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第5章
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窓の外は雨だ。
いつから降り続いているのか、ざあざあと降り止む気配のないその雨を、寝台の上から、ユアンはずっと眺めていた。
「…入るぞ。」
用意された食事は、手をつけられた様子が全くない。
「少しでもいい、口にするんだ。」
寝台の脇に腰を下ろすと、カイゼルはユアンの口へとそれを運んだ。
小さく開く口の中へ、少しずつ。
あんなことがあったとは思えない程、2人の間はとても静かだ。
気を取り戻したユアンに、カイゼルは淡々と事実だけを述べた。
取り乱すかと思われたユアンは、思いの外冷静にその事実を受け止めていた。
あれから、ユアンは何も語らない。
何かを考え込んでいるのか、傷ついた身体を寝台に休ませ、ただじっと外を眺めるばかりだ。
「…………家へ、帰るか?」
カイゼルは今回の出来事を、なんと侯爵家へ伝えればいいか、考えあぐねていた。
おそらく、ユアンは侯爵家へ帰るだろう。
事故のようなものとは言え、愛していない者に身体を暴かれたユアンは、きっとここを離れたがるはずだ。それが、いくら不可抗力のことだったとしても。
念の為、まだこの部屋へはカイゼル以外入れないようにしてある。
もう、大丈夫だろう。
明日からは他の者に任せてもいいかと、カイゼルは考えていた。
「………まだ、侯爵家には、何も、伝えないでいて、下さい。」
あの日以来、ユアンが初めて言葉を発した。
「そうか。だが、いずれ全てを伝えなければならん。」
「………もう少し、考える時間を、下さい。」
「わかった。…マリが会いたがっている。部屋へ入れてもいいか?」
翡翠の瞳を瞬かせ、ユアンは嬉しそうに頷いた。
執務室へと戻ったカイゼルは、目の前に重なる書類の束を前に、深く溜め息を吐いた。
あの日、カイゼルは、マリが部屋を出て行った後、暴れるユアンを押さえつけ、汗で濡れ所々破れたその衣服を、脱がせようとしていた。
下履きへと手をかけたとき、その違和感に気が付いた。
おそらく、濡れてぐしゃぐしゃになっているかと思われたそれは、汗でしっとりとはしているが、想像していたものとは、違っていた。
下履きを剥がれた、ユアンのそこは、慎ましく立ち上がり、今にもはち切れそうではあったが、精を吐き出した様子が全くない。
まさか………………いや、そんなはず………
カイゼルの手が、撫であげるようにそこへと触れると、
うあああああああああああ!!!
と嬌声を上げ、ユアンがその手に、精を吐き出した。
おそらく、それは、ユアンの初めての精通だった。
「孕み子」であることの事実を理解していたユアンは、投薬と共に、ずっとその身体を管理し続けていた。
万が一に備え、辺境の執事にも、薬の飲み忘れがないようその管理を依頼し、二重に徹底していた程だ。
それでも、本来「孕み子」は性的に早熟である。
自らを慰める術を、早くから身につけているはずであるのに、おそらくユアンはそれをしていなかった。
目に見えない形で、じわじわとユアンの中には熱が蓄えられ、薬でも抑え切れない程、限界を迎えていたのではないか。
それが、今回の発情に繋がったのではないかと、カイゼルは考えていた。
一度精通を覚えたユアンの身体は、その後夥しい程の匂いを発し、「孕み子」としての性を開花させた。
前からはダラダラと精液が流れ続け、後ろはぐっしょりと濡れ上がり、早く与えろと言わんばかりにカイゼルの身体を求めた。
カイゼルとて、これまで何度も「孕み子」たちの、哀れな姿を見てきた。
他に方法はないのだ。
その行為自体に、カイゼルは何の思い入れもない。
熱が溜まれば、その時々で誘われるまま、身体を繋げてきた。
ただ熱を吐き出すだけのそれは、相手が誰であろうとも、何の感慨もないものだ。
流石に前妻を娶ってからは、誰でも、ということはなくなったが。
抱くことは、難しいことではない。簡単なことだ。
それでも、ユアンを目の前に、カイゼルは躊躇してしまう。
ユアンは、そのように抱いていい存在ではない。
あの場にいるべきだったのは、ユアンだ。
あの男に愛され、幸せそうに微笑んでいるのは、ユアンのはずだった。
寄り添い合う2人から、遠く離れたこの場所で、
ユアンは1人、たった1人、与えられない苦しみに耐えていた。
苦しまずとも、いくらでも満足できるぐらいに、与えられるべき存在だったのに。
「…わたしのような者で、すまない。耐えてくれ、ユアン。」
そう言って、カイゼルはユアンの中へと身を落としたのだった。
「ユアンさま!!!」
部屋へと入ってきたマリは、ユアンへと抱きついた。
「ユアンさま!よかった!よかったあ、ユアンさまああああああ。」
マリとユアンは、2人抱き合って泣いた。
「ありがとう。マリ、ありがとう。マリの声はずっと聞こえていたよ。マリのおかげ。ありがとう。マリ。」
側から見ると、まるで2人の子どもが泣き合っているかのように、
