ANIMA

少年エースは1人の少女を守る為に己の全てを捧げると誓った。

彼らの前に立ちはだかる悪は彼の正義の剣に裁かれていく。

積み重なった屍によってできた道を
歩き続ける。

人の全てを踏み躙り,見た景色は地獄であった。

空を飛ぶ鳥も道の端に生えた花も

この地球に生まれたちっぽけな自分も

きっと世界を変える為に生まれたんだ。

ただ,誰かに踏み躙られて死んでいくだけで

そこにはもう正義も悪もない。

ただ,みんな己の正義を貫いているだけだから。



今ならそう思えるかもしれない。

でもあの時の自分は違った。

自分が正義で悪を捌く英雄なんだって

錯覚していた。

何も見えていなかった。

何も聞こえていなかった。

仲間が大勢死んで,大切なものを失って

ようやくそんなことに気がついた。

気づいてからでは遅かった。

何もできないまま壊した玩具を眺める。

何か変われと祈っても変えたのは自分だから。

祈った先にあったのは背中を裂いた誰かの正義だけだった。

その時初めて悪魔になれた。

いや,もっと前からそうだったのかもしれない。

でももうそんなことは関係ない。

誰でもよかった。

世界を救うのも壊すのも。

俺はその二役を演じようとしていた。

だから失敗したんだ。

そう思った時,全てが明るく見えた。

青と黒が渦巻く世界に光が差したんだ。

これが悪魔の見た景色。

これが悪魔のなりかたなんだって
その時初めて分かった。

もう怖いものはない。

なんだってできる。

だから殺した。

正義の戦鎚を振った男は俺の正義の前に散っていた。

だからこいつは悪だ。

なぜなら俺が勝者だから。

笑っていた。

ずっと,

全部成し遂げたんだって,

嬉しかった。

呪いをかけられた少女を救えたんだって

幾千万の命を犠牲にして1人を救ったんだ。

これが俺の正義だから,

後悔はしたくなかった。

でも,

俺は自分が思っているよりもずっと人間だったんだ。

あの時から何も変わっていない。

後悔に呑まれて,世界を変えようとした。




24h.ポイント 0pt
0
小説 219,641 位 / 219,641件 ファンタジー 50,881 位 / 50,881件

あなたにおすすめの小説

落書きでさよなら

あんど もあ
ファンタジー
「落書き」のスキルが覚醒した侯爵令嬢ティアナ。何と、指一本で空気にも水にも落書き出来てしまうのだ。 「この力は、世のため人のために使いましょう」と心に決めたティアナだが……。

いや、無理。 (本編完結)

詩海猫(9/10受賞作発売中!)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

妹だけを溺愛したい旦那様は、いらない婚約者の私には出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます

睡蓮
恋愛
貴族令嬢であったリアナに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだオレフィス第一王子。しかしその後、オレフィスはリアナの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はリアナに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたリアナは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。

どうぞお好きになさってください

みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。 婚約者の第一王子殿下は言った。 「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」 公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。 「好きになさればよろしいわ」

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。