龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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12. 地下にあったのは…

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「何だか薄暗いですね…。」

「そうだな。だが、この辺りはわざと整備していない感じがするな。」

 父さんのいう通りで周りの道は整備されているが、なぜかこの辺りだけは木々が生い茂り薄暗くなっている。

 まるで何かを隠すかの様に…。

「おそらく、この辺りに入口があるのでしょう」

 空下さんは周りに気を付けながら暗い道を先頭で歩いてくれている。

 その時、不自然にへこんで草木が生えていない場所があるのに気がついた。

「お父様、あそこなのですが不自然ではないですか?周りは草木が生い茂っているのにあそこだけが極端に緑が少ない。」

 父さんと空下さんは俺の指差した場所に行き地面を触り始めた。

 ガチャ…。

 何か金属に当たった様な音がした。

「あったぞ。開ける為の金具だ。」

 それは木の板の上に取り付けてある金具でその周りは遠くからは分かりにくい様に土や草を張り付けてあった。

「開けてみよう…」

 俺達は顔を見合わせて頷いた。

 ギイィー。

「下に降りる階段だ…。暗くて先が見えないな…。」

 現れたのは下に続く長い階段だ。薄暗くてどこまで続いているかはここからでは確認できない。

「ここからは僕が行ってきます。お父様達はこの辺りで隠れていて下さい。」

「しかし…。本当に1人で大丈夫なのか。」

 父さんは心配そうだな。

「お父様、大丈夫ですよ。心配しないで下さい。無理はしませんからここで待っていて下さい。それに空下さんから魔道具の連絡機をもらいましたし、何かあればすぐに助けを求めますから。」

「分かった。何かあればすぐに連絡するんたぞ。」

「はい。では、行ってきます。」

「気を付けてくださいね。」

 空下さんも心配してくれているんだな。まあ、8歳の子供だから仕方ないか。

 俺は小さなライトを持って暗い階段を下りて行った。入口は俺が2人から見えなくなると閉めるように言ってある。

 さすがに何も見えないと不安だな…。

 それにこの階段長すぎないか?!いったいどこまで下りるんだ。

 暫く下りていると何かの音が聞こえてきた。

 サァー、カチャカチャ…。

 まだ朝の5時なんだけど…誰か起きているのかな?

 足音を立てないようにゆっくりと近づいていった。

 階段の終わりが近づくにつれて地下なのに明るくなってきた。

「明るすぎないか?」

 そりゃ、日本だと電気もあって地下も明るかったけど…。この異世界では電気はなく、全てが魔力によるものだ。魔力や魔石を使い魔道具を動かして明かりをとっている。

 こんなに明るいのは相当な魔道具がないと駄目だよね。だけどこの領地の現状だとそんなお金がかかることができるのか?

 階段を一番下まで下りて明るい方へと進む。周りに気を付けながら覗いてみると…。

「何だ…これは…。」

 目の前に広がるのは地下で見るとは思わなかった風景だった。

「これは、催眠草?」

 目の前には一面に広がる催眠草の畑があった。

「なぜこんな地下に催眠草の畑が…。」

 催眠草とは危険な薬として栽培するには国の許可がいるような植物だ。これを食べると人は幻覚を見たり催眠術にかかったような状態になってしまうそうです。俺も植物図鑑でしか見たことが無かったよ。

 これって…秘密で栽培しているってことかな。だけどこれだけだとあの川に大量に垂れ流していた汚れた水は何なんだという話しになるよね。という事は、ここにはまだ秘密があると考えて間違いないよね。

 取り敢えず、父さん達に報告するか。

「お父様聞こえますか?」

 小さな声で魔道具に向かって話した。

「ああ、聞こえているぞ。何かあったのか?大丈夫か?」

 魔道具の調子も良さそうだ。

「階段を最後まで下りた先には畑がありました。」

「畑?!地下にか?」

 そりゃ驚くよね。普通は畑は太陽の光がないと育たないから。

「はい。しかも大量の催眠草が栽培されています。」

「何!催眠草だと!?間違いないのか?」

「間違いないと思います。お父様に買ってもらった植物図鑑で見たことがありますから。」

「そ、そうか…」

 父さんの声が何だか嬉しそうに聞こえる。

 植物図鑑は俺の5歳の時の父さんからの誕生日プレゼントだったからね。何かを思い出しているんだろうな。

「竜…危険だとは思うがそれを一つ取って来ることができるか?」

 そうですよね。証拠品としてある方が良いよね。

「分かりました。採取して帰ります。」

「気を付けてな。」

「はい。また何かありましたら連絡します。」

 いったん魔道具は切って催眠草を採取しに畑にはいる。

 見張りとかもいないのか?地下だから安心しているのかな。

 一つ採取してマジックバックに入れた。この中だと鮮度も保たれるから大丈夫だな。

 俺も日本にいる頃には異世界転生の小説とかを読んでマジックバックの存在は知っていたけど実際に使うとなるとこれ程便利なカバンはないと思うよ。

 一見すれば小さなカバンだけど中は広い空間になっていてこの中に入った物は鮮度が落ちないし、腐らない。便利だよね~。

 俺が催眠草を採取して畑から出ようとした時遠くから人の声がしてきた。

 ヤバい!隠れないと!


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