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第4話
初めての共同作業 4
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アルバートは席を立つと、まだ椅子に座っていた俺の右手を握ってくれた。
「・・・あっ。」
アルバートの大きくて分厚い掌は鍛えこまれた男の手だった。そして、それでいてとても優しい、包み込むような感触で手を取ってくれた。
その肌のぬくもりに俺はアルバートを異性として認識するしかなかった。
思わず口からこぼれた声も戸惑いと歓びの両方が満ちていた。
「ア、アルバート様?」
「宿までの護衛だよ。君は一人にするとどんな問題を起こすかわからないからね。」
「・・・う~~、もうっ!!」
アルバートの意地悪な冗談も今の俺には心地よく感じられていた。
彼の掌の温もりと横に並んだときの圧倒的な体格差からくる安心感から男性を感じ、胸がドキドキと高鳴っていく。
(ああ・・・。どうしよう・・・。
俺はもう・・・どうしようもないほど、このまま彼に全てを預けたい。
たとえ、この先に殺されることになっても、一刻でも彼に愛してもらえるのならそれでもかまわないわ・・・)
心の中でどうしようもないほどの思いが湧き上がってきた。
思わず想いを伝えるかのように彼の掌をギュッと握ってしまった。
そして、潤む瞳で彼を見つめようと見上げた時、実体化したチャームが腕組みながらジト目で俺を睨んでいた。
(駄目よっ!! 忘れたの?
彼に嫌われてもいいの? 辛くてもここは我慢してっ!?
いつか、彼から逃げ出せるまでの辛抱なのっ! 男が欲しいのなら、町にはいくらでもいるのよっ!!
ローニャ、お願いだから目を覚ましてっ!!)
(はっ!!)
俺は我に返ってアルバートの手を振りほどいた。
「バカにしないでくれっ! 自分の身は自分で守れるし、あなたが側にいたら男が寄り付かないでしょうっ!!」
俺の急変にアルバートは困惑したように「・・・でも、私の手を握り返す君はまんざらでもないと言っているようだったが?」と言い返した。
チャームの姿が他人に見えなくて本当によかった。きっと、アルバートには俺がヒステリー女に見えただろう。その困惑ぶりが何よりの証拠だった。
「いいですか? あなたは俺が嫌いなお貴族様だ。
あなたの美貌は女を惑わす。でも、それは一時のモノです。
俺があばずれなのはあんた達やんごとなき御方たちへの反逆だという事をお忘れなくっ!」
そう言って俺はアルバートから逃げるように走り去った。
そんなことをしないといけないのがとても悲しい。それでも、そんな俺をチャームは励ましてくれた。
(辛いよね。苦しいよね。わかるわ、私も女だもの。
でも、ローニャ。よくやったわ。貴女は偉いっ!!
街に出ましょうっ! イケメンはアルバートだけじゃないわっ!!
今夜は男の体に溺れて全てを忘れましょうっ!)
男の体に溺れる・・・。とてもそんな気持ちにはなれない。
きっとそれは、未だに太陽の加護が僅かに残っている時間帯だから・・・。
色欲の呪いに支配された女になればこんな気持ちを忘れられるはず。
今日ほど俺は女になりたいと願ったことはなかった。
「・・・あっ。」
アルバートの大きくて分厚い掌は鍛えこまれた男の手だった。そして、それでいてとても優しい、包み込むような感触で手を取ってくれた。
その肌のぬくもりに俺はアルバートを異性として認識するしかなかった。
思わず口からこぼれた声も戸惑いと歓びの両方が満ちていた。
「ア、アルバート様?」
「宿までの護衛だよ。君は一人にするとどんな問題を起こすかわからないからね。」
「・・・う~~、もうっ!!」
アルバートの意地悪な冗談も今の俺には心地よく感じられていた。
彼の掌の温もりと横に並んだときの圧倒的な体格差からくる安心感から男性を感じ、胸がドキドキと高鳴っていく。
(ああ・・・。どうしよう・・・。
俺はもう・・・どうしようもないほど、このまま彼に全てを預けたい。
たとえ、この先に殺されることになっても、一刻でも彼に愛してもらえるのならそれでもかまわないわ・・・)
心の中でどうしようもないほどの思いが湧き上がってきた。
思わず想いを伝えるかのように彼の掌をギュッと握ってしまった。
そして、潤む瞳で彼を見つめようと見上げた時、実体化したチャームが腕組みながらジト目で俺を睨んでいた。
(駄目よっ!! 忘れたの?
彼に嫌われてもいいの? 辛くてもここは我慢してっ!?
いつか、彼から逃げ出せるまでの辛抱なのっ! 男が欲しいのなら、町にはいくらでもいるのよっ!!
ローニャ、お願いだから目を覚ましてっ!!)
(はっ!!)
俺は我に返ってアルバートの手を振りほどいた。
「バカにしないでくれっ! 自分の身は自分で守れるし、あなたが側にいたら男が寄り付かないでしょうっ!!」
俺の急変にアルバートは困惑したように「・・・でも、私の手を握り返す君はまんざらでもないと言っているようだったが?」と言い返した。
チャームの姿が他人に見えなくて本当によかった。きっと、アルバートには俺がヒステリー女に見えただろう。その困惑ぶりが何よりの証拠だった。
「いいですか? あなたは俺が嫌いなお貴族様だ。
あなたの美貌は女を惑わす。でも、それは一時のモノです。
俺があばずれなのはあんた達やんごとなき御方たちへの反逆だという事をお忘れなくっ!」
そう言って俺はアルバートから逃げるように走り去った。
そんなことをしないといけないのがとても悲しい。それでも、そんな俺をチャームは励ましてくれた。
(辛いよね。苦しいよね。わかるわ、私も女だもの。
でも、ローニャ。よくやったわ。貴女は偉いっ!!
街に出ましょうっ! イケメンはアルバートだけじゃないわっ!!
今夜は男の体に溺れて全てを忘れましょうっ!)
男の体に溺れる・・・。とてもそんな気持ちにはなれない。
きっとそれは、未だに太陽の加護が僅かに残っている時間帯だから・・・。
色欲の呪いに支配された女になればこんな気持ちを忘れられるはず。
今日ほど俺は女になりたいと願ったことはなかった。
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