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第10章
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「お前、何しに辺境に行くんだ?」
乗合の馬車に揺られながら、エドはリオを覗き込んだ。
リオはずっと青白い顔のまま、時折腹をさするような仕草をしている。
「腹でも痛いのか?ずっとさすってるよな。」
「え?そう?…全然、痛くないから。心配とかするんだ?」
「あ?誰が、誰を?調子にのんな。具合悪いお前抱いてもつまんないだろ。」
リオは無意識に腹をさすっていることに気がついていない。
まるで、守るように、優しくさすり続けている。
「今日はこの辺で一泊するか。金はお前もちな。持ってるよな?」
「うん。大丈夫だよ。同じ部屋?」
「へえ、乗り気か?同じ部屋にしようぜ。金も勿体無いしな。」
意外にも、エドはすぐに身体を求めるようなことはなかった。
「お前、顔色悪いな。馬車に酔ったのか?」
「…大丈夫。明日には着く?」
「ああ、明日には着くだろ。それにしても寒いなあ。抱かせろよ。」
「全部終わったらって、言ったよね。」
「ふうん。よっぽど何か抱え込んでるんだな、お前。辺境って、あのユアンがいるとこだろ?」
「…それも知ってるの?」
「貴族の女たちにな、身体売ってるから。結構稼ぎはいいんだぜ。あいつらがそんな話しをしてるのを、聞いただけ。」
エドは顔だけはいい。需要はあるかもしれない。それにしても、エドがそんな生活をしていたことに、少しだけリオは驚いた。
「…ユアンって、呼び捨てしないで。様をつけて。」
「はあ?なんで俺が?本人がいる訳でもないのに?」
エドは不機嫌そうに酒を煽っている。
「辺境伯様に嫁ぐんだろ。ユアン様って人。」
「…違う。それは、駄目。ユアン様にはもっと相応しい人がいるから。」
「…相応しい人?俺を買う女たちの中にさ、辺境伯様に執着してるやつがいたんだよ。わざわざ辺境まで来たのに断られたみたいで。辺境伯様の悪い噂流したのって、その女だぜ。」
「………ふうん。」
「俺さ、たまたま一度だけ見たことがあるんだ。辺境伯様。すげえよ。とにかく、すげえ。しかも、王弟だろ。あの女が執着するのも、なんか分かるわ。」
「……………。」
「ずっと狙っていたのに、ユアン様には敵わないってさ。泣いてたぞ。あの女じゃなあ…。まあまあの抱き心地だしなあ。」
エドはくくくと、可笑しそうに笑った。
「ユアン様には敵わない…?」
「相当な美人って聞いたぞ。」
「そうだよ!ユアン様はね、すごく綺麗なんだ。俺なんかと違って、とっても!」
リオは目をきらきらさせて、話し始めた。
「…リオ?お前、なんかおかしいぞ…。」
あんなに不快で怖くて仕方なかったエドと同じ部屋に泊まっているなんて、リオは不思議な気分だ。
「…そんなに、抱きたい?俺もう初めてじゃないよ。」
「別に初めてとか関係ないだろ。昔からお前見てると、むらむらしてしょうがないんだ。」
「じゃあ、今も抱きたいの我慢してるの?」
「はあ?我慢?何で俺が?お前の怯えた顔が好きなのに、なんだか今のお前見てると、萎えるんだよ。」
「じゃあ、もうリオのこといらない?」
はあーーー、と長い溜め息を吐くと、エドはつまらなそうな顔をして答えた。
「全部終わったら抱くし、お前じゃないと興奮しないんだから、必要なんだろ。」
「…ふうん。」
ずっと移動し続けていたせいか、二人は安宿の寝台の上で、すぐに眠りについた。
リオの身体を弄るようにしていたエドも、疲れていたのか、抱きついたままあっさりと眠りについた。
時折、リオ、リオ、と言う寝言が聞こえる。
ラグアルは、ユアン、ユアンと寝言を言うことがあった。
うとうととしながら、リオはラグアルの事を想う。
リオがいなくなって心配しているだろうか?
寝起きは大丈夫だろうか?
