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第6章
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「ひっ!し、失礼いたしましたあ!!」
バタンと、開けた扉が、そのまま閉じられる音を聞き、カイゼルは目を覚ました。
あの日と同じだ。
使用人たちは、またすぐに噂し出すだろう。
今回は手間が省けていい。
カイゼルに抱きついたまま、ユアンは今だすうすうと気持ち良さそうに寝ている。
「……だいぶ、伸びてきたな。」
薄金色の髪を掬い上げ、そっと口付けると、カイゼルは静かに起き上がった。
「これから忙しくなるぞ。まだ寝ていろ。」
カイゼルの動きは早かった。
今回の顛末と、ユアンを妻として迎え入れたい旨の書簡をしたためると、すぐに侯爵家へと使いを出した。
兄王には、新たに妻を娶りたい旨、その相手がユアンであることをしたため、それもすぐに使いを出した。
「カイゼル様。ご決心されたのですね。ようございました。本当に。ようございました。」
執事は嬉しそうに、これからの準備を整え始めていた。
「リヒトとマリにはわたしから伝える。……使用人たちは、どんな様子だ?」
「それはもう、蜂の巣を突いたように大騒ぎでございます。」
「そうか。双方からの了承を得られれば、ユアンのことは公になる。それまでは、まだ内密にしておきたい。」
「かしこまりました。」
「これから忙しなくなるが、よろしく頼む。」
「ええ、ええ。何なりとお任せ下さい。」
扉の開く音に目を覚まし、隣にカイゼルがいないことに気付く。
やはり、気が変わったのか。
あれは、夢だったのかと、ユアンは不安が込み上げ、その姿を探した。
「……ここに、いるぞ。」
扉の前にカイゼルの姿をみとめると、ユアンはほっと、胸を撫で下ろした。
「兄王と侯爵家には使いを出した。すぐに返事が届くだろう。」
「……本当に、ぼくでいいのですか?」
「お前が言い出したことだろう。」
カイゼルは寝台の傍に腰をおろすと、ユアンの頬へと触れた。
「………どうして?」
「気が変わった。お前と一緒だ。」
「……でも、カイゼル様は…」
本当は、まだ前の奥様を愛しているのでしょう?
ユアンは、怖くて聞けない。
「今更後悔しても、遅い。ユアン、お前はもう、わたしのものだ。違うのか?」
カイゼルの気持ちがわからない。
それでも、ユアンはカイゼルのものだ。
今は、きっと、それだけでいい。
咎めるように見つめるカイゼルに抱きつく。
今ここにいるのは、自分だ。
誰でもない、ユアン自身だ。
側にいられるだけでいい。
「婚約期間はおかない。すぐに娶る。それで、いいか?」
「はい。」
「もう後戻りはできんぞ。」
「はい。」
「………熱は、おさまったか?」
発情している訳でもないのに、カイゼルが近くにいるだけで、ユアンはいつも熱っぽくなる。
「薬、飲んでいるのに。どうしてでしょうか?」
「………薬も、あと少しで飲まずともよくなる。もう少しだけ、我慢できるか?」
その言葉の意味に、ユアンの身体はいっそう熱を帯びる。
「……ぼくの身体は、どうかしてしまったんでしょうか?また、発情してしまうんでしょうか。」
あの時のことを思い出し、ユアンは不安に駆られる。
「おそらく、今はまだ大丈夫だ。不安ならば、今日からここで休め。見えない所にいられるより、わたしもその方が安心だ。」
カイゼルはユアンがなぜ発情してしまったのか、分かっているようだった。
「数日経てば忙しくなる。それまで休んでいろ。いいな。」
カイゼルはユアンの頭を一撫ですると、そのまま部屋を出て行った。
カイゼルの言う通り、双方からすぐに返事が届けられた。
どちらも、諾とする内容だった。
王への報告の日程を整え、その足で侯爵家を訪れる手配も整えられた。
マリはこうなることがわかっていたかのような反応を示し、リヒトはそれを見てまた苦笑いをしていた。
カイゼルは最後にセレンへと書簡をしたためた。
