60 / 112
第四章 ~幽霊屋敷(ゴーストハウス)編~
59 幽霊屋敷
しおりを挟む
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
~幽霊屋敷~
知る人ぞ知る、火の王国でも有名な幽霊屋敷……“幽霊屋敷”―。
何十年も前から誰も住んでいないにも関わらず、勝手に部屋の灯りが付いていたり、不気味な声や物音が聞こえると言った目撃談が多いのだ。中でも、“人影”を見たという者さえ何人かいる程……。
お化けや幽霊といった類の話は信じる人の方が明らかに少ないものだ。
周辺に住む人々達も、きっと誰かの悪戯か野良の動物やモンスターが出入りしているんじゃないかと思う人が多かった。
だが、これまでに何度か、依頼や王国から要請を受けた騎士団員や専門家のハンター達が調査、分析したのだが未だにあらゆる謎に包まれている。
屋敷の敷地に入る為の門がそもそも鍵がかかっており開かない様になっているのだが、調査した者達の話では、人ややモンスターが門と塀を乗り越えた様子も無ければ、屋敷の入り口の扉も鍵は閉まったまま無理に開けられた形跡も無いという。
それなのに、夜に突如部屋の灯りが付いたり、人影のようなものが動いたりと不可解な現象が起こったらしい。
屋敷の外で張り込みをした事もあるそうで、異変があった部屋に急いで駆け付けたが、やはり人はおろか動物一匹も確認出来なかったとの事。
唯一、魔力感知が得意なハンターが調査した所、屋敷から微弱な魔力を感知した様だが、それが何なのか魔力が弱すぎて分からない上に人も動物もモンスターもいないのでは特定のしようがなかったらしい。
そんな噂が噂を呼ぶゴーストハウス―。
基本的に夜に怪奇現象が起こる事が多いと言うが、この日はまだ日中……それも雲一つない快晴の空の下、突如“それ”は起こった―。
「―――ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」
屋敷中……いや、それ以上に響き渡る断末魔の様な叫び声―。
「――うるさいな!いちいち何なんだよお前!」
「だって今何かそこにいたわよ⁉⁉」
「だから気のせいだって」
「違うっ!!絶対なんかいたってば!」
叫び声の主はローラ・ウィッチ・ショット十六歳。女の子。
今しがた、このゴーストハウスで「何かを見た」と熱弁しているが、一緒にいたレイは何も見ていない為それは気のせいだと主張している。
噂のゴーストハウスは大きな屋敷で三階建て。
一階の広いリビングにいるレイとローラは何かを探している様だ―。
「そんなに怖いならここで待ってろよ」
「嫌に決まってるでしょ!一人の方が怖いわッ!」
「面倒くさい奴だな~……。それにしても、ランベルとリエンナは“何処行ったんだ”?」
そう。
レイとローラはゴーストハウスで逸れたランベルとリエンナを探していた―。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
時は遡る事数時間前―。
レイ、ローラ、ランベル、リエンナの四人は、いつもの様にこの日も新たなクエスト依頼を探していた。
冒険者ギルドには日々いくつものクエストが受注されている。
レイ達は少しづつ実力を上げていく為に、そろそろ一段階上のクエストを受けてみようと話していた。
そんな中で、ある一つのクエストが目に留まった―。
「――なぁコレ見てくれよ」
ランベルが一つのクエストを指差し皆を呼ぶ。
「どうした?」
「……“Aランククエスト”⁉ ちょっと待ってよ⁉」
「いや、内容を読んでくれ」
ランベルが選んだクエストを見ると、そこにはクエストランク“A”と記されていた。
いくら何でもそれはまだ早す過ぎると驚くローラ。
しかし、そんな慌てるローラをランベルが落ち着かせクエストの内容を見てみると、普通のクエストとは確かに違う違和感に気付いた。
「これって……ただの調査って事よね?出てくるモンスターの詳細もないし、Aランククエストなのに危険度が一番下の“E”ランクじゃない。どういう事?」
「な。変わってるだろこのクエスト」
レイ達が見ていたクエストは確かに変わっている。
本来ならランクの高いクエストは危険度も高い。出てくるモンスターや討伐目的のモンスターが当然強いからだ。
だが、Aランククエストでも中には危険度が低いものもある。
それは危険なモンスターに遭遇する確率が低い場所や地域指定、もしくはクエストの依頼が何かを運ぶだけだったり、アイテムの入手のみ等のパターンの時。
しかしそれらは、Aランクに認定されているだけあり、普通では入手困難であったり一定の条件が必要の為ランクが高く設定されている。
ランクの高いハンターしか入れない場所や区域への調査や運搬、特殊な魔法や能力がなければ入れないダンジョン等のアイテム入手などいくつかパターンがある。
そういった特殊条件の時に限り、ランクの高いクエストでも危険度が低くなる。
ただ、今回見つけたクエストはその“振り幅”が大きかった―。
いくらAランククエストで危険度が低くされていても、やはり元々がAランクに認定されている為最低限の危険は付き物。
あくまで“Aランククエストの中”では危険度が低いですよという認識が一番合っている。
その為、Aランククエストでも一番低い危険度は“C”ランクに設定されているが、今回のは例外なのだろうか、それよりも更に下のEランク。
そこにレイ達は皆疑問を持っていた。
しかもAランククエストに指定されているにも関わらず何故かEランクのハンターでもクエストを受けられるように
なっていた。
「どういう意味なのかしら……依頼内容も“ただの調査”みたいだし……」
「ラッキーじゃねぇか!危険度低くてもクエストランクはAなんだろ?だったらこれをクリアすれば実績はちゃんとAランク付くって事だよな?」
「いや可笑しいわよ絶対!一度受付で聞いてみましょ」
ローラはギルドの受付へと聞きに行った。
~幽霊屋敷~
