運命と運命の人

なこ

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番外編

リオ•ラグアル

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公爵家の庭では数人の男たちがその手入れに勤しんでいる。

もちろん、リオも一緒だ。

「ねえ、シルビオ、ここにもっと何か植えてみようかと思ってるんだけど、どうかな?」

「お、いいな、それ。今度苗を持ってこようか?」

「ありがと!それから、あそこなんだけど…」

リオは公爵家の庭を自由にしていいと言われている。

どこか吹っ切れたようなリオは、太陽の陽の下、時間があれば庭の手入れに没頭する日々を過ごしている。

シルビオに手伝って欲しいと頼むと、シルビオは二つ返事で了承してくれた。

店の方は商才ある妻がうまく回しているらしい。

「ねえ、シルビオ。良かったの?あれ?」

それにしても、とリオは少し離れた所で手入れに励む一人の男をみやる。

「うーん。それが、意外と……。」

シルビオは苦笑いする。

「エドがこの仕事をやり始めるなんて…。聞いた時は、気の迷いかと思っていたんだけど…。」

「俺もさ、もあったし、追い出そうとしたんだ。リオさ、あいつのせいで嫌な思いとかしてたんだろ。」

リオは曖昧に笑う。確かに、エドは嫌な奴だった。

でも、あの雪の日、エドが辺境まで付いてきてくれたことは、リオにとって心強かったのも確かだ。

「リオの代わりに、一発殴ってさ、出てけって言ったら、あいつ泣き出してさ。もう真っ当に働きたいって、ここに置いてくれって、土下座までされたから、つい。」

「そうなんだ……。」

「ごめんな。連れてきちまって。」

エドは髪を短く切り揃え、土に塗れている。

久しぶりに会って、悪かったと、一言だけ言われた。

「ううん。いいと思うよ。こっちも助かるし。」

「そう言ってもらえて、ほっとしたよ。うちのがさ、最初は反対してたんだけど…。結構いい働きぶりだし、エド目当ての若い客が増えたから売り上げが上がってるって、喜んでるよ。」

シルビオは苦笑いする。

「へえ、そうなんだ。」

シルビオの妻は、やっぱりしっかりしてるなあと、リオは声を出して笑った。

「リオ!そろそろ休んだらどうだ?」

ユリアンを抱いたラグアルだ。

ラグアルは思いの外子煩悩で、ユリアンはラグアルにべったりだ。

「ラグアル様!」

「またこんなに、顔まで土だらけじゃないか。」

ラグアルが呆れた顔で、リオの頬についた土をぬぐう。

「つい夢中になってしまって。」

「楽しいか?」

「はい。とても!」

「そうか。リオの庭は評判だからな。」

ラグアルがリオの頬を撫でると、リオは嬉しそうにその手に頬を寄せる。

ラグアルの腕の中では、ユリアンも気持ち良さそうに庭の景色を眺めている。

リオが手を入れた庭は、茶会の度に貴族夫人たちの間で評判が上がっている。

夫人たちから家の庭もとお願いされ、今ではシルビオとそう言った仕事を請け負うまでになった。

庭いじりをするリオに眉を顰める貴族たちもいるが、リオはもう気にしていない。

大きな仕事が舞い込むこともあり、リオの商才もなかなかのものだ。

「ユアンから手紙がきている。」

「え、ほんとに!?手を洗ってくるね!」

満面の笑みでリオは駆け出した。

「ありがとう。シルビオ。」

ラグアルはシルビオに礼を言う。

「いいえ、こちらこそ。ユリアン様、可愛いですね。」

「そうだろう。リオに、よく似ている。」

遠くでは、エドが小さく会釈している。

「ラグアル様!手紙は!」

「そんなに走らなくとも。ユリアンが驚くじゃないか。」

息を切らして走ってきたリオは、少し日に焼け、日差しの中、きらきらと輝いて見える。

「つい。だって、早く読みたいから!」

丁寧に封を開くと、リオは食い入る様にその手紙を読み始めた。

「どうしよう!!!」

突然叫び出したリオに、ユリアンがびくっとする。

「あ、ユリアン、ごめんね。ユアン様がね、是非、辺境の庭を見にきて下さいって!!!」

リオは顔を紅潮させ、興奮した様子だ。

「ほんとに、行ってもいいのかな?」

「そう書いてあるんだろう?」

「うん!あのね、ユリアンとラグアル様も一緒にって!」

「カイゼル様は、それで、いいのだろうか…」

「カイゼル様にも了承を得ているからどうぞ、だって!」

「それならば、是非。予定を立てよう。」

「本当に!いいの!うわあ、ユリアンもルシアン様に会えるよ!」

ユリアンはわかっているのかどうか、リオのはしゃぎ様につられ、にこにこと笑っている。

「ラグアル様、大好き!」

ラグアルに抱きつくリオからは、日向の匂いがする。

ラグアルはこの匂いと、少し日に焼けて、声を出して笑うリオを愛おしそうに抱き留めた。

三人を見ていると、早く帰って妻と子に会いたくなる。シルビオはいつもそう思う。

「…あいつも、いつまでも引きずっていないで、いい人見つければいいのにな。」

「おい、聞こえてんだよ!余計なお世話だ!」

「聞こえるように言ったんだよ!」

「うるせえ……。」

ふはっ、と笑い出すリオにつられ、ラグアルも笑いだす。

リオが手を掛けた公爵家の庭には、たくさんの花々と笑い声が、今ではいつも溢れている。
















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