悪いが、義理の弟になる。そういう訳だ。
ニヤリと笑うセレンの顔が目に浮かぶ。
バタンと、開けた扉が、そのまま閉じられる音を聞き、カイゼルは目を覚ました。
あの日と同じだ。
使用人たちは、またすぐに噂し出すだろう。
今回は手間が省けていい。
カイゼルに抱きついたまま、ユアンは今だすうすうと気持ち良さそうに寝ている。
「……だいぶ、伸びてきたな。」
薄金色の髪を掬い上げ、そっと口付けると、カイゼルは静かに起き上がった。
「これから忙しくなるぞ。まだ寝ていろ。」
カイゼルの動きは早かった。
今回の顛末と、ユアンを妻として迎え入れたい旨の書簡をしたためると、すぐに侯爵家へと使いを出した。
兄王には、新たに妻を娶りたい旨、その相手がユアンであることをしたため、それもすぐに使いを出した。
「カイゼル様。ご決心されたのですね。ようございました。本当に。ようございました。」
執事は嬉しそうに、これからの準備を整え始めていた。
「リヒトとマリにはわたしから伝える。……使用人たちは、どんな様子だ?」
「それはもう、蜂の巣を突いたように大騒ぎでございます。」
「そうか。双方からの了承を得られれば、ユアンのことは公になる。それまでは、まだ内密にしておきたい。」
「かしこまりました。」
「これから忙しなくなるが、よろしく頼む。」
「ええ、ええ。何なりとお任せ下さい。」
扉の開く音に目を覚まし、隣にカイゼルがいないことに気付く。
やはり、気が変わったのか。
あれは、夢だったのかと、ユアンは不安が込み上げ、その姿を探した。
「……ここに、いるぞ。」
扉の前にカイゼルの姿をみとめると、ユアンはほっと、胸を撫で下ろした。
「兄王と侯爵家には使いを出した。すぐに返事が届くだろう。」
「……本当に、ぼくでいいのですか?」
「お前が言い出したことだろう。」
カイゼルは寝台の傍に腰をおろすと、ユアンの頬へと触れた。
「………どうして?」
「気が変わった。お前と一緒だ。」
「……でも、カイゼル様は…」
本当は、まだ前の奥様を愛しているのでしょう?
ユアンは、怖くて聞けない。
「今更後悔しても、遅い。ユアン、お前はもう、わたしのものだ。違うのか?」
カイゼルの気持ちがわからない。
それでも、ユアンはカイゼルのものだ。
今は、きっと、それだけでいい。
咎めるように見つめるカイゼルに抱きつく。
今ここにいるのは、自分だ。
誰でもない、ユアン自身だ。
側にいられるだけでいい。
「婚約期間はおかない。すぐに娶る。それで、いいか?」
「はい。」
「もう後戻りはできんぞ。」
「はい。」
「………熱は、おさまったか?」
発情している訳でもないのに、カイゼルが近くにいるだけで、ユアンはいつも熱っぽくなる。
「薬、飲んでいるのに。どうしてでしょうか?」
「………薬も、あと少しで飲まずともよくなる。もう少しだけ、我慢できるか?」
その言葉の意味に、ユアンの身体はいっそう熱を帯びる。
「……ぼくの身体は、どうかしてしまったんでしょうか?また、発情してしまうんでしょうか。」
あの時のことを思い出し、ユアンは不安に駆られる。
「おそらく、今はまだ大丈夫だ。不安ならば、今日からここで休め。見えない所にいられるより、わたしもその方が安心だ。」
カイゼルはユアンがなぜ発情してしまったのか、分かっているようだった。
「数日経てば忙しくなる。それまで休んでいろ。いいな。」
カイゼルはユアンの頭を一撫ですると、そのまま部屋を出て行った。
カイゼルの言う通り、双方からすぐに返事が届けられた。
どちらも、諾とする内容だった。
王への報告の日程を整え、その足で侯爵家を訪れる手配も整えられた。
マリはこうなることがわかっていたかのような反応を示し、リヒトはそれを見てまた苦笑いをしていた。
カイゼルは最後にセレンへと書簡をしたためた。
悪いが、義理の弟になる。そういう訳だ。
ニヤリと笑うセレンの顔が目に浮かぶ。
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