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「そうだな…まずはカロン…何か僕に聞きたい事とかある?」
「えっ?」

聞きたいこと?
沢山ありすぎて何から聞けばいいかわからない。

でも…

一番は…

「アロンも…まだ私の事を好きでいてくれるの?」

私はアロンの方を向いて真剣な顔で聞くと、アロンは目を見開く。


「カロリーナさんっそれ聞く?」
「もう分かりきっているでしょう?」

エリーさんとマリコ先生が私にツッコミを入れる。


いや…なんとなく流れ的にアロンが私を思ってくれているのは分かるけど…

「で…でも…マルク様と婚約が決まった時に出した手紙の返答が…その…素気なかったし、入学式の時だって…」

「あー…。うん、カロンの言いたい事はわかる…うん。僕…最低だよね…」

私の言葉にアロンは項垂れる。


「言い訳させて…まずは手紙の返答…あの時はショックでそれ以外書けなかった。あの手紙が届いた時、ちょうどこの学園に入学が決まった時で計画を本格的に実行に移すところだった。カロンからの手紙を見て…正直、崖から突き落とされた気分だったよ…

婚約を止めたかったけど、その時点では僕はまだ無力で何もする事もできなかった。かといって僕が何かを言ってカロンに負担をかけたくなかった…だから苦し紛れに書いてしまったんだ。

送った後にあんな言葉を書く位なら返信しなければよかったと後悔したよ…」

「そう…だったの?」

私が出した手紙のせいでアロンがそんな葛藤をしていたなんて…自分の事ばかりで考えてもいなかった。

「あと、入学式の時の事はできたら忘れてほしい…」

「えっ?」

「…あの時、まだ僕はカロンと顔を合わせるつもりは無かったんだ。まだ、計画が完了していなかったから…

全てが軌道に乗って僕とカロンを縛るしがらみが全てなくなったらカロンを迎えに行こうと考えていたのに…なのにアイツが面白半分に…」

「アイツ?」
「サムルの事よ」

私の疑問にすかさずエリーさんが答えてくれる。

「アイツの手前、カロンに対してあんな態度を取らざる得なかった…」

アロンは何かを思い出したかのように頭を抱えて項垂れる。


「揶揄われて、弱み握られて、手玉に取られるのが見えてるもんね」
「あの人はアローンの能力を欲しがってるしねー」
「…でも、私への嫉妬心ダダ漏れだったけどねー。クスッ」

アロンは深くため息をつくと、ヤジを飛ばすみんなの方を見て睨みを効かす。


「そうだったの…」

私はアロンの言葉を聞いて嬉しい反面、そんなアロンの気持ちに気付けなかった自分が情けなく思う。


「はっきり言うよ。僕はずっとカロンの事を想っていた。あの時から全く気持ちは変わっていない」

「あの時…」
「うん。あの10歳のカロンの誕生日から…いや…その前から…」

10歳の誕生日…
忘れようと思っても忘れられなかった大切な思い出…

「だから、もう一度言うよ…」


アロンは私の方をジッと見つめると、私の左手を持ち上げてその手の薬指に軽くキスをする。


「カロン。好きだよ。君を誰にも取られたくない。将来僕と結婚して」


アロンのその言葉を聞いて、過去のアロンへの想いが鮮明に思い出される。

私はマルク様の婚約者だからとかそんなのどうでもいい…私はアロンとの約束を守りたい…そう思ってしまう私がいた。



そんな事…現実には無理なのに…
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