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漣の少女
35話
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「アリスお姉様、領域から出られましたよ!早速感知を使ってみてください!」
リリーフィルが嬉しそうに言う。
私は感知を使って仲間の位置を探る。
「あ、思ったより近かったみたいだけど…」
私はある情報に注目する。
「どうかされましたか?」
リリーフィルが私の顔を見て心配そうに言う。
「二体の大規模災害級の反応が出たの…それもこんな所にいるはずもないやつよ。」
リリーフィルがゴクリと生唾を飲む。
「近い方は冥王獣ヘルビースト、遠い方は冥天龍ヘルグレアの二体よ。」
冥王獣ヘルビーストは魔界に住む死を象徴する獣と呼ばれており、その力はまさに死の権化と言える。
ヘルビーストは見た目こそ、ただの黒色のミノタウロスみたいなものだが、その性質は非常に凶暴かつ残忍であるとされている。
ただのミノタウロスと思って近づいたが最後、魂すら残らず喰われてしまうほどに凶悪な魂に干渉する能力を持っている為、どれほど強固な防具を着ても直接魂に傷をつけてくるので無意味だと言われている。
その傷は絶対に治らず、傷ついたままであれば生涯を通じて耐え難い痛みに襲われ、魂が崩壊し、肉体だけの抜け殻になるとされている為、一撃でも受けてしまうと絶対に助からないそうだ。
「冥王獣の方は私の波魔法で何とか能力を無力化出来るとは思いますが、冥天龍の方はと言われるとさすがに厳しいかもしれないですね。もちろん、私が一人で戦う場合を想定して…の話ですが…」
リリーフィルは私を見る。
「そうだね。冥王獣ヘルビーストの方は誰も相手にしてないから、気ずかれないうちに私の仲間が総出で戦ってる冥天龍ヘルグレアの方を叩くのがいいかもしれないね。時間の猶予はあまりないから、こっちは優先したいかも。」
「でしたら、私の波魔法で冥天龍のところまでいきましょう!ちょうど空間の波を操作して、遠くの空間と現在地を繋ぐ魔法があるんですよ。」
「なら、急いでお願いするわ。」
「わかりました!」
リリーフィルは目を閉じて集中して魔力を高める。
「我は波を観測するもの…我は波を調律するもの…我は波を繋ぐもの…」
私の感知にヘルビーストの反応が近くなる。
「波よ、我が声に応えよ!波移動!」
リリーフィルの波魔法が完了する。
同時にヘルビーストがこちら側に急接近を始める。
「急ぎましょう!冥王獣がこの魔法を感知したみたいです!」
私はリリーフィルと共に急いで波魔法で繋いだ空間の中に入る。
その瞬間、背後でヘルビーストが暴れる音がする。
「入口を閉めます!その後は道の崩壊が始まるので全力疾走です!落ちたら、空間の波に取り残されてしまいますよ!」
リリーフィルがそう言って入口を閉めるとその瞬間から入口側からの崩壊が始まる。
「リリーフィル、ここで波魔法の強化は出来ない?」
「そもそもこの空間を繋ぐ事自体がかなり難易度が高く、繊細な技術が必要ですので、今の私では無理だと断言出来ます…と言いますか、思ったより崩壊が早くて取り残されるかもしれないです…」
「あークソ!このままじゃ、私はともかく、リリーフィルが危ねぇって事かよ!」
私はリリーフィルの身体を持ち上げる。
「お姉様?!」
「しっかり捕まっててね!」
私は縮地法を駆使して素早く出口まで移動する。
「はわわ…!出口までこんなに早く来られるなんて…」
「まだ安心するには早いわ!出口を出るまではいつだって取り残される危険があるのよ!」
出口側もかなりボロボロになっていた。
リリーフィルと私とでは素の身体能力の差が大きい為、リリーフィルに合わせてたら間に合わなかったかもしれない。
