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そう言われてよく見てみると確かにその通りだった。しかも、ただの魔導書ではなくかなり強力な力を秘めている代物のようだった。それを見た私は思わず息を呑んだ。まさかこんなものが存在していたとは思いもしなかったからだ。すると、その様子を見ていた彼は笑みを浮かべながら言った。「お気に召していただけたようで何よりです」「ええ、そうですね……」
私は頷きながら返事をすると彼に質問してみた。「ところで、この魔導書はどこで手に入れたのですか?」
それを聞いた彼は少し考えた後で答えた。「申し訳ありませんが、それは教えることができません」
どうやらそう簡単には教えてくれないようだ。まあ、当然と言えば当然のことではあるが……そう思いながらも諦めきれずにいると、そんな彼に対してマリアさんが助け舟を出してくれた。「そんなに気になるのなら直接聞いてみるといいんじゃないですか?」
それを聞いた私はハッとして顔を上げると彼女にお礼を言った後で問いかけた。「それってどういう意味ですか?」
それに対し、彼女は微笑みながら答えると言った。「そのままの意味ですよ、この本を作った本人に聞けばいいと言っているんです」「えっ!?」
その言葉に驚きのあまり絶句してしまった私をよそに彼女は話を続けた。「だってそうでしょう?こんな貴重な物を作れる人がいるとしたらその人物こそが今回の黒幕に決まっているじゃないですか」
それを聞いて納得すると同時に不安になってきた私は恐る恐る尋ねてみた。「あの、ちなみにその人というのは誰なんですか?」
それに対して彼女は即答した。「もちろん、魔王に決まってるじゃないですか」
それを聞いた私は頭を抱えたくなったがなんとか堪えて平静を装うことにした。そして、気持ちを落ち着かせるために深呼吸をしてから再び彼女に問いかけることにした。「でも、仮にそうだとしてもどうやって会うつもりなんですか?」
それに対して彼女は自信たっぷりな表情で答えると言った。「そんなの決まってるじゃないですか、正面から堂々と乗り込むんですよ」
そんな無茶なと思ったが口には出さずに黙って聞いていると、彼女は続けて言った。「大丈夫ですって、きっと上手くいきますから心配しないでください」
その言葉を聞いてもなお不安が消えなかった私だったが、結局彼女に押し切られる形で魔王の城へ向かうことになってしまった。その後、準備を整えてから出発することになったのだが、その際に彼女は私に耳打ちしてきた。「いいですか、くれぐれも油断しないように気を付けてくださいね」
それを聞いて緊張しながらも頷いた後で私達は出発した。目指す場所はただ一つ、魔王の城だ! いよいよ決戦の時が来た……そう思うと自然と鼓動が激しくなっていくのを感じた。果たして、無事に帰って来られるだろうかという不安もあったが、ここまで来た以上はもう引き返すことはできない。覚悟を決めると私達は魔王の城を目指して突き進んでいった。
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