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第1章 ざまぁがしたいっ!!

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 放課後、わたくしは急いで変身する。お化粧を落とし長いブロンズヘアーを一括りに縛って深く帽子を被る。そしてボロボロの作業服を身にまとい、掃除道具を持って出掛けた。

 影武者をしてない時は貴族院の雑用を仰せつかっている。つまりは用務員だ。

 今日はお掃除以外に別の用事がある。早急に彼女に会わなくてはならない。わたくしは必死で彼女を探した。

「あっ、いたわ! ミーア様、これ持ってって!」

 周りを気にしながら、この後トイレで虐められるかもしれない彼女にタオルと着替えを密かに渡す。

「いつもありがとう。…用務員さん」

「いえ、とんでもございません。小耳に挟んだものですから。あ、今日はさっさと帰ってくださいね。でも一応そのお着替えは持っといて。…では!」

 わたくしは足早に去って行く。せめてもの罪滅ぼしのつもり。勿論、このことはシェリーに内緒よ。だって見つかったらダダじゃ済まないからね。

 ミーア様は、ありがとうと言った。

 ええ、わたくしはいつも事前に出来る限りのフォローをしているのだ…。


 ***


「あーあ、ミーアったら、ずぶ濡れで笑った、笑った、ぷっ…あはははははっ!!」

 帰りの馬車の中でシェリーは、ミーア様を虐めた話を自慢げに披露する。

 ミーア様、捕まったのね。お可愛そうに…。でもわたくしも取り巻きの意見を止められないの。悪役令嬢を演じないといけないから。…ゴメンね。

 それにしてもこの馬鹿女が! 何がそんなに可笑しいの! ホント、アタマ逝かれてるわ!

 わたくしは知っていた。シェリーはエリオット王子様のことは好きでもないのに、ただ皇族になって煌びやかな世界を楽しみたいだけなの。だから邪魔するオンナには容赦しない。全く最低なオンナだ。

「さあて、明日から面倒な授業はなさそうだから、アンタ、影武者は当分良いわ」

「かしこまりました」

 本当かな? アンタ、朝ちゃんと起きれるの? 叩いてでも起こして差し上げますからね?

 わたくしも用務員してた方が気が楽だし。それにお掃除しながら遠巻きにエリオット様を眺めるのが楽しみなので…いや、実はわたくしあの御方に憧れてるの。とってもハンサムで彼の碧眼に見つめられたら「きゅん!」としちゃうー! 

 ここで馬鹿女の笑ってる顔を見てしまった。三日月の目が妙に腹が立つ。

 コイツなんかに第三王子の嫁が勤まる訳がない。…訳がないわ。

 そうココロの中で悪態ついてるうちに、馬車はお屋敷へと到着した。エミリーはお屋敷の使用人に戻り、わたくしは馬鹿女のお着替えやお化粧落としを行う。自分でして欲しいけどまあ無理ですわね。お人形さんのごとくで手すら上げない。それを十年も繰り返してるから最早諦めの境地。

 その後はお紅茶、ワインなど要望に沿って準備するけど、入浴のお世話とマッサージはルーチンだ。

 よいよ、

 そんな日常を終えて、ようやくわたくしは疲れたカラダを引きずって敷地内の小山にあるボロボロの掘っ立て小屋へ帰るのです。

 こんな生活、早く抜け出したい、ついでに馬鹿女を張り倒してやりたーーいっ!!

 わたくしのストレスは超絶マックスだ!













 






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