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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

494.ロマンスに発展させたくないボーイ・ミーツ・恋愛思考ゼロのガール。シャカシャカ、シャカシャカ。出会わなかったことにする?

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男子学生は、まかり間違っても、真夜中に侍女の目を掻い潜って女子寮を脱走してくる貴族令嬢と婚約することになったら困る、と思った。

男子学生は、破天荒な人生を望まない。

人生は、平穏無事に生きてこそ。

「あの。今夜、ここで会ったことは、秘密にした方がお互いのため、だと思う。」
と男子学生はレベッカ・ショアに提案した。

「私とあなたは他人。これからもずっと他人。」
レベッカ・ショアは、一も二もなく、承諾した。

レベッカ・ショアの前世に因縁があり、前世の人格も前前世の人格も、レベッカ・ショアとの相性がよろしくない男子学生とのご縁をなかったことにする?

レベッカ・ショアは、その案に諸手をあげて賛成した。

レベッカ・ショアが、ためらわずに承諾したので、男子学生は、微妙な気分になった。

目の前にいる少女に対して、踏み込んだ関係になりたくない、あなたには興味がない、と突き放して断ったのは、男子学生だけど、すんなり受け入れられても複雑なのだ。

男子学生は、目の前の少女を結婚するかしないか、と意識したのに。

目の前の少女は、男子学生を結婚可能な異性とは全く見ていない。

男子学生は、少女の真夜中の秘密の冒険の目撃者。

他人のフリをするなら、少女の真夜中の冒険を秘密にできて良かった、くらいにしか、男子学生の目の前にいる少女は考えていなさそうである。

もし、男子学生の目の前にいるのが、普通の少女じよなくて、天女だったら。

侍女に見つかるなんて、気にせずに、男子学生は、天女を送り届けただろう。

天女にお迎えがくるというのなら、天女のお迎えが来るのを天女と共に待つことを選んでいたに違いない。

ボーイ・ミーツ・ガール。

ロマンスを起こす気のないボーイは口説かない。

恋愛思考のないガールは、気づかない。

ロマンスは、自然発生する前に、立ち消える。

「俺は、帰るけど。ちゃんと帰って。」
と男子学生は、レベッカ・ショアに念を押す。

「大丈夫。私が見ているから、あなたは、安心して帰って。」
と自信たっぷりに見守る宣言をするレベッカ・ショア。

男子学生は、目の前にいる少女を一人にして大丈夫だと全く思えない。

「誰かに来てもらう?」
と男子学生は、レベッカ・ショアに聞く。

「友達がいるから、平気。」
とレベッカ・ショア。

目の前にいる少女は、普通の女の子にしか見えないのに、男子寮に友達がいるから、会いにきたってことか?

積極的だな!
と男子学生は思った。

「友達が、近くにいる?」
と男子学生。

「待っている。」
とレベッカ・ショア。

男子寮の外に真夜中に呼び出されて待っている、って?

男子学生は、目の前の少女の相手の男は、ろくなやつじゃないのか?と思った。

深く関わる気はないので、男子学生は引き上げようと思いつつ、お節介なことを聞いてしまった。

「友達とは仲が良い?」
と男子学生。

「うん。卒業後は、友達のところに行きたい。」
とレベッカ・ショア。

男子学生は、やっぱり騙されている?と思いつつ、使用人を帯同しない貴族の男子寮に帰った。
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