【R18】餌付けした少年が大人になってやって来た

カナリア55

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出来心

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 両頬を包んでいた手が、肩を、腕を擦る。
 首の後ろ、腰の後ろに手を差し込まれ、抱きしめられる。
 口づけは浅いままだが『触れたい』という気持ちがひしひしと伝わってくる。

「しーちゃんの髪、ずっと触ってみたかったんだ」

 長い髪を一筋手に取り、頬擦りし、唇をあてる。

 そんな様子を見ていると頭の芯が痺れるような、夢の中のような気分になるのは、アルコールで酔っているだけではないだろう。

『嫌じゃないからって、このままでいいのかな……どうしよう……全然、考えられない……』

 フローリングの床にラグは敷いているが、ずっと横になっていると背中に冷たさが伝わってくる。
 そしてそんな状態だからこそ、明弘と密着している部分の温かさが際立つ。

 手で触れてくるのは、腕、腰、足。体のラインに沿って、外側を撫でるが、胸や体の中心は避けている。

『服の上からなら、胸くらい触ってもいいのに……いやいや、なんて事を考えてるんだ、わたし』

 そう焦りながら、少し足を動かすと、

「うっ……」
「えっ? あっ」

 明弘の呻き声に、紫音はそれまでうっすらと開けていた目をパッと見開き、状況を把握しよう上半身を起こした。

「ごめん? どっかぶつかっちゃった?」
「だ、だいじょうぶ、気にしないで」
「だって……あ」

 痛がっているような顔を見て、『どうしたんだろう』と慌てて明弘を見て、ある一点に目が留まる。

「あ……えっと……膝が、ぶつかっちゃった?」

『うそ……あのキスだけで、そんな盛り上がっちゃったの?』

 いつの間にか明弘はかなり興奮してしまっていたようで。
 背中を丸めて、深呼吸を繰り返しながら、

「ん……だいじょぶ……ちょっと、だけだから……」

 顔を上げた明弘の目は、充血し、潤んでいる。

『やだっ、可愛い!』

 ついそう思ってしまった紫音の気持ちがわかったかのように、明弘は『しーちゃん』と言いながら抱きついてきた。
 全体重はかけないようにしながらも、紫音の前に投げ出した足の上に乗り、太腿にグイッと欲望を押し付けた。
 その確かな硬さにギョッとしながらも、しがみつくようにしている明弘は可愛くて、力任せにどうこうされそうな不安は起きない。

「……大丈夫?」

 大きな背中に腕を回し、宥めるように擦りながら紫音は尋ねた。

「苦しい?」
「んっ……でも、大丈夫。……もう少し、こうしてていい?」
「いいよ」

 抱きしめ、背中を撫でる紫音の耳元に、明弘の荒い息がかかってくすぐったい。

『……背中撫でるの、逆効果かな……』

 グイッと押し付けられるものは更に存在感を増しているように感じられる。

「……ごめ……しーちゃ……」
「ん? 何?」
「その……えっと……」
「何? 言って言って?」
「ごめん、その……苦しくって……少し、緩めていい?」
「ええっ!?」
「ホントに、ごめん……治まるまで、ちょっとだけ……」
「あ、う、うん、そだね……わ、わたし、離れてるから」
「ごめんね、しーちゃん」

 そう言うと明弘は紫音から体を離し、立膝の格好でベルトに手をかけた。それを見て紫音は慌てて顔を横にし、見ないようにしていたが……なかなか音が止まず『う~』という小さな呻き声も聞こえてきたため、思わず顔を戻した。
 ベルトは外れているが、ボタンがうまく外せず、ジッパーを下ろせないでいる。

『焦っちゃって、うまくいかないのかな……』

 ボタンは一向に外れず、とうとう紫音は声をかけた。

「アッキー、貸して」

 手を伸ばし、ボタンを外し、ジッパーに指をかけると明弘が小さく息を呑んだ。
 ジッパーを下ろすと、紺色のボクサーパンツが露わになる。

『うわ、キツそう……』

『出来心』か『好奇心』か。
 酔っているもの手伝って、紫音は指の背の方で、そっとその膨らみに触れた。

「――――っっ!」

 弾かれたように明弘が息を呑み、背を丸める。

「あっ、でっっ」
「うそっ! ごめんっ! 待って!」

 右を見て、左を見たが、さっきまで確かにあったティッシュペーパーは、どこにあるのか見当たらない。
 慌ててベッドの下の収納からタオルを引っ張り出した。

「アッキー、アッキー、これ!」
「いや、ティッシュのが」
「見つかんないからこれ使って!」

 慌ててタオルを渡そうとする紫音の手を、慌ててタオルを取ろうとした明弘がタオルごと掴んでしまったが、もう限界が近く、そのままパンツの中に入れ、ギュッと抑えた。
 
「しーちゃんっ」

 堪らなくなり、明弘は紫音に体を押し付け、首元に顔を埋め……そして、体を震わせて達した。
 


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