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2話

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6日間馬車に揺られ、やっと王都に入った。
窓から見える立派な建物、人の多さ、活気にワクワクしているとあっという間に目的地に着いたらしく馬車が止まった。 

大きなお城みたいな建物の前では、先に王都へ戻っていたおじいさん神官とミステリアス魔術師が待っていた。

「ルル。ようこそ、王都へ」

「こんにちは」

「ずっと馬車に乗ってて疲れただろう」

「うーん。ちょっとだけ疲れました。でも、こんな立派な馬車に乗れて楽しかったです」

「馬車を気に入ってくれたんだね。それは良かった。
ルル、ここはね、これから君が暮らす家だよ。前に話したエルドウッド伯爵家。
覚えているかな?」

言われてみれば、王都に着いたら立派な魔法伯爵様の家に暮らして、魔法を勉強して、12歳になったら学園に行く。って聞いたかも。

「あ、でも、ここはお城ですよね?
家はどこですか?」

「ルル、驚くかもしれないけれど、ここが家なんだよ。お城はね、もっと大きいからね。
今度行く機会があるかもしれないから楽しみにしているといいよ」

「ヒッ!ここが、家!」

「ハッハッハッ。大丈夫だよ、ルル。きっと慣れるから。
さぁ、屋敷で伯爵が待っているから行こうか」

そう言って笑うおじいさん神官とミステリアス魔術師の後をついて行くと、お屋敷の入口でグレーの髪を綺麗な七三分けしたえらく姿勢の良いおじさんにお辞儀され、さらにさらに進んで行くと、大きな扉の前で足を止めた。 

すると、ドアが、ギィーっと音を立てて自動で開いた。
部屋へ入ると、黒いローブを羽織ってまる眼鏡を掛けた、ミステリアス魔術師が霞む程の存在感を放つ超ミステリアスなおじ様が居た。

「ルルだね。ようこそ、エルドウッド伯爵家へ。ステファン・エルドウッドだ」

差し出された手は、お父さんのより大きくて、そして温かかった。


こうして私は、エルドウッド伯爵家で暮らすことになった。
普段は忙しく屋敷にいるのは週に1回程のエルドウッド伯爵は、私の生活のお世話兼魔法の先生としてメアリー先生を紹介してくれた。
メアリー先生も私と同じく平民から魔力持ちで、ここエルドウッド伯爵にお世話になったらしい。
赤毛にソバカスがキュートな先生だ。

「メアリーよ。よろしくね、ルル。いきなりこんな大きなお屋敷に住むなんて、生活がひっくり返って戸惑うと思うけど、何でも相談して頂戴。」

「ルルです。よろしくお願いします。あの、メアリー先生、このお屋敷こんなに広いのに執事のボブさんしか居ないのはどうしてなんですか?」

私はずっと気になっていた疑問をぶつけた。
このお屋敷に入った時に入口でお辞儀をしていた姿勢の良いおじさんが執事のボブさんだ。

「このお屋敷ね、魔法で管理されてるの。執事のボブさんは優秀な魔法使いだから何でも魔法でやっちゃうのよ」

「ほぇー」

「アハハッ、そりゃ驚くわよね。
まぁ、ルルも少しずつ生活魔法を覚えていきましょ」

「はい!」


お屋敷ではびっくりする程広くて大きなベッドの部屋を与えられた。
この部屋で寝起きし、メアリー先生から魔法を教わる日々が続く。

風魔法でドアの開け閉めや、水魔法で水を出す練習。
なかなか上手くいかないけれどとても楽しい。
成功した時の喜びは凄く大きいから。
そして、今まで勉強なんてした事無い私は、同時に普通の勉強もメアリー先生から習っている。
字は読めるのと簡単なお金の計算しか出来ない私は、とにかく覚えなきゃいけないことが多い。
学園へ行く為にも必要だし。

ここでの生活は充実しているし、メアリー先生も良い人だし、嫌なことなんて何も無いのに、たまに凄く寂しくなる。
お父さんとお母さんに会いたいな。
お腹の赤ちゃん、大きくなったかな。
何かしていないと、家族のことばかり考えてしまう。


ある日、私はお屋敷の近くの公園まで散歩していた。
天気の良い日中に限って決められた範囲内での外出を許されている。

私は公園内のお気に入りのベンチに座って、お気に入りの挿絵の綺麗な本を持って読んでいた。 
正式なには眺めているだけなのだけど。

ガサガサガサ~
ドンッ

大きな音が鳴ったと同時に,ベンチの横の木から男の子が落ちてきた。


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