上司と部下の恋愛事情

朔弥

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 酔って潤んだ瞳で真尋はその男を上目遣いに見つめた。
 会社の同僚と飲みに行って酔う度に、彼らにはその辺の女性より色っぽい顔をするなよな ──··と、冗談混じりに言われていた事を思い出し、真尋は悪戯心に誘うような視線を送る。
 その男は、


 ─── 酔っているのか?


 と少し戸惑いの声で聞いてきた。それはそうだろう。女性から誘われるならともかく、野郎に声をかけられたのだから。だが、男は特に嫌な顔もせず、隣にいてくれた。


 ──── 俺さぁ···失恋しちゃったんだよね


 真尋は独り言のように話し始めた。
 幼馴染みに恋をしていた事。相手が男で報われない恋である為、その想いは一生告げずにいようとしていた事。でも、そいつが結婚すると聞いた途端に、悲しくて···どうしようもない想いに押し潰されそうな事を ──··。
 全てを吐き出してしまいたかった。
 それと同時に、全てがどうでも良くなってしまった。誰でもいいから、淡い初恋の想いごと壊して欲しかった。
 真尋はグラスに残っていたブランデーを一気に煽ると、男に笑みを浮かべながら囁いた。


 ──── なぁ···男に興味ある?

 あったら···抱いてみねぇ? ────



 その相手が自分の職場の上司とも気づかず。いや、気づけない程、泥酔していた。
 男は良いとも嫌だとも言わず、ただ


 ─── 店、出ようか


 とだけ言い、真尋を店から連れ出した。
 腕を掴まれ歩いている間、男は終始無言だった。
 どれくらい歩いたか分からないが、マンションの前で男の足が止まった。


 ─── やめるなら今のうちだけど、どうする?


 男の問いに真尋は、何も考えずただ快楽に溺れたい···だから、そっちは好きに俺の躰を扱いえばいい、そう告げた。酷い扱いを受けたとしても、それは構わなかった。
 男は、分かったと軽く溜め息を吐きながら答えると、マンションのエントランスに入るとオートロックを外し、こっちだ、と真尋をエレベーターへ案内する。
 彼の溜め息が半ば自暴自棄になっている真尋の言葉に呆れて吐かれたものなのか、変な奴に絡まれてしまった事なのかは分からなかったが、後戻りをするつもりはなかった。


 祐也に恋い焦がれていたとはいえ、28歳の歳になるまで何も経験がない訳ではなかった。
 祐也への想いを断ち切るために、言い寄ってきた他の男と付き合ってみた事があった。だが、祐也への想いを強くしただけで長くは続かなかった。
 それからは誰とも付き合った事はない。


 エレベーターが男の家の階で止まると、彼は先に降り家の玄関の鍵を開け、真尋を招き入れた。
 
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