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第八章 新たな命
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「……黙って聞いてれば偉そうにしやがって若造がナメくさって!ケンカ売ってきたのはそっちだぞ!これから俺たち竹政とドンパチする覚悟はあんのか!?あぁ!?」
「残念だがお前が好き勝手やっていられるのも、今日で最後だ」
ギリギリと奥歯を噛みしめて今にも殴りかかってきそうな黒岩を久我さんが一蹴する。
「なんだと?ハッタリかましてビビらせようったってそうはいかねぇぞ?」
「ハッタリではない。お前たちはあちこちのシマを荒らし過ぎた。最近、駅前の一等地で薄葉組がケツ持ちしてる店で従業員の女を殴ってケガさせたんだって?黒岩、お前もそこにいたんだろ?」
「なっ……、アンタ、そうなの!?」
その言葉に一番早く反応したのは継母だった。ヤキモチをやいたのか、不満げに黒岩を睨む。
「さあな。んなことは、覚えてねぇよ」
「そうか。だが、薄葉はお前たちを許さないと言っている。あそこの若頭とは昔から懇意にしていてな。俺たちが手を組めば、竹政組を潰すのなんてなんて赤子の手を捻るようなものだ」
黒岩の口元に妖しい笑みが浮かぶ。
「ふっ……バカな。薄葉がお前たちと敵対関係にあるのを俺が知らないとでも?」
「それは、俺の上の代の話だ。俺たち若頭の間では平和協定が結ばれている。ろくな情報網しかないお前たちはそれを知らなかったんだろう?」
久我さんの言葉に、黒岩の表情が一瞬怯む。
それを見逃さず、追い打ちをかける。
「それだけじゃない。実は、組長の竹政一郎にお前が組の若いのを使って覚醒剤の売買をしていることを話したんだ。大層ご立腹だったぞ?」
「……なっ……」
「上納金もちょろまかして、そこの女と一緒に豪遊していたらしいな」
「ち、違う……!」
「お前はそれだけでは飽き足らず、萌音の弟を利用してこの呉服屋を売ろうと画策した。その金を手に入れた暁には組を捨てて、その女と国外逃亡するつもりだったんだろ?」
まさか……。そんなことまで計画していたって言うの……?
「母さん……それ本当なのか?」
すると、話を聞いていた尚が顔を歪めた。
「……アンタには関係ないことでしょ」
「関係あるだろ……!この店を売った金の大半は萌音に渡すって約束だっただろ!なのに、俺に黙って金を持って逃げるつもりだったの?話が違うよ!そんなことなら、俺は……」
「黙ってな!両隣の店の土地すら手に入れられなかったアンタがとやかく言うんじゃないよ!」
尚が悔しそうに唇を震わせる。すると、継母は憎々し気な目を尚に向けた。
「尚、アンタだってあたしに嘘ついてたでしょ?よく考えたらアンタみたいな子が大手不動産会社に務められるはずないもんねぇ。その目、別れた元旦那にそっくりだわ。ホント使えない子。役に立たないならアンタなんて産むんじゃなかった」
「――やめてください!」
腕を組んで吐き捨てるように言った継母をたまらず制止する。
「残念だがお前が好き勝手やっていられるのも、今日で最後だ」
ギリギリと奥歯を噛みしめて今にも殴りかかってきそうな黒岩を久我さんが一蹴する。
「なんだと?ハッタリかましてビビらせようったってそうはいかねぇぞ?」
「ハッタリではない。お前たちはあちこちのシマを荒らし過ぎた。最近、駅前の一等地で薄葉組がケツ持ちしてる店で従業員の女を殴ってケガさせたんだって?黒岩、お前もそこにいたんだろ?」
「なっ……、アンタ、そうなの!?」
その言葉に一番早く反応したのは継母だった。ヤキモチをやいたのか、不満げに黒岩を睨む。
「さあな。んなことは、覚えてねぇよ」
「そうか。だが、薄葉はお前たちを許さないと言っている。あそこの若頭とは昔から懇意にしていてな。俺たちが手を組めば、竹政組を潰すのなんてなんて赤子の手を捻るようなものだ」
黒岩の口元に妖しい笑みが浮かぶ。
「ふっ……バカな。薄葉がお前たちと敵対関係にあるのを俺が知らないとでも?」
「それは、俺の上の代の話だ。俺たち若頭の間では平和協定が結ばれている。ろくな情報網しかないお前たちはそれを知らなかったんだろう?」
久我さんの言葉に、黒岩の表情が一瞬怯む。
それを見逃さず、追い打ちをかける。
「それだけじゃない。実は、組長の竹政一郎にお前が組の若いのを使って覚醒剤の売買をしていることを話したんだ。大層ご立腹だったぞ?」
「……なっ……」
「上納金もちょろまかして、そこの女と一緒に豪遊していたらしいな」
「ち、違う……!」
「お前はそれだけでは飽き足らず、萌音の弟を利用してこの呉服屋を売ろうと画策した。その金を手に入れた暁には組を捨てて、その女と国外逃亡するつもりだったんだろ?」
まさか……。そんなことまで計画していたって言うの……?
「母さん……それ本当なのか?」
すると、話を聞いていた尚が顔を歪めた。
「……アンタには関係ないことでしょ」
「関係あるだろ……!この店を売った金の大半は萌音に渡すって約束だっただろ!なのに、俺に黙って金を持って逃げるつもりだったの?話が違うよ!そんなことなら、俺は……」
「黙ってな!両隣の店の土地すら手に入れられなかったアンタがとやかく言うんじゃないよ!」
尚が悔しそうに唇を震わせる。すると、継母は憎々し気な目を尚に向けた。
「尚、アンタだってあたしに嘘ついてたでしょ?よく考えたらアンタみたいな子が大手不動産会社に務められるはずないもんねぇ。その目、別れた元旦那にそっくりだわ。ホント使えない子。役に立たないならアンタなんて産むんじゃなかった」
「――やめてください!」
腕を組んで吐き捨てるように言った継母をたまらず制止する。
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