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兄編 南という男
南という男 3*
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南の拷問とも言える残虐な行為は、酷い痛みと脅迫を持ってして、一綺の心を支配した。
その恐怖は、久留米に初めて蹂躙された時の比ではなかった。
その癖、一綺に与えられる快楽は、久留米の方が何倍も大きかった。
事あるごとに、南に呼び出され、このホテルで虐め抜かれた。
そんな生活が、1週間以上続いていた。
最近、一綺の様子がおかしい。
大学の授業で会うだけだったが、明らかに疲弊しているのに久留米は気づいていた。
顔色は悪いし、時折、ビクッと肩を震わせ何もない後ろを確認したり、寒気がするのか、必死に自分の腕を摩ったり。
今日に至っては、自分の方を何度もちらっちらっと伺っては、目を逸らす事を繰り返していた。
普段なら、その存在を意識したくないとでもいうように顔を背けるのに。
講義終了のチャイムが鳴り、久留米は一綺の元に歩いて行った。
やはり顔色が悪い。
「一綺くん、何か言いたいことがあるなら言ってください。」
一綺は俯いたまま、しばらく何も言いあぐねていた。
しかし、観念したように、カバンから小さな紙を取り出して、久留米に押し付けた。
「今日の……18時、……………空いてるか?」
「え?今日は金曜日だし…空いてるけど。」
「………ここに来てくれ。」
折りたたまれた紙を開くと、住所が書かれていた。
「何?ここどこ?何するの?」
一綺は答えなかった。
明らかに何かを隠している。怪しさ満点の誘い。
それでも、一綺の方から久留米を何かに誘うことなんて、初めてのことだった。
「………いいよ。何か持ってくものある?」
「何もいらない。」
「わかった。じゃあ、また夜にね。」
およそ楽しそうではない、一綺の姿を見れば、デートの類ではないことは容易に想像できる。
それでも、久留米の中に、行かないという選択肢はなかった。
夜、真っ暗な中、久留米はgoogle検索したその住所に足を運んでいた。
たどり着いた場所はラブホテルだった。
ラブホなら、もっと近く、バーの付近にだっていくらでもある。
なのに、なぜこんな遠くにわざわざ来させたのか。
一綺が久留米をラブホテルに誘うなんて、天地がひっくり返ってもありえない。
そんなことを思っていると、ホテルの前に人影が見えた。
「久留米くん!」
その顔には見覚えがあった。
「南さん!どうしてこんなとこに。」
バーの客である男が立っていた。一年ほど前から、たまに顔を出す、羽振りのいい男だった。
「そうだ、見せたいものがあるんだよ。こっち。」
「いや、僕、ちょっと待ち合わせをしているので。」
ホテルの中に招き入れようとする南を、丁寧に断る久留米。
しかし。
「一綺くんに会いに来たんでしょ?」
笑顔でそう言う南に、久留米は不審な目を向けた。
なぜその名前を知っている。
確かに、あの日の公開調教の場に、南はいたような気はするが、一綺の素性は誰にも言っていない。
名前を言ったのも、マスターと信頼の置ける常連だけで、家のことは、他の客はもちろん、マスターにだって言っていない。
「そんな怖い目で見ないでよ。私が君を呼んだんだ。」
嫌な予感がした、南に導かれるまま、久留米はホテルの中に入った。
部屋に入ると目を疑った。
間違いなく、そこはSMルーム。
そのベッドの横の床にぺたんと座り込んでいるのは、一糸纏わぬ姿の一綺本人だった。
尻にはディルドバイブが埋め込まれ、ウ”ーーーッといやらしい音を響かせていた。
物音に気付いた一綺が久留米の姿を見つけると、絶望の顔を見せた。
「く、るめ……。」
「一綺くん、どうしたんですか、大丈夫ですか。」
極めて冷静になるように努めて、久留米は尋ねる。
あの公開調教で、一綺に目を付けるサディストはいるだろうとは思っていたが、一綺がそのままいいようにされるとは思っていなかった。
それに、他の客には自分が目を光らせていたつもりだった。
南は、久留米を通り越し、一綺の側のベッドに腰掛けたまま、一綺のアナルを犯しているディルドをずぽんっと引っこ抜いた。
「あぅううんっんぐぅ♡♡♡」
その衝撃に耐えかねて、一綺があられもない淫猥な嬌声をあげる。
南は激しく卑猥に蠢く、その巨大なディルドのスイッチを切り、遠くの方に放り投げて言った。
「私は一綺の遠い親戚でね。驚いたよ、久しぶりにバーに顔を出したと思ったら、なんと本家のご子息が調教されているんだもの。まあ、一綺の方は私の顔を覚えてはなかったようだがね。」
「それで……何をしているんです?」
久留米は、怒りを押さえつけながら尋ねた。
「いやぁ、一綺があまりにも可愛い顔をしてよがり狂うものだから、つい私も調教してみたくなってね。手を出そうにも君やマスターの監視の目がきつくて、なかなか時間がかかったが。」
「一綺くんがあなたに従うはずがありません。」
久留米がそう言い切ると、南は大げさに笑って見せた。
「そんなことはないさ。三条家の次期当主でありながら、男のちんぽによがり狂って腰を振る浅ましいメス犬だったのだから、ちんぽが欲しくて仕方がなかったんだろう。」
