運命と運命の人

なこ

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第7章

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リオの様子がおかしい。

を楽しみにしていた様子から、切望するような様子へと態度が変わった。

切望するほどあの男に会いたいのかと疑いもしたが、どうやらそんな様子でもない。

を明日に迎え、なおもどこか物憂気な様子がラグアルは気になっていた。

「リオ、明日は楽しみにしていたその日だよ。どうかしたのかい?」

リオはふるふると首を横にふる。

「なんでも、なんでも、ありません。明日が楽しみです。ラグアル様、あの…。」

「どうした?リオ?」

「あの、リオは、ラグアル様を、愛しています。」

「ああ、わたしもリオを愛しているよ。」

「リオは、リオは、ラグアル様!」

そう言って抱きついてくるリオが愛おしい。

リオの体調を気遣い、抱くことを控えていたラグアルは、その夜久しぶりにリオを抱いた。

ラグアルに縋りつきながら、リオはラグアルだけだと、何度も何度も繰り返していた。

リオは、、ただそう言って欲しかった。




「リオ!可愛くなったな!」

翌日、2人の従者を連れて、リオはシルビオの元を訪れた。

従者は2人とも店の前に控えている。

シルビオと会うのは、ラグアルと出会ったあの日以来だ。

屈託ない表情で笑いながら、リオの頭を撫で回すシルビオは、あの日のまま何も変わらない。

「可愛い?本気?」

「ああ、奥さんの次だな。」

ははは、と笑うシルビオのその笑顔に、リオの心はすうっと、和んでいく。

「ああ、でも、リオ様って呼ばないとな。つい、癖だな。」

「やめてよ、気持ち悪いよ。シルビオにそんな風に呼ばれたくない。」

「気持ち悪いって、ひどくないか?」

ははは、とリオは久しぶりに声を出して笑った。

「元気そうだな!あんな男前の旦那だもんな!」

「ラグアル様のこと、旦那とか言わないでよ。それに、まだ婚約者だし…」




「……リオ様はきっと、色々大変な日々を過ごしているわ。わたしたちには、抱えきれないような物を抱えている。ここに来たときは、今まで通りのあなたで接してあげて。」

シルビオは妻から言われていた。



確かに、時折見せるリオの表情には翳りが見える。

運命の番と出会えたはずなのに、リオは孤児院にいた時のまま、どこか1人寂しげだ。



「そうだ。せっかく来たんだし、店の花の世話でも頼もうか。リオが世話してくれると、花たちも生き生きするからさ。」

「お店、今日はお休みなの?」

「ああ、その、なんだ、リオの旦那にな、今日は貸し切りって、言われてる。」

「なんで!!そんなの、聞いてない!それに、まだ旦那じゃないって、さっきも言ったよ!」

「それくらい、リオのこと大事にしてるんだろう。今奥さんが花の手入れをしているから、見てみるか?」

「うん。ありがとう。久しぶりだから。嬉しい。」

店の接客室を出ると、リオはシルビオとその妻と3人で、久しぶりに花の世話に没頭した。

シルビオの妻は、まだ花の世話を上手くできなくて、と言いながらも、丁寧に世話をしていた。

リオへも、優しかった。

シルビオが幸せそうで、リオはとても嬉しかった。


「そろそろ帰るよ。」

「まだ、早くないか?予定ではもっと時間があっただろう?」

「でも、なんか、2人を見てたら、あいたくなって…」

リオがもじもじする様子に、シルビオも妻も笑った。

「あら、リオ様ったら、愛しい方が恋しくなったのね。」

「リオ、お前、惚れてんだなあ。」

「そんな風に言わないでよ!もう!」

赤くなるリオに、2人が笑う。

ここに来て本当に良かった。早くラグアル様にあいたい。今すぐに。

「お店、貸し切りにしてくれて、ありがとう。まだ時間もあるし、折角だから、少しだけでも開けない?」

「そうねえ。1日分の売り上げ以上を頂いているけど、これで店を開けたら、だいぶ売り上げが伸びるかしら?」

商会の娘さんだけあって、奥さんは商売人のようだ。

「お前、せっかくだし、今日はこのまま休もうよ。」

「だめよ」
「だめだよ」

リオと妻の声が合って、シルビオは笑った。

まだ昼過ぎだ。リオは開店の準備を手伝って、それからラグアルの元へ帰ろうと思った。

今度来るときは、ラグアルと一緒に来れたらいい。そう思うと、昨日まで感じていたモヤモヤが少しなくなった気がしていた。



「まあ、いらっしゃいませ。ええ、今日は今から開店しますの。どうぞ、中へお入り下さいませ。すぐに準備が整います。」



早速お客さんが来たようだ。

店の準備も、だいたい終わった。

「シルビオ、ありがとう。また来ていい?」

「ああ、いつでも来ればいい。俺も奥さんも大歓迎だよ。旦那に、よろしく伝えてくれ。」

「もう!旦那じゃないって言ってるのに!ありがとう、必ず来るから。またね!」

店の奥から、従者が待つ入り口へと向かおうとして、リオは立ち止まった。




なんで?

なんで、ここに、いるの?

ドクン。

ドクン。

ドクン。


また胸が高鳴る。

振り返ったと目が合う。

翡翠色のそれは。



ユアン、さま…









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