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第7章
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店は貸し切りにと言われていたので、従者に咎められるかもしれない。
その時はその時ね、とシルビオの妻は店を開いた。
お休みですか?と、訪ねてきた2人を迎え入れようとしても、従者は咎めて来ない。
まあ、この2人なら、しょうがないわよねえ、と思う。
1人は薄桃色のくりくりとした瞳が愛らしく、なぜか黒の騎士服を纏っている。
もう1人は………妖精ね。
見上げる翡翠の瞳に、吸い込まれてしまいそうだわ。
従者たちが目を見開き、固まってしまうのもしょうがない。
咎められることもないし、リオに害を与えるような子たちではないだろうと、彼女はそのまま2人を店の中へと迎え入れた。
シルビオは、リオの背中越しから、2人の人物が店に入ってくる様子を見ていた。
何やら、きゃきゃと、楽しそうだ。
たくさんの花に囲まれ、嬉しそうに微笑み合う2人を見て、シルビオは思った。
とうとう、この店には、妖精がきてしまった………
リオだけが、呆然とそこに立ちすくんでいる。
あの時の憔悴した様子とは違う。
乳白色の質のいい上着は膝下まで長く、黒と金の繊細な刺繍が所々に施され、ユアンが動くたび、ひらひらと裾が揺れ、美しい。
何より、それを身に纏う本人が、美しい。
見目の美しさもさることながら、少しの動きさえも楚々とし、見る者の目を惹きつけて離さない。
ふふふと、微笑むその姿に、あの時の言葉が耳をよぎる。
「……ああ、それは、ユアンに…」
聞き間違いなんかじゃない。
ラグアル様は、確かに、ユアンと、そう言ったじゃないか。
シルビオと妻が、その異変に気がつく。
「リオ?」「リオさん?」
その声に、ユアンが振り向く。
その場に佇むリオを、ユアンは不思議そうに見つめている。
「ユアン様、知り合い?」
ユアンは、首を傾げ、少し考え込む様子で、リオを見つめている。
ドクン。
ドクン。
ドクン。
「……‥…………あっ。」
だめだ。何をしても、だめなんだ。
この方に、俺が、敵うわけ、ないじゃ、ないか………………
リオは、扉に向かって走り出した。
だめだ。だめだ。だめなんだ………
______どんっ、とリオへと衝撃が伝わる。
「おいっ、大丈夫か?」
その衝撃に目を瞑り、倒れそうになるリオを逞しい腕が抱き留める。
目を開いて見上げたリオは、息を呑んだ。
あの時、王宮で見た、あの………!
なぜ、ここに?なぜ…‥…?
リオを見つめるその漆黒の瞳に、あの時と同じ、威嚇するような何かを感じ、リオは震えた。
「なぜ、ここにお前がいるんだ。まさか、あの男も……」
リオは震えて、声も出ない。
は、は、はっ、はっ、はっ、は、、
息が、苦しい。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
威嚇するような何かがなくなり、リオはその腕の中で、はふ、はふと、動くこともできない。
「く、くるし、、、は、はっ、」
「落ち着け。息を吸って、ゆっくり吐け。ゆっくりだ。」
「はっ、は、はっ、くるし」
「大丈夫だ。息を吸って、ゆっくり、そう、ゆっくり、吐くんだ。」
ふう、ふう、と呼吸を整える間、リオは夢中でその腕にしがみついた。
周囲は驚きのあまり声を出すこともできず、ただその状況を見守ることしかできない。
「はっ、は、は……ふぅーーーふぅーーーーーー」
「ああ、それでいい。」
「………ふーーーはっ、あ、ふぅーーーー」
どれくらいの間そうしていたのか、しがみつくリオの手がゆっくりと緩んでいく。
それでもまだ、震えはとまらない。
「少し、落ち着いたか?」
こくり、こくりと、リオが頷く。
その状況を呆然と見ていた従者たちが、慌てて2人の元へとやってきた。
「も、申し訳ございません!リオ様が、このような!」
「どうか、お赦しを。申し訳ございません!」
男に向かい、2人は、平身低頭で必死に謝り続ける。
「かまわん。気にするな。公爵家の者だろう。早く連れて帰った方がいい。」
従者は深々と何度も礼をすると、リオを抱え店を去って行った。
店の中からは、叫び声が聞こえる。
「いやっ、いやだ!とらないで!とらないでっ!」
………ユアン、さま?