そう考えると背筋がゾッとするが、今は気にしないで出口を出る事だけを考える。
「リリーフィル!出口の先の感知はできる?」
「やってみます!」
リリーフィルが感知を行う。
「このまま飛び出しても大丈夫です!」
「了解!」
私はそのまま全力で走って出口を出る。
その瞬間、リリーフィルの波魔法の効力が切れて空間が元に戻る。
私はその場にリリーフィルを下ろしながら、肩で息をする。
「はぁ…はぁ…何とか…なった…わ…ね…」
「そ、そうですね…ただ近くには冥天龍がいますし、仲間の方も戦ってるとなれば休んでる暇が無いと言えますね…」
リリーフィルが魔力を高める。
「私の波魔法でお姉様の疲れの波を鎮めて、身体を癒しますね。波消失!」
リリーフィルの波魔法で私の身体の疲れが嘘のように消え去る。
「ありがとう!」
「お役に立てて何よりです!」
私とリリーフィルはそのままヘルグレアの方へと走る。
「おりゃあ!」
私は炎をはく寸前のヘルグレアの頭に右の拳で思いっきり叩きつける。
「グルルルル?!」
ヘルグレアの口が閉じられて口の中で炎が爆発していた。
「アリス!」
リリアが私を呼ぶ。
「話は後よ!カレンさんは候補隊の皆を避難させて!リリアはカレンさんの援護を!茉莉は私とヘルグレアの攻撃の対処をするよ!」
リリーフィルが言う。
「お姉様!私も波魔法でお手伝いしますわ!」
「それはありがたいけど、魔力量は大丈夫なの?」
「もちろんですわ!波魔法は見た目に反してかなり低コストで使用出来ますの!」
リリーフィルがドヤ顔をする。
「わかった。でも、くれぐれも無理はしないでね?危なくなったら、さっさと逃げるのよ?」
私と茉莉とリリーフィルはヘルグレアと対峙する。
ヘルグレアは私の拳と爆発の影響で起きていた目眩が治った様子だった。
「グルルルル…グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
ヘルグレアは私達を敵と認識した様だ。
リリーフィルが嬉しそうに言う。
私は感知を使って仲間の位置を探る。
「あ、思ったより近かったみたいだけど…」
私はある情報に注目する。
「どうかされましたか?」
リリーフィルが私の顔を見て心配そうに言う。
「二体の大規模災害級の反応が出たの…それもこんな所にいるはずもないやつよ。」
リリーフィルがゴクリと生唾を飲む。
「近い方は冥王獣ヘルビースト、遠い方は冥天龍ヘルグレアの二体よ。」
冥王獣ヘルビーストは魔界に住む死を象徴する獣と呼ばれており、その力はまさに死の権化と言える。
ヘルビーストは見た目こそ、ただの黒色のミノタウロスみたいなものだが、その性質は非常に凶暴かつ残忍であるとされている。
ただのミノタウロスと思って近づいたが最後、魂すら残らず喰われてしまうほどに凶悪な魂に干渉する能力を持っている為、どれほど強固な防具を着ても直接魂に傷をつけてくるので無意味だと言われている。
その傷は絶対に治らず、傷ついたままであれば生涯を通じて耐え難い痛みに襲われ、魂が崩壊し、肉体だけの抜け殻になるとされている為、一撃でも受けてしまうと絶対に助からないそうだ。
「冥王獣の方は私の波魔法で何とか能力を無力化出来るとは思いますが、冥天龍の方はと言われるとさすがに厳しいかもしれないですね。もちろん、私が一人で戦う場合を想定して…の話ですが…」
リリーフィルは私を見る。
「そうだね。冥王獣ヘルビーストの方は誰も相手にしてないから、気ずかれないうちに私の仲間が総出で戦ってる冥天龍ヘルグレアの方を叩くのがいいかもしれないね。時間の猶予はあまりないから、こっちは優先したいかも。」
「でしたら、私の波魔法で冥天龍のところまでいきましょう!ちょうど空間の波を操作して、遠くの空間と現在地を繋ぐ魔法があるんですよ。」
