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秘密と正体
フェチズムを満たすお時間です
しおりを挟む「…お前、これ、楽しい?」
「…めちゃくちゃ楽しいです…なんだこのもちもち加減…最高…」
「あ…そう…」
会社ではバリバリ仕事をこなし、部下達に厳しく接してきた俺が、プライベートでは細マッチョ好きの甘えん坊Mネコというモリモリな裏設定を神崎に握られてしまい、逆らえなくなって仕方なく彼に導かれるままに彼の寝室に足を踏み入れると、スーツのジャケットを脱がされ、生意気に存在感を主張してくるキングサイズのベッドに転がされて、頬や腹の肉をもちもちと揉みしだかれてしまった。
元々お互いのフェチズムを満たす為に会おうと決めたのだからここで抵抗するのは約束が違うし、そもそも抵抗する気力も無かったから好きにさせていると、調子に乗った神崎は、
「…ねぇ、エロいことしないんで、服脱がせてもいいっすか?」
などとまたとんでもないことを言い始めた。
しかも、いいっすか?なんて聞いておきながら答えを待つでもなく俺のワイシャツのボタンに手を掛けてやがるし。
「っはぁ?!だめだろ!何考えて…!」
慌ててボタンに掛かった神崎の手を払い除け、脱がされないよう自分の身体を抱き締めるようにしてガードすれば、
「えー…だって、脱がせないと他のところ触れないんですもん。俺も脱ぎますから。俺の筋肉見たいでしょ?」
そう返されて。
シン…もとい、神崎の筋肉にベタ惚れの俺にとってその言葉は、この上なく魅力的に響いた。
「み…っ、…たい、けどぉ…」
「それに、いっぱいいじめられたいでしょ?」
「…あぅ…」
「ほらぁ。お顔トロトロになってきちゃってますよ?いいじゃないですか、二人だけの秘密。ね?言ったでしょ、ギブアンドテイクな関係を築きたいって。部長がここで素直になってくれれば、俺はもちもちを堪能できるし、いっぱい意地悪できるし、いっぱい甘やかしてあげられる。部長は俺の筋肉放題触り放題だし、いっぱい意地悪してもらえていっぱい甘やかしてもらえるんですよ?こんなうまい話あります?」
筋肉…
意地悪…
甘やかして…
筋肉……
意地悪……
甘やかして……
筋肉………
意地悪………
甘やかして………
俺の頭の中ではその3つがグルグルと回って、もう訳が分からなくなって。
「…え…エッチなことは、しない、で、ござる」
「ふふ、分かってるでござる。では、早速…」
結果、俺は謎に侍のような口調になってしまって、完全に混乱して目を回している俺を楽しそうに見下ろし俺の口調を真似てくる彼はやっぱり余裕そうで腹が立つ。
ワクワク感を隠しきれない様子でこちらに手を伸ばしてくる神崎。
だけど彼の手で服を脱がされてしまうと、なんだかこれからエロいことします感が出てしまう気がして。
「ま、待って!自分で、脱ぐ…」
再びボタンに掛けられそうになった神崎の手を遮って、自らの震える手で一つずつゆっくりとボタンを外していく。
「しょうがないなぁ。まぁ、いいですけど」
そんな俺に神崎は少し不満そうな顔をしたけど、脱がせるという行為に対してはそんなに執着していないんだろう。
すぐに諦めると、もたつく俺を尻目にさっさとネクタイを引き抜き、シャツとスラックスと靴下を脱ぎ捨て、なんの躊躇いもなくボクサーパンツ一丁の姿になってしまった。
目の前にいる人物は紛れもなく会社の部下である神崎その人なのに、見慣れた顔の下に目を遣るとずっと憧れていたshinの程よくついた筋肉が視界いっぱいに広がって思わず溜め息が漏れる。
「…はぁ…ほんものだ…かっこいい…」
この筋肉は、ダメだ。
画面越しに見ているだけでもかなり刺激的だったのに、直接見てしまったら破壊力が強過ぎてやばい。
頭がぼーっとして、段々と思考が正常に働かなくなってくる。
まるで薬物のようだ。
「…そんなに俺の筋肉好き?」
「うん…すき…」
「…かわいい」
「…っ、上司にむかって、かわいい、とか、ゆうなぁ…」
恍惚とした表情で神崎の肉体を眺める俺に対して、彼は可愛い、と声を掛けてくる。
だけどわずかに残った理性が、部下からそんな風に言われることを拒絶していて、上手く回らなくなった舌で抗議した。
「えー?だって今は会社でもなければ仕事中でもないですもん。シンとあやとして会ってるんだからいいでしょ?それにほら、声もあまぁくなっちゃってる…」
「…なってないぃ…」
「そういう嘘ついていいんですか?…服着ちゃおっかな」
わざと意地悪なことを言われているのは分かっている。
だけど折角直接お目にかかれたこの素晴らしい筋肉を服の下に隠されてしまうのがどうしても嫌で、俺は慌ててシャツに伸ばされた彼の手を掴み、それを阻止した。
「…っだ、だめ!もう、うそつかないからぁ…」
「ふふっ、ほんとかわいいなぁ…お利口さんですね。そんなお利口さんにはご褒美に、俺の身体、触らせてあげます」
素直になることを決めた俺に与えられた、あまりに贅沢過ぎるご褒美。
「…いいの?」
「どうぞ」
ゴクリと喉を鳴らし、期待に濡れた眼差しで彼を見上げると、ニッコリと微笑みかけられておずおずとその鍛え上げられた肉体に手を伸ばした。
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