2人は声をあげ、暫く泣き続けていた。
いつから降り続いているのか、ざあざあと降り止む気配のないその雨を、寝台の上から、ユアンはずっと眺めていた。
「…入るぞ。」
用意された食事は、手をつけられた様子が全くない。
「少しでもいい、口にするんだ。」
寝台の脇に腰を下ろすと、カイゼルはユアンの口へとそれを運んだ。
小さく開く口の中へ、少しずつ。
あんなことがあったとは思えない程、2人の間はとても静かだ。
気を取り戻したユアンに、カイゼルは淡々と事実だけを述べた。
取り乱すかと思われたユアンは、思いの外冷静にその事実を受け止めていた。
あれから、ユアンは何も語らない。
何かを考え込んでいるのか、傷ついた身体を寝台に休ませ、ただじっと外を眺めるばかりだ。
「…………家へ、帰るか?」
カイゼルは今回の出来事を、なんと侯爵家へ伝えればいいか、考えあぐねていた。
おそらく、ユアンは侯爵家へ帰るだろう。
事故のようなものとは言え、愛していない者に身体を暴かれたユアンは、きっとここを離れたがるはずだ。それが、いくら不可抗力のことだったとしても。
念の為、まだこの部屋へはカイゼル以外入れないようにしてある。
もう、大丈夫だろう。
明日からは他の者に任せてもいいかと、カイゼルは考えていた。
「………まだ、侯爵家には、何も、伝えないでいて、下さい。」
あの日以来、ユアンが初めて言葉を発した。
「そうか。だが、いずれ全てを伝えなければならん。」
「………もう少し、考える時間を、下さい。」
「わかった。…マリが会いたがっている。部屋へ入れてもいいか?」
翡翠の瞳を瞬かせ、ユアンは嬉しそうに頷いた。
執務室へと戻ったカイゼルは、目の前に重なる書類の束を前に、深く溜め息を吐いた。
あの日、カイゼルは、マリが部屋を出て行った後、暴れるユアンを押さえつけ、汗で濡れ所々破れたその衣服を、脱がせようとしていた。
下履きへと手をかけたとき、その違和感に気が付いた。
おそらく、濡れてぐしゃぐしゃになっているかと思われたそれは、汗でしっとりとはしているが、想像していたものとは、違っていた。
下履きを剥がれた、ユアンのそこは、慎ましく立ち上がり、今にもはち切れそうではあったが、精を吐き出した様子が全くない。
まさか………………いや、そんなはず………
カイゼルの手が、撫であげるようにそこへと触れると、
うあああああああああああ!!!
と嬌声を上げ、ユアンがその手に、精を吐き出した。
おそらく、それは、ユアンの初めての精通だった。
「孕み子」であることの事実を理解していたユアンは、投薬と共に、ずっとその身体を管理し続けていた。
万が一に備え、辺境の執事にも、薬の飲み忘れがないようその管理を依頼し、二重に徹底していた程だ。
それでも、本来「孕み子」は性的に早熟である。
自らを慰める術を、早くから身につけているはずであるのに、おそらくユアンはそれをしていなかった。
目に見えない形で、じわじわとユアンの中には熱が蓄えられ、薬でも抑え切れない程、限界を迎えていたのではないか。
それが、今回の発情に繋がったのではないかと、カイゼルは考えていた。
一度精通を覚えたユアンの身体は、その後夥しい程の匂いを発し、「孕み子」としての性を開花させた。
前からはダラダラと精液が流れ続け、後ろはぐっしょりと濡れ上がり、早く与えろと言わんばかりにカイゼルの身体を求めた。
カイゼルとて、これまで何度も「孕み子」たちの、哀れな姿を見てきた。
他に方法はないのだ。
その行為自体に、カイゼルは何の思い入れもない。
熱が溜まれば、その時々で誘われるまま、身体を繋げてきた。
ただ熱を吐き出すだけのそれは、相手が誰であろうとも、何の感慨もないものだ。
流石に前妻を娶ってからは、誰でも、ということはなくなったが。
抱くことは、難しいことではない。簡単なことだ。
それでも、ユアンを目の前に、カイゼルは躊躇してしまう。
ユアンは、そのように抱いていい存在ではない。
あの場にいるべきだったのは、ユアンだ。
あの男に愛され、幸せそうに微笑んでいるのは、ユアンのはずだった。
寄り添い合う2人から、遠く離れたこの場所で、
ユアンは1人、たった1人、与えられない苦しみに耐えていた。
苦しまずとも、いくらでも満足できるぐらいに、与えられるべき存在だったのに。
「…わたしのような者で、すまない。耐えてくれ、ユアン。」
そう言って、カイゼルはユアンの中へと身を落としたのだった。
「ユアンさま!!!」
部屋へと入ってきたマリは、ユアンへと抱きついた。
「ユアンさま!よかった!よかったあ、ユアンさまああああああ。」
マリとユアンは、2人抱き合って泣いた。
「ありがとう。マリ、ありがとう。マリの声はずっと聞こえていたよ。マリのおかげ。ありがとう。マリ。」
側から見ると、まるで2人の子どもが泣き合っているかのように、
2人は声をあげ、暫く泣き続けていた。
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