知る人ぞ知る、火の王国でも有名な幽霊屋敷……“幽霊屋敷”―。
何十年も前から誰も住んでいないにも関わらず、勝手に部屋の灯りが付いていたり、不気味な声や物音が聞こえると言った目撃談が多いのだ。中でも、“人影”を見たという者さえ何人かいる程……。
お化けや幽霊といった類の話は信じる人の方が明らかに少ないものだ。
周辺に住む人々達も、きっと誰かの悪戯か野良の動物やモンスターが出入りしているんじゃないかと思う人が多かった。
だが、これまでに何度か、依頼や王国から要請を受けた騎士団員や専門家のハンター達が調査、分析したのだが未だにあらゆる謎に包まれている。
屋敷の敷地に入る為の門がそもそも鍵がかかっており開かない様になっているのだが、調査した者達の話では、人ややモンスターが門と塀を乗り越えた様子も無ければ、屋敷の入り口の扉も鍵は閉まったまま無理に開けられた形跡も無いという。
それなのに、夜に突如部屋の灯りが付いたり、人影のようなものが動いたりと不可解な現象が起こったらしい。
屋敷の外で張り込みをした事もあるそうで、異変があった部屋に急いで駆け付けたが、やはり人はおろか動物一匹も確認出来なかったとの事。
唯一、魔力感知が得意なハンターが調査した所、屋敷から微弱な魔力を感知した様だが、それが何なのか魔力が弱すぎて分からない上に人も動物もモンスターもいないのでは特定のしようがなかったらしい。
そんな噂が噂を呼ぶゴーストハウス―。
基本的に夜に怪奇現象が起こる事が多いと言うが、この日はまだ日中……それも雲一つない快晴の空の下、突如“それ”は起こった―。
「―――ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」
屋敷中……いや、それ以上に響き渡る断末魔の様な叫び声―。
「――うるさいな!いちいち何なんだよお前!」
「だって今何かそこにいたわよ⁉⁉」
「だから気のせいだって」
「違うっ!!絶対なんかいたってば!」
叫び声の主はローラ・ウィッチ・ショット十六歳。女の子。
今しがた、このゴーストハウスで「何かを見た」と熱弁しているが、一緒にいたレイは何も見ていない為それは気のせいだと主張している。
噂のゴーストハウスは大きな屋敷で三階建て。
一階の広いリビングにいるレイとローラは何かを探している様だ―。
「そんなに怖いならここで待ってろよ」
「嫌に決まってるでしょ!一人の方が怖いわッ!」
「面倒くさい奴だな~……。それにしても、ランベルとリエンナは“何処行ったんだ”?」
そう。
レイとローラはゴーストハウスで逸れたランベルとリエンナを探していた―。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
時は遡る事数時間前―。
レイ、ローラ、ランベル、リエンナの四人は、いつもの様にこの日も新たなクエスト依頼を探していた。
冒険者ギルドには日々いくつものクエストが受注されている。
レイ達は少しづつ実力を上げていく為に、そろそろ一段階上のクエストを受けてみようと話していた。
そんな中で、ある一つのクエストが目に留まった―。
「――なぁコレ見てくれよ」
ランベルが一つのクエストを指差し皆を呼ぶ。
「どうした?」
「……“Aランククエスト”⁉ ちょっと待ってよ⁉」
「いや、内容を読んでくれ」
ランベルが選んだクエストを見ると、そこにはクエストランク“A”と記されていた。
いくら何でもそれはまだ早す過ぎると驚くローラ。
しかし、そんな慌てるローラをランベルが落ち着かせクエストの内容を見てみると、普通のクエストとは確かに違う違和感に気付いた。
「これって……ただの調査って事よね?出てくるモンスターの詳細もないし、Aランククエストなのに危険度が一番下の“E”ランクじゃない。どういう事?」
「な。変わってるだろこのクエスト」
レイ達が見ていたクエストは確かに変わっている。
本来ならランクの高いクエストは危険度も高い。出てくるモンスターや討伐目的のモンスターが当然強いからだ。
だが、Aランククエストでも中には危険度が低いものもある。
それは危険なモンスターに遭遇する確率が低い場所や地域指定、もしくはクエストの依頼が何かを運ぶだけだったり、アイテムの入手のみ等のパターンの時。
しかしそれらは、Aランクに認定されているだけあり、普通では入手困難であったり一定の条件が必要の為ランクが高く設定されている。
ランクの高いハンターしか入れない場所や区域への調査や運搬、特殊な魔法や能力がなければ入れないダンジョン等のアイテム入手などいくつかパターンがある。
そういった特殊条件の時に限り、ランクの高いクエストでも危険度が低くなる。
ただ、今回見つけたクエストはその“振り幅”が大きかった―。
いくらAランククエストで危険度が低くされていても、やはり元々がAランクに認定されている為最低限の危険は付き物。
あくまで“Aランククエストの中”では危険度が低いですよという認識が一番合っている。
その為、Aランククエストでも一番低い危険度は“C”ランクに設定されているが、今回のは例外なのだろうか、それよりも更に下のEランク。
そこにレイ達は皆疑問を持っていた。
しかもAランククエストに指定されているにも関わらず何故かEランクのハンターでもクエストを受けられるように
なっていた。
「どういう意味なのかしら……依頼内容も“ただの調査”みたいだし……」
「ラッキーじゃねぇか!危険度低くてもクエストランクはAなんだろ?だったらこれをクリアすれば実績はちゃんとAランク付くって事だよな?」
「いや可笑しいわよ絶対!一度受付で聞いてみましょ」
ローラはギルドの受付へと聞きに行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,404
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる