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期待していた佐藤拓也からの連絡はなかった。少々不安ではあったけど、彼と接触した旨を高橋直人にメールで報告したら、『松本絵梨さんと面談するなら同席させてください。』と返答があり、とても頼もしく嬉しい気持ちになった。私は確実に前進してるんだと実感が湧く。
自宅に帰る頃には18時を回っており、明日のダイアリーが書き込まれる時間だ。どうなるのか事前に分かるから、ワクワクが止まらない。ただその前に、今日私が佐藤と接触したことで何か追記や上書きがされていないか、確認することにした。
8月24日(木)
橘美咲と森田課長は……(以下省略)
なお、佐藤拓也は私に呼ばれて驚いていたが、思ったより美人でナイスバディだと気がついて、女性として意識を向けるようになります。
まったく、このボンクラはキモいわね。いまさらだ。でも親衛隊に入りたいなら考えなくはないわよ。橘美咲やお局と引き離したいしね。いや、そんなことより問題は明日だ。こいつから連絡は来るのかしら?松本絵梨と会えるの?
その答えを知るためにダイアリーのページをめくる。
8月25日(金)
橘美咲と山本節子は佐藤拓也を問い詰めていました。橋口美憂が彼のいやらしい目線に困惑して相談したからです。その際、私と親しく話をしていたことも付け加えられました。その報復として、2人から睨みつけられ、仕事をいくつか押し付けられます。
一方、叱られた佐藤拓也はいじけていましたが、松本絵梨のアポを取ったと自慢げに連絡があり、サテライトオフィスに呼び出すことに成功しました。そして、彼女から真相を聞き出すことになります。
おおっ、やったわね!明日の流れが分かるって、とっても便利だわ。よし、上手く対処してやるとも!今宵はビールで祝杯あげて、親衛隊を囲んで眠りにつこう。採用した見習いの佐藤は玄関で見張り役を務めさせて──
***
翌日、佐藤よりも高橋直人の視線を気にして今日もお化粧を施し、髪もブラッシングするなど、かなりオシャレをして出社した。
私としたことがこんなに男性を意識してしまうなんて……まぁ、いいか。これも悪くない。
さて、今日もダイアリーに書かれていた通りのできごとが目の前で繰り広げられていった。10時頃、ボンクラから連絡が入ったので、手筈通り高橋直人とサテライトオフィスで待つことにした。すると、佐藤拓也が1人で現れたのだ。
「ごめん。松本さんは少し遅れて来るそうだ。えーっと……」
彼は隣にいる男性に軽く会釈する。私1人と思っていたのか少々残念そうだ。
「あ、佐藤くん、この方は……」
「はじめまして。人事労政Grの高橋と申します」
「人事……!?」
人事労政の社員が同席していることに彼は驚いた。
ふふん。観念しなさい、ボンクラよ。先ずはお前から締め上げてやる。
自宅に帰る頃には18時を回っており、明日のダイアリーが書き込まれる時間だ。どうなるのか事前に分かるから、ワクワクが止まらない。ただその前に、今日私が佐藤と接触したことで何か追記や上書きがされていないか、確認することにした。
8月24日(木)
橘美咲と森田課長は……(以下省略)
なお、佐藤拓也は私に呼ばれて驚いていたが、思ったより美人でナイスバディだと気がついて、女性として意識を向けるようになります。
まったく、このボンクラはキモいわね。いまさらだ。でも親衛隊に入りたいなら考えなくはないわよ。橘美咲やお局と引き離したいしね。いや、そんなことより問題は明日だ。こいつから連絡は来るのかしら?松本絵梨と会えるの?
その答えを知るためにダイアリーのページをめくる。
8月25日(金)
橘美咲と山本節子は佐藤拓也を問い詰めていました。橋口美憂が彼のいやらしい目線に困惑して相談したからです。その際、私と親しく話をしていたことも付け加えられました。その報復として、2人から睨みつけられ、仕事をいくつか押し付けられます。
一方、叱られた佐藤拓也はいじけていましたが、松本絵梨のアポを取ったと自慢げに連絡があり、サテライトオフィスに呼び出すことに成功しました。そして、彼女から真相を聞き出すことになります。
おおっ、やったわね!明日の流れが分かるって、とっても便利だわ。よし、上手く対処してやるとも!今宵はビールで祝杯あげて、親衛隊を囲んで眠りにつこう。採用した見習いの佐藤は玄関で見張り役を務めさせて──
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翌日、佐藤よりも高橋直人の視線を気にして今日もお化粧を施し、髪もブラッシングするなど、かなりオシャレをして出社した。
私としたことがこんなに男性を意識してしまうなんて……まぁ、いいか。これも悪くない。
さて、今日もダイアリーに書かれていた通りのできごとが目の前で繰り広げられていった。10時頃、ボンクラから連絡が入ったので、手筈通り高橋直人とサテライトオフィスで待つことにした。すると、佐藤拓也が1人で現れたのだ。
「ごめん。松本さんは少し遅れて来るそうだ。えーっと……」
彼は隣にいる男性に軽く会釈する。私1人と思っていたのか少々残念そうだ。
「あ、佐藤くん、この方は……」
「はじめまして。人事労政Grの高橋と申します」
「人事……!?」
人事労政の社員が同席していることに彼は驚いた。
ふふん。観念しなさい、ボンクラよ。先ずはお前から締め上げてやる。
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