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不思議そうに聞いてくる彼女に答えることなく歩き続けると目的の場所に辿り着いた。そこは古い教会のような建物でかなり老朽化が進んでいるようだが、中に入れないほどではないようだった。
「入ってみましょう」
私が言うと、彼女も賛成してくれたので中に入ることにした。中に入ってみると意外と綺麗だったので驚いていると、どこからか声が聞こえてきたような気がしたので周囲を見回してみると部屋の隅にある箱のようなものが目についたので近づいてみることにした。その箱の中を覗き込むようにして見ると中には一冊の本が入っていた。表紙には『女神の祝福』と書かれているのが見えたがそれ以外は何も書かれていなかった。不思議に思って手に取って開いてみるとそこには見たこともない文字が書かれていたが何故か読むことができた。それはまるで最初から知っていたかのようにすらすらと頭の中に入ってくるような感覚を覚えた私は夢中になって読み進めていったのだった。しばらくすると、いつの間にか雨が止んでいたことに気づいた私は本を閉じて元の場所に戻すと外に出ようとしたところでふとあることを思いついて足を止めた。
(そうだ、せっかくだからこの教会の中を少し探索してみようかな)そう思い立った私は中を一通り見て回ることにしたのだった。
結論から言えば、この教会は廃墟などではなく今も使われていることがわかった。というのも、内部は非常に綺麗に保たれており目立った汚れも見当たらなかったからだ。さらに、地下室もあったのだがそこに置かれていた数々の書物を読んでいるうちにすっかり時間を忘れてしまっていたらしく気がつくと外はすっかり暗くなってしまっていたため急いで帰ることにした。
その日の夜、私は不思議な夢を見た。夢の中で私は真っ暗な空間に立っていた。辺りを見回していると、突然目の前に一人の女性が現れた。女性は真っ白なドレスを着ており、長い髪をなびかせていた。顔はベールに覆われていて見えなかったが口元だけは見えた。微笑んでいるようだということはわかったがそれ以上のことはわからなかった。やがて女性が口を開くと言った。
「ようこそいらっしゃいました、新たなる旅人よ」
その言葉を聞いた瞬間、私は確信した。この人は本物の神様なのだと。そう思うと自然と体が震え出したのがわかったがそれでも目を逸らさずに見つめ続けた。すると、彼女は微笑みながら言った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。さあ、こちらへおいでなさい」
その言葉に導かれるように一歩ずつ前に進んでいくうちに不思議と心が落ち着いていくのを感じた。そして、目の前まで来るとそこで立ち止まった。すると、今度は逆に彼女が近づいてきて私の顔に触れるとそっと頬を撫でた後に耳元で囁いた。「あなたに力を授けましょう」
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた感触がしたかと思うと口の中に何かが流れ込んでくるような感覚に襲われた。驚いて離れようとしたが身体が動かないうえに声も出せなかったためどうすることもできなかった。しばらくしてようやく解放された時には既に意識を失いかけていたためその場に倒れ込んでしまった。薄れゆく意識の中で最後に見たものは美しい微笑みを浮かべながらこちらを見つめている姿だった……
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