運命と運命の人

なこ

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第7章

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「リオ、陛下への謁見の日取りが決まったよ。」

リオは大きな目をさらに大きく見開き、慄いた。

「大丈夫だよ。この数カ月、リオはよくやっている。わたしと一緒なのだから、心配する必要はないよ。」

「………わたしのような者が、本当にお会いしてもいいんでしょうか。」

「ああ、陛下がリオも連れて来るように仰っている。」

「………でも。。。」

リオは不安だ。

講師たちからは、毎日様々な教育を施されているが、今だ公の場には出ていない。ほぼ公爵家に閉じこったままだ。

「講師たちも大丈夫だと言ってくれている。自信を持っていい。」

実際のところ、陛下からの要請をいつまでも先延ばしにすることはできない。

ラグアルの目から見ても、大丈夫だろうと判断してのことだ。

その日までは他の教育を中断させ、王宮における王族への振る舞い方だけを徹底して指導するよう、ラグアルは講師たちに通達した。



謁見日が近づくにつれ、リオは磨きに磨き上げられた。

当日の朝、動くたびにふわふわと揺れる薄茶の髪は、日に透けると薄らと金色にも見え、健康的な乳白色の肌はつやつやと輝いている。

準備が整ったリオを見て、ラグアルは満足そうに頷いた。

わたしの番のなんと可愛いらしいことか。

例え陛下でも、この姿を見せるのが口惜しい。

今すぐ抱き潰したい衝動をなんとか抑えると、リオを抱きしめた。

「ああ、リオ。何も心配することはない。わたしがいるからね。」

最後の仕上げに、この日のために仕上げていたブローチをリオの胸元へ留める。

薄紫の、ラグアルの瞳のような宝石だ。

「こんな、立派な…。わたしには、勿体ないです。」

また俯きそうになるリオの顎に触れると、顔を上げさせる。

不安気に揺らぐ薄茶の瞳はラグアルの庇護欲を刺激し、ラグアルはたまらない気持ちになる。

もう一度リオを抱きしめ、リオの手をエスコートする。

「リオのために作らせたものだよ。さあ、行こう。」

おずおずとその手を取ると、リオは意を決したように、歩き出した。

ラグアルに相応しくありたいと、ずっと頑張ってきた。

ラグアルの顔に泥は塗れない。

まだ1年にもならないが、リオの立ち姿は十分に貴族として成り立ってる。

ラグアルの隣りにいても何の遜色もない。

公爵夫妻は安堵した様子で2人を見送っていた。



王宮の荘厳さはリオを圧倒した。

公爵家だけでも驚くように立派であるのに、王宮のそれは、群を抜く。

王宮の王宮たる所以だ。

廊下とは思えない程の、広く真っ白な回廊を2人が王の間へと進んでいく。

カツカツとなり響く音に、リオの緊張は高まる。



前方に大柄な男の姿をとらえ、ラグアルはリオを促し、傍らへと控えた。

黒の騎士服は、辺境のものだ。あの威風堂々たる佇まいは、おそらく王弟である辺境伯だろう。

噂には聞いていたが、本人を目の当たりにするのはラグアルも初めてのことだ。

それほど辺境伯が王都を訪れることは少なく、社交の場にも姿を見せない。

漆黒の髪に、その瞳、黒い騎士服に包まれた屈強な身体は褐色の肌をしている。

その視線は鋭い。

リオが息を飲むのが分かる。

さすがのラグアルでさえ、緊張の汗が流れるのを感じた。

臣下の礼をとる2人に対し、何も言葉を発することなく、その前を通り過ぎて行く。

一瞬だった。微かに威圧が感じられ、ラグアルはリオを庇おうとした。

気のせいか……………

姿が見えなくなり、ラグアルはリオを抱き上げた。

リオは震えていた。



王への謁見は無事に終えることができた。






*** ここから、登場人物たちの人間模様が絡み合って行く予定です   ***










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