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第7章 パッと咲いた笑顔の便り
(7-7)
しおりを挟む結婚か。なんだか考えてしまう。
颯の両親はどんな人だろう。うまくやっていけるだろうか。その前に結婚できるかどうかもわからない。
ダメダメ、前向きにならなきゃ。すぐに後ろ向きになっちゃいけない。わかっていても、性格ってなかなか変わらないものだ。
自分のことはいい。すみれのことだ。
すみれはどう考えているのだろう。姑が嫌いで、一緒には住みたくはないのだろうか。そこはきちんと話し合ったほうがいい。
「なるほどねぇ。すみれの婚約者は努というのかい」
すみれは無言で頷く。
「そうかい。それで努さんの実家が工務店なんだね。なら、やっぱり実家で暮らしたほうがなにかと仕事もやりやすいんだろう。そのほうがいいのかもしれないねぇ」
「うん、それはわかる。けど、二人だけの時間がほしいし」
「すみれの気持ちもわかるよ。まあ、そのへんのことは向こうの親御さんとよく話し合うことだねぇ」
また、すみれの顔が暗く映った。やっぱり、姑とうまくいっていないのだろうか。それとも舅のほうと何かあるのか。そこまで深読みすることはないか。
幸せになってほしいのに。
小百合がいたら何かいい提案をしてくれただろうか。ふとそう思ってしまったが、もう小百合の幽霊が現れることはない。
あの日以来、憑依することもない。楓からも小百合のことを聞くこともなくなってしまった。きっと、小百合は天国でも毒を吐いて笑っているのだろう。
それなら、自分で考えなきゃいけない。
あれ、まだ姑問題があるとは言っていないか。
どちらにせよ、すみれには庄平と節子がいるし、自分が口を挟むことでもない。まあ、口を挟めるような考えもないんだけど。
聞けば、努の両親との仲は悪いわけではなさそうだ。結婚前でちょっと不安なだけかもしれない。その気持ちはなんとなくわかる。
問題は努と実家暮らしをするか、アパートで二人で暮らすかってことなのか。
すみれは二人だけで新婚生活を楽しみたいんだろう。それでは、確執が生まれてしまうのではと危惧してしまう。
梨花はひとり悩み、考えた。
最初はアパートで暮らすのもありかもしれない。少しずつ姑と舅との距離を縮めていくって手もある。
待てよ。それじゃダメなのだろうか。
努の両親の考えがわからないから判断がつかない。
結婚には賛成しているってことでしょ。話しの感じではそうだ。
すみれがモデルみたいな容姿だから、どこかで嫁として務まるのかと思われているのだろうか。それとも自分みたいに家事が苦手なのだろうか。家に入ってもらって、嫁としていろいろと教えようとしているのだろうか。
あっ、自分は料理だけは得意だ。まあ、洗濯と掃除はちょっと……。苦手じゃない、面倒臭いだけ。それはそれでダメか。
もう、また妄想世界に突入してしまった。それに、すみれが家事を苦手かどうかわからないじゃない。どっちにしろ自分が口出しをするべきじゃない。
嫁姑問題はいつの時代でも付き纏ってくることなのだろう。だからと言って結婚を反対されているってわけじゃないみたいだし、うまくいってくれると信じよう。
そうじゃないと自分の結婚が遠のく気がする。
んっ、それは関係ないか。
梨花はまたしても颯のことを考えてしまった。
なんだか考え過ぎて、頭が混乱してきた。
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