上司と部下の恋愛事情

朔弥

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海里の気持ち

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 結局さほど仕事の進まなかった真尋は、乗っていくか?と聞かれた海里の言葉で仕事を切り上げ、車で送ってもらう事になった。
 助手席に座った真尋はチラリと海里の顔を見る。


 俺の事···

 どう思ってるんだろう···


 直接聞いてみたい気はするが、そっちの誘いに乗っただけだと返されるかもしれないと考えると、どうしても聞けなかった。
 知ってしまうのが怖い。
「どうかした?」
 真尋の視線に気づいた海里が尋ねる。
「いや、何でも···」
 真尋は慌てて視線を逸した。
「そういえば、食事がまだだよね?いつもどうしてるの?」
「コンビニとかデリバリーで···」
「···じゃあ、ちょっとつきあって」
 そう海里は言うと、真尋のアパートとは違う方向へと車を走らせた。




「···あの···ここって···」
 戸惑いの声で真尋は海里を見た。
「酔ってたから覚えていない?俺のマンションだけど」
 海里は玄関の鍵を開け、中へと入っていく。
「どうした?心配しなくても飯食ったら送ってってあげるよ」
 部屋へ上がる事を躊躇している真尋に海里は言った。
「え?飯って···」
「簡単なものしか出来ないけど、コンビニよりマシだろ」
 さっさと上がってこいと言われ、真尋は靴を脱いだ。
 あの日は慌てて帰った為あまり部屋の中を見ていなかったが、シックな色合いの家具で統一され綺麗に片付けられた部屋は、課長らしいなと妙な納得感がある。
「真尋、パスタでいい?」
 スーツの上着を脱ぎ、リビングのソファーの背にかけると、料理をする為にYシャツの袖をめくりあげながら真尋に聞いた。
「あ、はい。···課長っていつも料理してるんですか?」
「···課長じゃなくて海里な」
 あの時は課長だと気づいていなかったから呼べたが、いくらなんでも課長を呼び捨てなど出来ない。
「··海里···········さん」
「え?その長い間は何?そんなに空けるなら「さん」いらなくない?」
 少し不満の残る表情かおをしながらも、まあいいか、とオープンキッチンでパスタを作り始めた。
「仕事が忙しくない日や休日は基本、自炊だな。外食ばかりじゃ、躰壊すぞ」
「···作れるんだったら作りますよ···」
 自分が作ろうとした物が何だったかさえ判らない代物が出来上がった日に真尋は誓った···。二度と料理はしない!と。
 不貞腐れた真尋に海里はくすりと笑う。
「今日は簡単な物しか作れなかったから、今度の休みにまた作ってやろうか?」
「····どんだけハイスペックなんですか」
 恋人にでも言われたらときめいてしまいそうな台詞をサラッと言われ、思わず呟いてしまう。


「ほら、出来たから座れ」
 ダイニングテーブルに置かれたナポリタンとちょっとしたサラダに真尋は目を輝かせた。
「···すごいですね」
「別に大した物作ってないよ。それより、スーツの上着ぐらい脱げば?食べにくいだろ」
「······別に···大丈夫です」
 海里にボタンを外され、胸をまさぐられた事を思い出してしまい、少し顔が熱くなるのを感じながら、小声で答え椅子に座った。
「いただきます···」
 真尋はフォークで巻き付けながら一口食べた。
「うまっ!」
 当たり前だが、コンビニのパサパサした麺と違う事に感動し、思わず声が上がる。
 それは良かった、と海里も嬉しそうに笑いながらパスタを口に運んだ。


「ご馳走さまでした!」
 食べ終わった真尋は、作ってもらったお礼に洗い物くらいします、と立ち上がった。
 食器を運ぼうと手を伸ばした真尋の手首を海里は掴んだ。
「お礼なら···キスして」
 海里の視線と絡み合う。
「ね···真尋」
 名前を呼ばれ、真尋は海里に近づいた。
 椅子の背に手を置き、海里の唇にゆっくり自分の唇を重ねる。
 軽く唇を含むだけのキスを繰り返していると、海里に後頭部に手をまわされ、ぐいっと引き寄せれ深く口づけられた。
「んんっ···」
 差し込まれた舌が優しく絡みつき、空いているもう片方の手が腰にまわされた。
 海里から逃れる事が出来なくなった真尋は、甘い吐息を洩らしながら海里の口づけを受け入れる。
「んっ···はぁ···んぅ···」
 吐息に混じり唾液の絡み合う濡れた音が真尋の耳に届き、下肢にじわりと甘い痺れが広がるのを感じた。
「ねぇ···真尋···送って行くって言ったけど、このまま抱いていい?」
 真尋はコクリと頷いた。


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