それとも、いなくなったことにほっとしているだろうか。
ここまで、とても長かった。
早く、ユアン様に会いたい。
そうしたら、やっと、この苦しみから逃れられる……
翌日、馬車は辺境の街へやってきた。
一面真っ白な雪で覆われている。
「着いたなあ。すげえ雪。寒っ。」
「じゃあ、行ってくるから。」
「お前、本当にあそこに行くのか?」
リオは頷く。
「本気なんだな。」
「先に帰ってても、いいよ。」
「…この宿で待ってる。帰ってきたら、覚悟しとけよ。思う存分、お前を楽しませてもらうからな。」
ふふふとリオは笑った。
「わかった。じゃあ、行ってくるね。」
手を振って、リオは高台に聳え立つ辺境の邸へと向かって行った。
「お前、そんな笑い方するやつだったか…?」
リオの後ろ姿に、エドは呟く。
リオはきっともう、ここへ帰ってくることはないだろう。
「運命の番なんだろ。幸せにしてるんじゃ、なかったのかよ……。」
乗合の馬車に揺られながら、エドはリオを覗き込んだ。
リオはずっと青白い顔のまま、時折腹をさするような仕草をしている。
「腹でも痛いのか?ずっとさすってるよな。」
「え?そう?…全然、痛くないから。心配とかするんだ?」
「あ?誰が、誰を?調子にのんな。具合悪いお前抱いてもつまんないだろ。」
リオは無意識に腹をさすっていることに気がついていない。
まるで、守るように、優しくさすり続けている。
「今日はこの辺で一泊するか。金はお前もちな。持ってるよな?」
「うん。大丈夫だよ。同じ部屋?」
「へえ、乗り気か?同じ部屋にしようぜ。金も勿体無いしな。」
意外にも、エドはすぐに身体を求めるようなことはなかった。
「お前、顔色悪いな。馬車に酔ったのか?」
「…大丈夫。明日には着く?」
「ああ、明日には着くだろ。それにしても寒いなあ。抱かせろよ。」
「全部終わったらって、言ったよね。」
「ふうん。よっぽど何か抱え込んでるんだな、お前。辺境って、あのユアンがいるとこだろ?」
「…それも知ってるの?」
「貴族の女たちにな、身体売ってるから。結構稼ぎはいいんだぜ。あいつらがそんな話しをしてるのを、聞いただけ。」
エドは顔だけはいい。需要はあるかもしれない。それにしても、エドがそんな生活をしていたことに、少しだけリオは驚いた。
「…ユアンって、呼び捨てしないで。様をつけて。」
「はあ?なんで俺が?本人がいる訳でもないのに?」
エドは不機嫌そうに酒を煽っている。
「辺境伯様に嫁ぐんだろ。ユアン様って人。」
「…違う。それは、駄目。ユアン様にはもっと相応しい人がいるから。」
「…相応しい人?俺を買う女たちの中にさ、辺境伯様に執着してるやつがいたんだよ。わざわざ辺境まで来たのに断られたみたいで。辺境伯様の悪い噂流したのって、その女だぜ。」
「………ふうん。」
「俺さ、たまたま一度だけ見たことがあるんだ。辺境伯様。すげえよ。とにかく、すげえ。しかも、王弟だろ。あの女が執着するのも、なんか分かるわ。」
「……………。」
「ずっと狙っていたのに、ユアン様には敵わないってさ。泣いてたぞ。あの女じゃなあ…。まあまあの抱き心地だしなあ。」
エドはくくくと、可笑しそうに笑った。
「ユアン様には敵わない…?」
「相当な美人って聞いたぞ。」
「そうだよ!ユアン様はね、すごく綺麗なんだ。俺なんかと違って、とっても!」
リオは目をきらきらさせて、話し始めた。
「…リオ?お前、なんかおかしいぞ…。」
あんなに不快で怖くて仕方なかったエドと同じ部屋に泊まっているなんて、リオは不思議な気分だ。
「…そんなに、抱きたい?俺もう初めてじゃないよ。」
「別に初めてとか関係ないだろ。昔からお前見てると、むらむらしてしょうがないんだ。」
「じゃあ、今も抱きたいの我慢してるの?」
「はあ?我慢?何で俺が?お前の怯えた顔が好きなのに、なんだか今のお前見てると、萎えるんだよ。」
「じゃあ、もうリオのこといらない?」
はあーーー、と長い溜め息を吐くと、エドはつまらなそうな顔をして答えた。
「全部終わったら抱くし、お前じゃないと興奮しないんだから、必要なんだろ。」
「…ふうん。」
ずっと移動し続けていたせいか、二人は安宿の寝台の上で、すぐに眠りについた。
リオの身体を弄るようにしていたエドも、疲れていたのか、抱きついたままあっさりと眠りについた。
時折、リオ、リオ、と言う寝言が聞こえる。
ラグアルは、ユアン、ユアンと寝言を言うことがあった。
うとうととしながら、リオはラグアルの事を想う。
リオがいなくなって心配しているだろうか?
寝起きは大丈夫だろうか?
それとも、いなくなったことにほっとしているだろうか。
ここまで、とても長かった。
早く、ユアン様に会いたい。
そうしたら、やっと、この苦しみから逃れられる……
翌日、馬車は辺境の街へやってきた。
一面真っ白な雪で覆われている。
「着いたなあ。すげえ雪。寒っ。」
「じゃあ、行ってくるから。」
「お前、本当にあそこに行くのか?」
リオは頷く。
「本気なんだな。」
「先に帰ってても、いいよ。」
「…この宿で待ってる。帰ってきたら、覚悟しとけよ。思う存分、お前を楽しませてもらうからな。」
ふふふとリオは笑った。
「わかった。じゃあ、行ってくるね。」
手を振って、リオは高台に聳え立つ辺境の邸へと向かって行った。
「お前、そんな笑い方するやつだったか…?」
リオの後ろ姿に、エドは呟く。
リオはきっともう、ここへ帰ってくることはないだろう。
「運命の番なんだろ。幸せにしてるんじゃ、なかったのかよ……。」
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