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第2話
幼馴染が追ってくるっ!! 9
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「私はディエゴを探している。
君がそのナイフと長剣を拾った時、その場はどういう状況だったのか詳しく教えてくれ。」
アルバートはそう言いながら金貨2枚をテーブルに置き、私に渡した。情報料と言う事らしい。それにしても高額である。これは私を試しているのか、それともアルバートはそこまでディエゴを見つけたいという気持ちなのだろうか?
私は疑問に思って尋ねた。
「アルバート様・・・。」
「アルでいいよ。親しいものはみんなそう呼ぶ。」
「・・・初対面ですが・・・。」
「いい。君とは何故かはじめてに思えない。変な話なんだが、まるで旧知の友と話しているかのような気分になる。どうか、私の事はアルと呼んでくれたまえ。」
「・・・はい。」
アルバートは私がディエゴだとは知らぬまま、それでも私から同郷の幼馴染らしさをかんじているようだった。
「では、アル。お尋ねしますわ。
あなたはどうして、ここまでの大金を払ってディエゴ様をお探しになるのですか?
それをお聞かせください。そうでなければ、恐ろしくてこの金貨はいただけません。」
・・・そう。あとでこの金貨を私に盗まれたと言って罪を着せ、逮捕して尋問するという手法を使う恐れもある。私は自分を守るために彼の報酬にはすぐに手を出さなかった。
その用心深さは図らずとも「私が貴族を嫌っている女」だという事をアルバートに更に印象づけることに成功したようだった。
「ふふふっ。そうだね。君の素性なら貴族が渡す大金を安易に受け取らないか。
それならば、安心してもらうためにまずは君の問いかけに応えようか。」
アルバートはそういうと店主に果実酒とパンと肉のスープを頼んでから話し出した。
「・・・さっきも言ったが私とディエゴは幼馴染のライバルだった・・・。
両家がずっと政治的対立をしていたことも関係して、私達は初めて会った時から意識しあっていた。
私は常に彼より上に立てるように、彼に勝てるように努力し、彼も私に負けないように努力した・・・。
だが、魔神シトリーを討伐したという偉業から察してもらえると思うが彼は天才だった。
私は彼と出会った時に初めて自分と対等の存在を知った。これまで誰もが私の足下に及ばなかった。
そんな私に彼は食い下がった。今のところ私が大きく勝ち越しているが、それでも何十回と私は彼に敗れたことも事実だ・・・。
私達は学生を終えてから違う道に進んだ。私は教会に属する神官騎士になった。この世界の頂点に君臨する上位階級だ。騎士のエリート集団。厳格で崇高な世界。
だが、その神官騎士の中でも私は孤高の存在だった。ディエゴのように私と並び立つことができる男は一人もいなかった。
孤独だった・・・騎士修業時代からずっと。そんな私にとってディエゴと憎みあいながらも切磋琢磨していた青春時代の思い出は心の中でいつもまぶしく輝いていた・・・。」
「・・・。」
アルバートの告白は私にとって意外過ぎるものだった。
君がそのナイフと長剣を拾った時、その場はどういう状況だったのか詳しく教えてくれ。」
アルバートはそう言いながら金貨2枚をテーブルに置き、私に渡した。情報料と言う事らしい。それにしても高額である。これは私を試しているのか、それともアルバートはそこまでディエゴを見つけたいという気持ちなのだろうか?
私は疑問に思って尋ねた。
「アルバート様・・・。」
「アルでいいよ。親しいものはみんなそう呼ぶ。」
「・・・初対面ですが・・・。」
「いい。君とは何故かはじめてに思えない。変な話なんだが、まるで旧知の友と話しているかのような気分になる。どうか、私の事はアルと呼んでくれたまえ。」
「・・・はい。」
アルバートは私がディエゴだとは知らぬまま、それでも私から同郷の幼馴染らしさをかんじているようだった。
「では、アル。お尋ねしますわ。
あなたはどうして、ここまでの大金を払ってディエゴ様をお探しになるのですか?
それをお聞かせください。そうでなければ、恐ろしくてこの金貨はいただけません。」
・・・そう。あとでこの金貨を私に盗まれたと言って罪を着せ、逮捕して尋問するという手法を使う恐れもある。私は自分を守るために彼の報酬にはすぐに手を出さなかった。
その用心深さは図らずとも「私が貴族を嫌っている女」だという事をアルバートに更に印象づけることに成功したようだった。
「ふふふっ。そうだね。君の素性なら貴族が渡す大金を安易に受け取らないか。
それならば、安心してもらうためにまずは君の問いかけに応えようか。」
アルバートはそういうと店主に果実酒とパンと肉のスープを頼んでから話し出した。
「・・・さっきも言ったが私とディエゴは幼馴染のライバルだった・・・。
両家がずっと政治的対立をしていたことも関係して、私達は初めて会った時から意識しあっていた。
私は常に彼より上に立てるように、彼に勝てるように努力し、彼も私に負けないように努力した・・・。
だが、魔神シトリーを討伐したという偉業から察してもらえると思うが彼は天才だった。
私は彼と出会った時に初めて自分と対等の存在を知った。これまで誰もが私の足下に及ばなかった。
そんな私に彼は食い下がった。今のところ私が大きく勝ち越しているが、それでも何十回と私は彼に敗れたことも事実だ・・・。
私達は学生を終えてから違う道に進んだ。私は教会に属する神官騎士になった。この世界の頂点に君臨する上位階級だ。騎士のエリート集団。厳格で崇高な世界。
だが、その神官騎士の中でも私は孤高の存在だった。ディエゴのように私と並び立つことができる男は一人もいなかった。
孤独だった・・・騎士修業時代からずっと。そんな私にとってディエゴと憎みあいながらも切磋琢磨していた青春時代の思い出は心の中でいつもまぶしく輝いていた・・・。」
「・・・。」
アルバートの告白は私にとって意外過ぎるものだった。
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