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
リオは震えながら耳を塞ぐと、何に対してなのか、ずっと、ずっと、心の中で謝り続けていた。
その時はその時ね、とシルビオの妻は店を開いた。
お休みですか?と、訪ねてきた2人を迎え入れようとしても、従者は咎めて来ない。
まあ、この2人なら、しょうがないわよねえ、と思う。
1人は薄桃色のくりくりとした瞳が愛らしく、なぜか黒の騎士服を纏っている。
もう1人は………妖精ね。
見上げる翡翠の瞳に、吸い込まれてしまいそうだわ。
従者たちが目を見開き、固まってしまうのもしょうがない。
咎められることもないし、リオに害を与えるような子たちではないだろうと、彼女はそのまま2人を店の中へと迎え入れた。
シルビオは、リオの背中越しから、2人の人物が店に入ってくる様子を見ていた。
何やら、きゃきゃと、楽しそうだ。
たくさんの花に囲まれ、嬉しそうに微笑み合う2人を見て、シルビオは思った。
とうとう、この店には、妖精がきてしまった………
リオだけが、呆然とそこに立ちすくんでいる。
あの時の憔悴した様子とは違う。
乳白色の質のいい上着は膝下まで長く、黒と金の繊細な刺繍が所々に施され、ユアンが動くたび、ひらひらと裾が揺れ、美しい。
何より、それを身に纏う本人が、美しい。
見目の美しさもさることながら、少しの動きさえも楚々とし、見る者の目を惹きつけて離さない。
ふふふと、微笑むその姿に、あの時の言葉が耳をよぎる。
「……ああ、それは、ユアンに…」
聞き間違いなんかじゃない。
ラグアル様は、確かに、ユアンと、そう言ったじゃないか。
シルビオと妻が、その異変に気がつく。
「リオ?」「リオさん?」
その声に、ユアンが振り向く。
その場に佇むリオを、ユアンは不思議そうに見つめている。
「ユアン様、知り合い?」
ユアンは、首を傾げ、少し考え込む様子で、リオを見つめている。
ドクン。
ドクン。
ドクン。
「……‥…………あっ。」
だめだ。何をしても、だめなんだ。
この方に、俺が、敵うわけ、ないじゃ、ないか………………
リオは、扉に向かって走り出した。
だめだ。だめだ。だめなんだ………
______どんっ、とリオへと衝撃が伝わる。
「おいっ、大丈夫か?」
その衝撃に目を瞑り、倒れそうになるリオを逞しい腕が抱き留める。
目を開いて見上げたリオは、息を呑んだ。
あの時、王宮で見た、あの………!
なぜ、ここに?なぜ…‥…?
リオを見つめるその漆黒の瞳に、あの時と同じ、威嚇するような何かを感じ、リオは震えた。
「なぜ、ここにお前がいるんだ。まさか、あの男も……」
リオは震えて、声も出ない。
は、は、はっ、はっ、はっ、は、、
息が、苦しい。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
威嚇するような何かがなくなり、リオはその腕の中で、はふ、はふと、動くこともできない。
「く、くるし、、、は、はっ、」
「落ち着け。息を吸って、ゆっくり吐け。ゆっくりだ。」
「はっ、は、はっ、くるし」
「大丈夫だ。息を吸って、ゆっくり、そう、ゆっくり、吐くんだ。」
ふう、ふう、と呼吸を整える間、リオは夢中でその腕にしがみついた。
周囲は驚きのあまり声を出すこともできず、ただその状況を見守ることしかできない。
「はっ、は、は……ふぅーーーふぅーーーーーー」
「ああ、それでいい。」
「………ふーーーはっ、あ、ふぅーーーー」
どれくらいの間そうしていたのか、しがみつくリオの手がゆっくりと緩んでいく。
それでもまだ、震えはとまらない。
「少し、落ち着いたか?」
こくり、こくりと、リオが頷く。
その状況を呆然と見ていた従者たちが、慌てて2人の元へとやってきた。
「も、申し訳ございません!リオ様が、このような!」
「どうか、お赦しを。申し訳ございません!」
男に向かい、2人は、平身低頭で必死に謝り続ける。
「かまわん。気にするな。公爵家の者だろう。早く連れて帰った方がいい。」
従者は深々と何度も礼をすると、リオを抱え店を去って行った。
店の中からは、叫び声が聞こえる。
「いやっ、いやだ!とらないで!とらないでっ!」
………ユアン、さま?
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
リオは震えながら耳を塞ぐと、何に対してなのか、ずっと、ずっと、心の中で謝り続けていた。
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