「……脅したんですか?」
その質問には答えず、南は一綺の尻を蹴った。
その恐怖は、久留米に初めて蹂躙された時の比ではなかった。
その癖、一綺に与えられる快楽は、久留米の方が何倍も大きかった。
事あるごとに、南に呼び出され、このホテルで虐め抜かれた。
そんな生活が、1週間以上続いていた。
最近、一綺の様子がおかしい。
大学の授業で会うだけだったが、明らかに疲弊しているのに久留米は気づいていた。
顔色は悪いし、時折、ビクッと肩を震わせ何もない後ろを確認したり、寒気がするのか、必死に自分の腕を摩ったり。
今日に至っては、自分の方を何度もちらっちらっと伺っては、目を逸らす事を繰り返していた。
普段なら、その存在を意識したくないとでもいうように顔を背けるのに。
講義終了のチャイムが鳴り、久留米は一綺の元に歩いて行った。
やはり顔色が悪い。
「一綺くん、何か言いたいことがあるなら言ってください。」
一綺は俯いたまま、しばらく何も言いあぐねていた。
しかし、観念したように、カバンから小さな紙を取り出して、久留米に押し付けた。
「今日の……18時、……………空いてるか?」
「え?今日は金曜日だし…空いてるけど。」
「………ここに来てくれ。」
折りたたまれた紙を開くと、住所が書かれていた。
「何?ここどこ?何するの?」
一綺は答えなかった。
明らかに何かを隠している。怪しさ満点の誘い。
それでも、一綺の方から久留米を何かに誘うことなんて、初めてのことだった。
「………いいよ。何か持ってくものある?」
「何もいらない。」
「わかった。じゃあ、また夜にね。」
およそ楽しそうではない、一綺の姿を見れば、デートの類ではないことは容易に想像できる。
それでも、久留米の中に、行かないという選択肢はなかった。
夜、真っ暗な中、久留米はgoogle検索したその住所に足を運んでいた。
たどり着いた場所はラブホテルだった。
ラブホなら、もっと近く、バーの付近にだっていくらでもある。
なのに、なぜこんな遠くにわざわざ来させたのか。
一綺が久留米をラブホテルに誘うなんて、天地がひっくり返ってもありえない。
そんなことを思っていると、ホテルの前に人影が見えた。
「久留米くん!」
その顔には見覚えがあった。
「南さん!どうしてこんなとこに。」
バーの客である男が立っていた。一年ほど前から、たまに顔を出す、羽振りのいい男だった。
「そうだ、見せたいものがあるんだよ。こっち。」
「いや、僕、ちょっと待ち合わせをしているので。」
ホテルの中に招き入れようとする南を、丁寧に断る久留米。
しかし。
「一綺くんに会いに来たんでしょ?」
笑顔でそう言う南に、久留米は不審な目を向けた。
なぜその名前を知っている。
確かに、あの日の公開調教の場に、南はいたような気はするが、一綺の素性は誰にも言っていない。
名前を言ったのも、マスターと信頼の置ける常連だけで、家のことは、他の客はもちろん、マスターにだって言っていない。
「そんな怖い目で見ないでよ。私が君を呼んだんだ。」
嫌な予感がした、南に導かれるまま、久留米はホテルの中に入った。
部屋に入ると目を疑った。
間違いなく、そこはSMルーム。
そのベッドの横の床にぺたんと座り込んでいるのは、一糸纏わぬ姿の一綺本人だった。
尻にはディルドバイブが埋め込まれ、ウ”ーーーッといやらしい音を響かせていた。
物音に気付いた一綺が久留米の姿を見つけると、絶望の顔を見せた。
「く、るめ……。」
「一綺くん、どうしたんですか、大丈夫ですか。」
極めて冷静になるように努めて、久留米は尋ねる。
あの公開調教で、一綺に目を付けるサディストはいるだろうとは思っていたが、一綺がそのままいいようにされるとは思っていなかった。
それに、他の客には自分が目を光らせていたつもりだった。
南は、久留米を通り越し、一綺の側のベッドに腰掛けたまま、一綺のアナルを犯しているディルドをずぽんっと引っこ抜いた。
「あぅううんっんぐぅ♡♡♡」
その衝撃に耐えかねて、一綺があられもない淫猥な嬌声をあげる。
南は激しく卑猥に蠢く、その巨大なディルドのスイッチを切り、遠くの方に放り投げて言った。
「私は一綺の遠い親戚でね。驚いたよ、久しぶりにバーに顔を出したと思ったら、なんと本家のご子息が調教されているんだもの。まあ、一綺の方は私の顔を覚えてはなかったようだがね。」
「それで……何をしているんです?」
久留米は、怒りを押さえつけながら尋ねた。
「いやぁ、一綺があまりにも可愛い顔をしてよがり狂うものだから、つい私も調教してみたくなってね。手を出そうにも君やマスターの監視の目がきつくて、なかなか時間がかかったが。」
「一綺くんがあなたに従うはずがありません。」
久留米がそう言い切ると、南は大げさに笑って見せた。
「そんなことはないさ。三条家の次期当主でありながら、男のちんぽによがり狂って腰を振る浅ましいメス犬だったのだから、ちんぽが欲しくて仕方がなかったんだろう。」
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