【完結】二十五歳のドレスを脱ぐとき ~「私という色」を探しに出かけます~

 二十五歳――それは、誰かのために生きることをやめて、
 自分のために色を選び直す年齢だったのかもしれません。

 リリア・ベルアメール。王都の宰相夫人として、誰もが羨む立場にありながら、 彼女の暮らす屋敷には、静かすぎるほどの沈黙が流れていました。
 深緑のドレスを纏い、夫と並んで歩くことが誇りだと信じていた年月は、
 いまではすべて、くすんだ記憶の陰に沈んでいます。

 “夫の色”――それは、誇りでもあり、呪いでもあった。
 リリアはその色の中で、感情を隠し、言葉を飲み込み、微笑むことを覚えた。
 けれど二十五歳の冬、長く続いた沈黙に小さなひびが入ります。

 愛されることよりも、自分を取り戻すこと。
 選ばれる幸せよりも、自分で選ぶ勇気。
 その夜、彼女が纏ったのは、夫の深緑ではなく――春の蕾のような淡いピンク。
 それは、彼女が“自分の色”で生きると決めた最初の夜でした――。
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