魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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最高の部隊

20話

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リリアがサーシャ率いる第二部隊の前に立つ。

「茉莉の変わりに来たの。」

第二部隊は皆、少し驚いた様子だったが、すぐに納得した表情になる。

メンバーは以下の通り。

サーシャ(職業:魔剣士マジカルソードマン)
プレア(職業:魔闘士モンク)
プリア(職業:魔闘士モンク)
スカーレット(職業:槍兵ランサー)
シオン(職業:踊り子ダンサー)
フレイ(職業:魔剣士マジカルソードマン)

見事に接近戦職に偏ってはいるが、サーシャの采配とシオンの踊りがどう出るのだろうか…

リリアは背中の大斧に手をかけようとする。

「…いや、今はアレがいいかも。」

リリアはどこからともなく巨大な大剣を取り出し、左手に持つ。

「で、でかい…!」

リリアの背丈の3倍はありそうな大きな刀身を覆う鞘が光に照らされて輝く。

サーシャが言う。

「巨人の英雄が使っていたと言われる伝説のSS級武具、聖剣カリヴァン…一度振るだけで邪龍ですら紙切れの様に2つに割くと言われているわ。」

武器にも冒険者のランクと同じ様に階級がある。

基本的には冒険者のものと同じだが、武具はその武具のランク以上のランクでないと扱えないとされており、伝説の武具ともなれば、例え同じSS級の冒険者でも持ち上げる事すら出来ないと言われているものだ。

それをいとも容易く持ち上げるリリアがどれほどの実力者かは誰が見ても一目瞭然だった。

「リリアの大斧よりは弱い…それに鞘がついてる…だから、大丈夫…」

リリアは表情を変えずに言う。

サーシャが部隊の皆に言う。

「作戦変更よ。プランDで行くわ!」

サーシャがそう言うとシオン以外の全員が不規則的に広がり、単純ながら行動を読みにくくしていた。

長く綺麗な赤い髪と白く細い四肢を使い、シオンが踊り始める。

「まずはこれ!武神の祭壇!」

シオンの踊りによりサーシャ達の攻撃能力が大幅に強化される。

「…準備…終わり?」

リリアはゆっくりと構える。

「じゃあ…いくね…」

リリアが勢いよくカリヴァンを振るう。

全員が息ピッタリに攻撃を躱す。

凄まじい突風と衝撃波が発生する。

シオンが何とか耐えながら踊る。

「風神の舞!」

踊りの力でサーシャたちに耐風圧の状態が付与される。

サーシャがリリアの懐に潜り込む。

「もらった!魔法剣ブレイズ!」

炎の魔法でサーシャの剣の速度と攻撃力が上がる。

リリアは空いてる右手でサーシャの剣を軽く受け止める。

「嘘でしょ?!」

サーシャが目を見開いて言う。

「残念。」

リリアはそのまま剣を引いて、サーシャを引っ張り、そのまま続けて攻撃しようとしていたオレンジの長い髪が輝く少女、フレイに向かって投げ飛ばす。

間髪入れずに白と黒が半分で分かれた互い違いの長い髪のプレアとプリアが同時にリリアに攻撃する。

「熱い思いをこの一撃に!火炎拳フレアナックル!」
「…凍えよ。氷河拳フリーズナックル!」

リリアは軽くカリヴァンを振って火炎拳を構えていたプレアを弾き飛ばし、残った右手でプリアの氷河拳を受け止める。

「これならどうだ!ストライクランス!」

紅く長い髪をなびかせたスカーレットの至近距離からの槍の一撃がリリアの腹に直撃する。

しかし、激しい衝撃とは裏腹に何も変わらないリリアの身体がそこにあった。

「悪いけど…その程度ではリリアの身体は傷つかないよ。」

リリアはそのままプリアをスカーレットに投げ飛ばしてスカーレットとプリアの行動を封じる。

そして、一瞬の間にシオンの目の前まで移動する。

「貴方はここで終わり…」

シオンに勢いよくカリヴァンを振るい、戦闘不能にさせる。

決して、シオンが弱かった訳でも、シオンが遅かった訳では無い。

純粋にリリアの華奢な外見に見合わない怪力から繰り出されるカリヴァンの一撃がとてつもなく速かったのだ。

それは鞘がついているにもかかわらず、斬撃が発生するほどだった。

鞘はついているので斬る事は出来ないが…

「リリアは…そう…その気になれば、全員斬る事も出来る。でも、それじゃ意味が無い…」

リリアはカリヴァンを自身の影の中に収納する。

サーシャがそれを見て言う。

「影収納…収納スキルとしては最高クラスな反面、身の丈に合わない使用者だと自身の影に取りこまれてしまうとされるSS級収納スキル…これだけでも私たちとは格が違う事が充分に伝わる…」

スキル、技能も難易度順に冒険者と同じクラスが使用されている。

もちろん、この影収納はほとんど使える冒険者はおらず、ごくごく一握りの冒険者にしか使えない。
私たちが所属するギルドの中では、グラディオスとリリアを含めても片手で数える程しか居ないらしい。

ちなみに私は影収納は闇属性魔法になるので使えないが、技能である空間収納は扱える。

空間収納も例に漏れず、SS級技能で現在確認されてる中では世界で私だけが使えるそうだ。

リリアは影から薄い生地の手袋を取り出しながら、静かに言う。

「これはただの手袋…ちょっと本気出す…」

リリアがそう言うとリリアから熱い風が吹く。

プレアが額から汗を垂らして言う。

「あれは…背水の陣…?いや、それにしては強化幅が大きい…」

リリアは涼しい顔をして答える。

「これは覇気はきを身体に纏わせただけ…貴方もいつか出来るようになるわ…」

フレイがサーシャに呼びかける。

「サーシャ!」

「わかってる!」

フレイとサーシャの剣が激しい雷を纏う。

「「大いなる雷よ!我に力を貸したまえ!魔法剣サンダガ!!」」

サンダガは雷属性魔法としてはB級に位置しており、比較的に簡単な魔法ではあるが、問題はその雷の制御にある。

一歩間違えれば自分が感電死するだけの自滅魔法に変わる為、総合的なランクはS級が妥当であると言われている魔法だ。

リリアは少し驚いた様子で言う。

「サンダガが使えるのね…」

サーシャがそのまま剣を構えて言う。

「国防騎士隊になるんですから、このくらい当然です!」

フレイがリリアの胸を見ながら剣を振るって言う。

「くぅ…当たらない…的は大きいはずなのに!」

リリアはギリギリのところで避けながら言う。

「なんのことかは知らないけど、狙いが見え見えよ。」

さらにサーシャも加わって交互にかつ不規則的に攻撃をしかける。

プレアは二人のあまりの勢いに入り込む隙が無いと言いたげな表情で見ていた。

「さて…」

リリアが小さく呟く。

その様子を見ていたプレアが警戒する。

「そろそろ反撃するよ!」

「サーシャ、フレイ!逃げろ!」

プレアがそう叫んだ時には時すでに遅し。

「よっと…」

リリアが一瞬のうちにサーシャとフレイの首筋にチョップして気絶させる。

そして、そのままプレアの方へ一瞬で行き、プレアもやられるかと思った瞬間だった。

「スカーレット!」
「わかってます!」

スカーレットが拳でプリアを支え、プリアがその拳に膝を曲げた状態で足をつけていた。

「せいっ!」
「とおっ!」

スカーレットが拳を突き出しきると同時にプリアが膝を伸ばしてスカーレットの拳を蹴る。

その反動でスカーレットは後ろに飛ばされながらもプリアと息ピッタリに言う。

「「ツインブースト!」」

スカーレットとプリアの二人分の勢いでプリアが突撃し、見事にリリアの腹に直撃する。

リリアはほんの少しよろめきながら言う。

「いてて…今のは効いたわ…」

スカーレットは全力を出し切ったのか、倒れた状態で動かなくなっていた。

プリアは思ったより反動が大きかったのか、少しよろめきながら立ち上がってプレアに言う。

「プレア…プリア、来た…」

「プリア…!」

プレアとプリアが他の誰よりも息ピッタリに言う。

「プレアと…」

「プリアが揃えば…」

「「もう誰にも負けはしない!」」

そして、そのまま2人の力が合わさって初めて発動する2人だけの固有能力を使う。

「「双子の姉妹の絆は無限大インフィニットシスター!」」

文字通り、双子の姉妹の二人の固い絆の力で全身を超強化ハイパーバーストさせる能力だ。

リリアは二人を見て言う。

「ふふっ…いい力だね。」

プレアが堂々と大きな声で言う。

「当然だ!私とプリアは産まれた瞬間から共に過ごしてきた仲だ!」

プリアはプレアとは対称的に静かに言う。

「悲しい時…辛い時…嬉しい時…楽しい時…常に傍にあった存在…だから…」

二人は同時に構える。

「「絶対勝つ!」」

プレアからリリアに突撃していき、間髪入れずにプリアが突撃する。

リリアは二人の激しく力強い猛攻を受け止めながらも反撃を加え、両者共にかなりダメージが蓄積していた。

「せやぁ!」

「ぐあああああっ!!!」

リリアの正拳突きがプレアにクリティカルヒットし、プレアが壁に叩きつけられて戦闘不能になる。

プリアはその様子を見て、それまで変化に乏しかった表情が完全に驚きの表情に変わる。

「プレアがやられた?!」

リリアは一瞬気を取られて動きが止まったプリアにラリアットをくらわせて言う。

「勝負ありっ!」

プリアはそのまま数メートルほど飛ばされて、うつ伏せに地面に叩きつけられて戦闘不能となる。

リリアは「ふぅ…」と息を吐いて言う。

「さすがに6対1はちょっとキツかった…」

リリアはそう言うと自身にA級癒し魔法の小回復コンセイトを使用して、身体の傷を治す。

そのまま、SS級癒し魔法範囲回復ワイドヒールでサーシャ達の身体も回復させる。

癒し魔法は基本的にA級以上のものしかなく、かなり難易度が高い魔法なので、A級だけなら使える冒険者も多いがS級にもなるとごくごく一握りの冒険者のみとなり、さらにその上のSS級を扱える者は全世界でリリアを含めて3人しか居ないそうだ。

それほど、この世界の癒し魔法は高難易度なのだ。

だから、リリアの様に癒し魔法を使えるものはどのパーティーにも重宝される。

もっとも、彼女は誰に対してもアリスのパーティー以外は絶対に嫌と言い切って居るので、アリスから離れる事は無いだろう。

「リリア。」

私が呼ぶと一瞬で私の元に戻ってくる。

そんなリリアを見て、まるで犬みたいだと思ったのは内緒にしておこう。

隣に居たカレンが驚きの表情でリリアを見ていた。

リリアはアリスに頭を撫でてもらって幸せそうに微笑みながら、ポツリと言う。

「これから…楽しみ…」
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