二度目の人生は、地雷BLゲーの当て馬らしい。

くすのき

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下水道にて⑤ ※前半だけ回想ヘルブリン×ユニ

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 視界が暗転する。続いて自動再生した動画のように、別地点の情景が目蓋の裏に鮮烈に浮かんだ。
 俺は立っていられなくなり、察知して支えてくれたレオに身体を預け、そのまま膝から崩れ落ちた。何時の間にか全身からは汗が滲み、動悸は激しさを増していく。
 映像の場所は忌まわしきファニージャ洞窟だ。その最奥にて囚われた俺が悪魔ヘルブリンによって陵辱されているシーンだった。
 そして不思議な事に俺は幽体離脱でもしたかのような、大型スクリーンに映し出された自分主演のAVを眺めているかのような状況だった。
 鼓膜を揺らす音全てが生々しい。
 映像の中の俺は何度目かの背面座位を終え、繋がったまま無理矢理上半身を起こされてはまた浅い突きに翻弄されている。
 俺はAV女優顔負けの感じ入った間抜け面を晒し、『気持ち善いか』と問うヘルブリンに、こくこくと頷き返す。
 吐き気がした。
 けれど画面の中の俺はゲロではなく、嬌声だけを絶えず発する。

「あっ……ん……ぁあ……そ、こぉ」
「ここか?」
「ぁあっ、い……イ、よぉ」
「ならばこちらはどうだ」
「あぁん」

 雄膣の入口を何度も行き来していたヘルブリンの太い先端が深い場所に舞い戻る。

「嫌か?」

 映像の俺はかぶりを振る。
 この時はもう真面な思考は塗りつぶされ、頭の中は暴力的な快楽でぐちゃぐちゃに染まっていた。

「良い子だ」
「あっ……ふ…ぅ……あ、ん」

 幾度もこじ開けられ蹂躙され尽くした奥が震えた。
 ヘルブリンが喉を鳴らす。

「次はどうして欲しい?」
「ひぁっ」

 ヘルブリンが身を退いた。ゆっくりと内壁を擦られ、目の奥に星が瞬く。そして抜けていったときと同じく、また緩慢な速度で熱杭が挿入はいってくる。前立腺と弱い部分を刺激し、ヘルブリンは態と汚い水音を立てて腰を揺する。

「このままがいいか?」
「や……あ、あぅ……ん」

 何度も焦らされて、もどかしさに映像の俺の腰は自然と揺れていた。

「もっ……と……」
「もっと? 遅くか?」
「ちがっ……ぁ……はや、くぅ。ぁあっ!」

 痛いほど強く抱き締められ、下からの激しい突き上げに、泡立った白濁が穴の縁から押し出されていく。耳を塞いでも貫通してくる性交の激しさに羞恥が止まらない。

「ぃ、……すご……もっと……も、とぉ……あっ、あっ、ん、あ、ぁあ」
「善い。善いぞ、ユニ」
「ひにゃあああ!」

 映像の中、首筋を噛まれた俺が盛大に喘ぐ。そうして上に向いた目が真ん中、此方を見た。
 目が合った。
 いや正確には合っていない。映像の中の俺の目には俺はなく、洞窟だけが映っている。けれどその顔は――――。


「……ニ、ユニ、ユニっ!」
「…………れお?」

 気が付くと、目の前にレオのドアップが迫っていた。

「そうだよ、俺だよ。これ、これ指何本か解る?」
「にほん」

 一体何があったのだろう。
 心配そうに俺を覗き込むレオに、俺は首を傾げる。

「ユニ、いきなり倒れたんだよ」
「倒れた? 俺が?」
「そうだぜ。吃驚したわ」
「全くダ」

 ラムとグノーが続く。

「ユニ、何処か痛むところはある?」
「ううん。強いて言うならちょっと頭痛い……」
「もしかしたら熱射病かもしれませんね。私達に水を多く譲っていたようですし、なるべく早く地上に戻った方がいいかもしれません」

 そういえばそうだった。

「(何か見たような気がしたけど……気の所為かな)」





 *・*・*





 その後。
 ロキの指示に従い、大急ぎで帰還した俺は、朝のグリル亭の自室にいた。
 寝台に横になり、傍らのもう一台に視線をやる。同室のレオはいない。なんでもロキと共に支部への報告と、次の探索の用意を揃えてくるのだそうだ。
 天井に手を伸ばす。
 点滴を打って貰ったお陰か、今もうあの苛んでいた頭痛は綺麗さっぱり消えていた。

「暇だぁ……」

 呟いた声は宙に溶ける。
 窓から漏れる光はまだ明るい。
 風邪を引いたわけではないとはいえ、この時間から一人で横になるのはやはり寂しい。せめてナウシュヴォーナに一連の出来事を文にしたためて渡すかと思うのだが、皆に安静にしていろと口を酸っぱくして言われたので、それは少し憚られた。
 ごろごろと寝返りを打ち、ひたすらレオ達の帰りを待つ。
 十分ほど繰り返した辺りだろうか。あまりの暇具合に欠伸が漏れる。
 それに伴い、目蓋が少しずつ重くなって、身体が微睡みに落ちていく。ゆっくりと水に沈むように、俺は夢の世界に誘われた。








「…………ここは?」

 気が付くと俺は闇の中にいた。
 キョロキョロと周りを見る。
 辺り一面、墨汁を溢したような黒が広がっていて一寸先も見通せない。
 宿の自室で寝ていたのに。
 そこまで考えて、はたりと気付く。
 これは夢の中だと。

「うわぁ……夢ならもう少し楽しいものにしてよ」

 右手で頭皮を搔き、花畑を思い浮かべるが一向に場面転換はされない。
 操れないタイプの夢である。
 また厄介なと思っていると、二メートルくらい先に白い光が唐突に現れる。
 なんだろうと視線をやると、光は、ぐにゃぐにゃと形を変え、やがて人の姿に変わる。……いや、これは人の姿というより人型が正しいだろう。
 例えるならほぼ全身白タイツ。
 ただその下半身を見た瞬間、俺は盛大に顔を引き攣らせた。
 白タイツの股間からバキバキに勃起した男の象徴を見てしまったからだ。
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