「なら、急いでお願いするわ。」
「わかりました!」
リリーフィルは目を閉じて集中して魔力を高める。
「我は波を観測するもの…我は波を調律するもの…我は波を繋ぐもの…」
私の感知にヘルビーストの反応が近くなる。
「波よ、我が声に応えよ!波移動!」
リリーフィルの波魔法が完了する。
同時にヘルビーストがこちら側に急接近を始める。
「急ぎましょう!冥王獣がこの魔法を感知したみたいです!」
私はリリーフィルと共に急いで波魔法で繋いだ空間の中に入る。
その瞬間、背後でヘルビーストが暴れる音がする。
「入口を閉めます!その後は道の崩壊が始まるので全力疾走です!落ちたら、空間の波に取り残されてしまいますよ!」
リリーフィルがそう言って入口を閉めるとその瞬間から入口側からの崩壊が始まる。
「リリーフィル、ここで波魔法の強化は出来ない?」
「そもそもこの空間を繋ぐ事自体がかなり難易度が高く、繊細な技術が必要ですので、今の私では無理だと断言出来ます…と言いますか、思ったより崩壊が早くて取り残されるかもしれないです…」
「あークソ!このままじゃ、私はともかく、リリーフィルが危ねぇって事かよ!」
私はリリーフィルの身体を持ち上げる。
「お姉様?!」
「しっかり捕まっててね!」
私は縮地法を駆使して素早く出口まで移動する。
「はわわ…!出口までこんなに早く来られるなんて…」
「まだ安心するには早いわ!出口を出るまではいつだって取り残される危険があるのよ!」
出口側もかなりボロボロになっていた。
リリーフィルと私とでは素の身体能力の差が大きい為、リリーフィルに合わせてたら間に合わなかったかもしれない。
そう考えると背筋がゾッとするが、今は気にしないで出口を出る事だけを考える。
「リリーフィル!出口の先の感知はできる?」
「やってみます!」
リリーフィルが感知を行う。
「このまま飛び出しても大丈夫です!」
「了解!」
私はそのまま全力で走って出口を出る。
その瞬間、リリーフィルの波魔法の効力が切れて空間が元に戻る。
私はその場にリリーフィルを下ろしながら、肩で息をする。
「はぁ…はぁ…何とか…なった…わ…ね…」
「そ、そうですね…ただ近くには冥天龍がいますし、仲間の方も戦ってるとなれば休んでる暇が無いと言えますね…」
リリーフィルが魔力を高める。
「私の波魔法でお姉様の疲れの波を鎮めて、身体を癒しますね。波消失!」
リリーフィルの波魔法で私の身体の疲れが嘘のように消え去る。
「ありがとう!」
「お役に立てて何よりです!」
私とリリーフィルはそのままヘルグレアの方へと走る。
「おりゃあ!」
私は炎をはく寸前のヘルグレアの頭に右の拳で思いっきり叩きつける。
「グルルルル?!」
ヘルグレアの口が閉じられて口の中で炎が爆発していた。
「アリス!」
リリアが私を呼ぶ。
「話は後よ!カレンさんは候補隊の皆を避難させて!リリアはカレンさんの援護を!茉莉は私とヘルグレアの攻撃の対処をするよ!」
リリーフィルが言う。
「お姉様!私も波魔法でお手伝いしますわ!」
「それはありがたいけど、魔力量は大丈夫なの?」
「もちろんですわ!波魔法は見た目に反してかなり低コストで使用出来ますの!」
リリーフィルがドヤ顔をする。
「わかった。でも、くれぐれも無理はしないでね?危なくなったら、さっさと逃げるのよ?」
私と茉莉とリリーフィルはヘルグレアと対峙する。
ヘルグレアは私の拳と爆発の影響で起きていた目眩が治った様子だった。
「グルルルル…グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
ヘルグレアは私達を敵と認識した様だ。
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