ろう。昨晩死神のアンコさんに連れられて冥府に出頭してるアレが帰ったら挨拶代わりに顔面へファルコンパンチぶっこんどこう」
そう決意を固めつつも、着替え終わったエクレアは寝室を後にするのであった。
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