上司と部下の恋愛事情

朔弥

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デート

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 映画を見て街中を他愛もない会話を交わしながらブラブラ歩いた後、夜景の見えるホテルのレストランで食事をしていた。

「···モテる筈ですよね」
 真尋はボソッと呟いた。
 街中を歩いていても、ここのレストランを予約してあるからとエスコートされるのも、全てがスムーズで同じ男として凹むものがある。しかも、手を繋がれている時は流石に声をかけてくる女性はいなかったが、手を離して暫くすると途端に声をかけられていた。最初は恋人が隣にいるのに誘いをかけられる事に気落ちしていた真尋だったが、何度も声をかけられれば耐性も出来るというもの。最後には、あぁまたかと半ば諦めの境地で彼女達に視線を送っていた。

「真尋?」
「今日一日で課長がどれ程モテるのか再確認しましたよ」
 つい嫌味っぽく言ってしまい、ハッと海里の顔を見る。
「会社ではちゃんと真尋のお願い聞いて苗字で呼んでいるのに、俺のお願いは聞いてくれないの?しかもデート中に課長?」
 口元は笑みを浮かべ口調も優しいが、細められたは笑っていない。
「あ···海里··さん」
「『さん』もつけないで···敬語もやめようか」
「······海里···」
 名前を口にしながら、何時までも課長と呼んでしまう自分に胸が痛んだ。恋人として海里の隣に居る事に自信を持てない隔たりを作り出していたのは自分の方だったかもしれない。
 瞳に暗い影を落とした真尋に気づいた海里は、フッと表情を和らげた。
「真尋···。俺が見ているのは真尋だけだよ。誰にどれほど声をかけられても、真尋が俺の名前を呼んでくれる事の方がどれだけ嬉しいかわかる?」
「···う··ん···」
 真尋は素直に頷き小さくごめん、と呟いた。
「じゃあ、この後はベッドの中ではいっぱい呼んでくれる?」
「う···ん?」
 頷きかけて海里の顔を見る。
 海里はいつの間にか手にしたルームキーのカードに口づけし、囁いた。



 ────  部屋に行こうか


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