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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

448.権力者受けが悪く、名門の生まれで、医者としての才能を持ちあわせながら、疎まれてきたシグル・ドレマンは、覚醒するのか?

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「ニンデリー王国の未来を危惧した両教授は、後を託す人を待っていた。」
とマーゴット。

「だから、ここにいるのか?」
とマーゴットに問うシグル・ドレマン。

「わたしじゃない。両教授が待っていたのは、ソラッドロス王太子殿下。」
とマーゴット。

シグル・ドレマンは、意外だ、という顔をした。

両教授を苦しめているのは、ソラッドロス王太子殿下なのに。

「真剣に、国の未来を案じて行動する人というくくりで、両教授が後を託せそうな人を探してみたら、今のニンデリー王国には、ソラッドロス王太子殿下しかいなかった、ということだとわたしは思う。」
とマーゴット。

「皮肉だ。国を思う人を探してみたら、互いを排除しようとした者同士が残った。」
とシグル・ドレマン。

シグル・ドレマンは、医者として両教授の体を診た。

生きているのが不思議なくらいに、躊躇なく傷つけられてきた形跡が、両教授の体中にある。

「こじれる前に、話し合う機会がないまま、どちらも突き進んだ。
願うことは、どちらも国の安定だったのに。
手段が違いすぎて、相容れなかったから、協力関係を築く相手として見れなかった。

両教授は、いよいよ死期が近づいてきて、後継がいないことに慌てた。」
とマーゴット。

珍しく、今日は、シグル・ドレマンと会話が成立している、とマーゴットは思った。

「シグル・ドレマン、わたしと会話が成り立つようになったけれど、シグル・ドレマン自身が感じる変化はあった?」
とマーゴット。

視野が狭く、思考と言動が直結しているため、才能があっても、才能を評価することさえ疎んじられるようなシグル・ドレマン。

マーゴットは、シグル・ドレマン単体で使うことは考えていなかった。

シグル・ドレマンの率いる組織は、シグル・ドレマンを絶対君主として崇めない。

シグル・ドレマンを担ぎ上げて、うまい汁を吸おうとする連中が、ブレインとなりまとまっていた。

シグル・ドレマンの組織は、兵隊、マーゴットの使い方次第だ、と、マーゴットは思っていた。

シグル・ドレマン自身が化けるなら、シグル・ドレマンの組織をただの兵隊で終わらせなくてもいい。

「今日まで、目隠しされていることに気づかないまま、薄氷の上で踊っていた。」
とシグル・ドレマン。
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